履歴書写真の撮り方とルール|サイズや服装マナーを徹底解説

履歴書写真の撮り方とルール、サイズや服装マナーを徹底解説

履歴書は、あなたの経歴やスキルを伝えるための重要な書類です。その中でも、採用担当者が最初に目にする「履歴書写真」は、あなたの第一印象を決定づける極めて重要な要素と言えます。たった一枚の写真ですが、その写り方一つで、あなたの人柄や仕事に対する姿勢、さらには社会人としての常識まで判断される可能性があります。

「たかが写真」と侮ってはいけません。書類選考では、多くの応募者の履歴書が並ぶ中で、あなたの写真が採用担当者の目に留まります。その際、清潔感があり、意欲が感じられる写真は、次のステップである面接に進むための強力な後押しとなります。逆に、ルールやマナーから外れた写真は、それだけでマイナスの印象を与え、選考で不利に働くことも少なくありません。

この記事では、履歴書写真が採用担当者に与える印象から、サイズや撮影時期といった基本的なルール、好印象を与えるための服装・髪型・メイクのポイント、そして写真館やスピード写真といった撮影方法の比較まで、履歴書写真に関するあらゆる情報を網羅的に解説します。

これから就職・転職活動を始める方はもちろん、アルバイトやパートの応募を考えている方にとっても、この記事を読めば、自信を持って履歴書写真を準備できるようになります。採用担当者に「この人に会ってみたい」と思わせる、最高の証明写真を撮影するための知識を身につけていきましょう。

履歴書写真が採用担当者に与える印象とは

履歴書写真が採用担当者に与える印象とは

履歴書に貼付された一枚の写真は、単なる本人確認の手段ではありません。採用担当者は、その小さな写真から、応募者の人柄や資質、さらには入社意欲までを読み取ろうとします。書類選考の段階では、採用担当者はまだあなたに会ったことがありません。そのため、履歴書写真が、あなたの「第一印象」そのものになります。

採用担当者は、日々何十、何百という履歴書に目を通しています。その中で、写真が与える印象は、書類全体への評価にも大きく影響します。例えば、明るく誠実な表情の写真であれば、「この人は快活で、真面目に仕事に取り組んでくれそうだ」というポジティブな印象を抱き、職務経歴書や自己PRにも好意的な視点で目を通してくれる可能性が高まります。

逆に、暗い表情やだらしない身なりの写真だった場合、「意欲が低いのではないか」「TPOをわきまえられない人物かもしれない」といったネガティブな先入観を持たれてしまうかもしれません。そうなると、たとえ素晴らしい経歴やスキルを持っていたとしても、その内容が正当に評価されにくくなる恐れがあります。

採用担当者が写真から見ているポイントは、主に以下の3つです。

  1. 清潔感
    ビジネスシーンにおいて、清潔感は最も基本的なマナーです。整えられた髪型、シワのないスーツ、適切なメイクなど、細部にまで気を配れているかは、自己管理能力や他者への配慮ができる人物であるかを示す指標となります。特に接客業や営業職など、社外の人と接する機会が多い職種では、清潔感は極めて重要視されます。
  2. 人柄や雰囲気
    表情は、その人の内面を映し出す鏡です。口角が自然に上がり、穏やかな笑みを浮かべた表情は、「明るく、協調性がありそう」「コミュニケーション能力が高そう」といった印象を与えます。一方で、無表情や不機嫌そうな顔は、「気難しそう」「チームワークを乱すかもしれない」といった懸念を抱かせる原因になりかねません。企業は、スキルだけでなく、既存の社員と良好な関係を築ける人柄の人物を求めています。
  3. 仕事への意欲や真剣さ
    履歴書写真のルールやマナーを守って丁寧に準備されているかという点も、評価の対象です。サイズの合った写真をまっすぐに貼り、適切な服装や髪型で撮影に臨む姿勢は、「この応募は本気なのだな」「入社意欲が高い」という真剣さの表れとして受け取られます。反対に、スナップ写真の切り抜きや、明らかに古い写真を使っていると、「志望度が低い」「常識に欠ける」と判断されても仕方ありません。

もちろん、写真一枚だけで合否が決定されるわけではありません。あなたの経験やスキル、人間性は、職務経歴や面接を通して総合的に判断されるものです。しかし、履歴書写真は、あなたという人物に興味を持ってもらうための「最初の扉」です。その扉をスムーズに開けるためにも、写真は「選考の一部」と捉え、細心の注意を払って準備することが、内定を勝ち取るための重要な第一歩となるのです。

この記事で解説するルールやマナーは、決して難しいものではありません。一つひとつを確実に実践することで、あなたの魅力が最大限に伝わる、最高の履歴書写真を用意しましょう。

押さえておきたい履歴書写真の7つの基本ルール

サイズは「縦4cm × 横3cm」が基本、撮影時期は3ヶ月以内がマナー、背景色は白・青・グレーから選ぶ、清潔感のある髪型を意識する、表情は口角を上げた自然な笑顔、姿勢は背筋を伸ばしてまっすぐ立つ、目線はカメラをまっすぐ見る

履歴書写真には、採用担当者に好印象を与えるための、守るべき基本的なルールが存在します。これらのルールは、社会人としての常識やマナーを示すものであり、一つでも欠けているとマイナスの評価につながる可能性があります。ここでは、絶対に押さえておきたい7つの基本ルールについて、その理由とともに詳しく解説します。

① サイズは「縦4cm × 横3cm」が基本

履歴書用の写真として最も一般的に定められているサイズは「縦40mm(4cm) × 横30mm(3cm)」です。市販されているほとんどの履歴書用紙の貼付欄は、このサイズに合わせて作られています。

なぜこのサイズが基本なのでしょうか。それは、顔と上半身がバランス良く収まり、本人確認がしやすく、かつ表情や身だしなみも適切に確認できる、最も標準的なサイズだからです。この規定サイズを守ることは、「指示を正しく理解し、それに従うことができる」という基本的なビジネススキルの証明にもなります。

よくある間違いとして、パスポート申請用の写真(縦4.5cm × 横3.5cm)を流用してしまうケースがあります。パスポート用の写真は履歴書用よりも一回り大きいため、貼付欄からはみ出してしまい、だらしない印象を与えてしまいます。また、「顔のサイズ」に関する規定も異なるため、たとえトリミングしてサイズを合わせたとしても、不自然な構図になりがちです。

必ず「履歴書用」として販売されている写真、またはそのサイズで撮影・プリントされたものを使用してください。 写真館やスピード写真機で撮影する際には、「履歴書用」のメニューを選択すれば、自動的にこのサイズで仕上がります。

ただし、企業によってはWeb応募システムで独自のサイズを指定していたり、特殊なフォーマットの履歴書で異なるサイズを求められたりするケースも稀にあります。応募要項は必ず事前に隅々まで確認し、指定がある場合はその指示に正確に従うことが重要です。

② 撮影時期は3ヶ月以内がマナー

履歴書に貼る写真は、撮影から3ヶ月以内に撮られたものを使用するのが社会的なマナーとされています。これは、写真が現在のあなたの姿と一致していることを保証するためです。

採用担当者は、履歴書の写真を見て、面接に現れる人物像をイメージします。しかし、写真と実物の印象が大きく異なると、本人確認に手間取ったり、場合によっては不信感を抱かれたりする可能性があります。例えば、写真では短髪なのに面接では長髪になっていたり、体重が大幅に増減していたりすると、「自己管理ができていないのでは?」「古い写真を使い回しており、志望度が低いのでは?」といったネガティブな印象につながりかねません。

特に、髪型や髪色を大きく変えた後や、メガネの有無が変わった場合などは、3ヶ月以内であっても撮り直すのが賢明です。常に「現在の自分」を正確に伝えることを意識しましょう。

この「3ヶ月以内」というルールは、単なる慣習ではなく、応募者の誠実さや真剣な姿勢を示すためのものです。使い回しは避け、応募する企業一社一社に対して、真摯な気持ちで準備したことをアピールするためにも、新鮮な写真を用意することをおすすめします。

③ 背景色は白・青・グレーから選ぶ

履歴書写真の背景色は、応募者の顔や表情をはっきりと見せるための重要な要素です。基本的には、清潔感や誠実さを演出しやすい「白」「水色(ライトブルー)」「グレー」の3色から選ぶのが一般的です。

背景色の種類 与える印象 おすすめの職種
清潔感、フレッシュさ、明るさ 業界・職種を問わず使えるオールマイティーな色。特に新卒の就職活動におすすめ。
水色(ライトブルー) 誠実さ、爽やかさ、知性 落ち着いた印象を与えたい場合に適している。公務員や金融、IT業界などにおすすめ。
グレー(ライトグレー) 落ち着き、洗練、プロフェッショナル プロフェッショナルで落ち着いた雰囲気を演出。管理職や専門職、外資系企業などにおすすめ。

これらの色は、主役である応募者自身を引き立て、表情を際立たせる効果があります。写真館やスピード写真機では、これらの背景色を選択できるようになっていることがほとんどです。

逆に、避けるべき背景色もあります。例えば、原色系の派手な色(赤、黄など)や、柄物、風景が写り込んでいるスナップ写真のような背景は、証明写真としては不適切です。これらは採用担当者に「TPOをわきまえられない」「常識がない」という印象を与えてしまうため、絶対に避けましょう。

どの色を選ぶか迷った場合は、最もオーソドックスでどんな業界にも通用する「白」が無難です。また、応募する企業のコーポレートカラーや業界の雰囲気に合わせて色を選ぶのも一つの方法です。例えば、クリエイティブな業界であれば少し柔らかな印象のグレー、堅実さが求められる業界であれば誠実な印象の青、といったように戦略的に選ぶことで、より効果的なアピールができます。

④ 清潔感のある髪型を意識する

髪型は、服装と並んで「清潔感」を左右する重要なポイントです。ボサボサの髪や寝癖がついたままの写真では、だらしない印象を与えてしまいます。撮影前には必ず鏡で髪全体をチェックし、整髪料などを使ってきちんと整えましょう。

男女共通で意識すべき基本は、「顔がはっきりと見えること」です。前髪が目にかかっていたり、サイドの髪が顔の輪郭を隠してしまったりすると、暗い印象や不真面目な印象を与えかねません。

  • 男性の場合:耳や眉がすっきりと見える短髪が基本です。襟足も短く整え、清潔感を演出しましょう。
  • 女性の場合:髪が長い場合は、後ろで一つに束ねるか、ハーフアップ、シニヨンなどですっきりとまとめます。顔周りの後れ毛もピンで留めるなどして、表情が明るく見えるように工夫しましょう。

髪色については、黒または地毛に近い落ち着いた茶色が基本です。あまりにも明るすぎる髪色は、業界によっては「不真面目」と受け取られる可能性があるため、就職・転職活動の期間だけでもトーンを落とすことを検討するのが賢明です。

フケや過度な整髪料のベタつきもマイナスポイントです。撮影日だけでなく、日頃からのヘアケアも大切になります。

⑤ 表情は口角を上げた自然な笑顔

履歴書写真の表情は、硬すぎず、かつくだけすぎない「自然な微笑み」が理想です。真顔や無表情は「不愛想」「怒っている」といったネガティブな印象を与えがちですし、一方で歯を見せて大笑いするような表情は、証明写真としては不適切で「TPOをわきまえられない」と判断される可能性があります。

ポイントは、口を閉じたまま、口角をキュッと少しだけ引き上げることです。これにより、穏やかで親しみやすく、かつ誠実な印象を演出できます。鏡の前で「ウィ」と発音する口の形を意識すると、自然な笑顔が作りやすいと言われています。

また、目元も重要です。無理に目を見開く必要はありませんが、少しだけ目に力を入れることで、自信や意欲が伝わります。口角を上げると、自然と目元も優しくなり、全体の表情が明るく見えます。

写真撮影に慣れていないと、どうしても表情が硬くなりがちです。撮影前には顔の筋肉をほぐすストレッチをしたり、鏡で最高の表情を練習したりしておくと良いでしょう。写真館であればカメラマンが表情を引き出す手伝いをしてくれますが、スピード写真の場合は自分で意識する必要があります。

⑥ 姿勢は背筋を伸ばしてまっすぐ立つ

正しい姿勢は、自信や誠実さ、そして健康的な印象を与えます。逆に、猫背であったり、首が前に出ていたりすると、「自信がなさそう」「だらしがない」「不健康そう」といったマイナスイメージにつながります。

撮影の際は、頭のてっぺんから一本の糸で吊り上げられているようなイメージで、背筋をまっすぐに伸ばしましょう。 肩の力は抜き、リラックスさせることがポイントです。左右の肩の高さが均等になるように意識し、どちらかに傾かないように注意してください。

顎の角度も重要です。顎を上げすぎると尊大で偉そうな印象に、引きすぎると自信がなさそうに見えたり、二重顎の原因になったりします。軽く顎を引き、正面のカメラをまっすぐに見据えるのが正しい姿勢です。

椅子に座って撮影する場合も基本は同じです。浅く腰掛け、背もたれには寄りかからず、骨盤を立てるように意識すると、自然と背筋が伸びます。正しい姿勢を保つことで、スーツの着こなしも美しく見え、全体として凛としたプロフェッショナルな印象を与えることができます。

⑦ 目線はカメラをまっすぐ見る

目線は、応募者の意志の強さや自信を伝えるパーツです。撮影中は、カメラのレンズをまっすぐに見つめましょう。 まっすぐな視線は、採用担当者に対して「誠実さ」や「入社への強い意志」をアピールする効果があります。

上目遣いや伏し目がちになると、「自信がなさそう」「何かを隠しているのでは?」といった不安な印象を与えてしまいます。また、カメラから目線を外すと、関心がないように見えたり、よそよそしい雰囲気になったりするため避けるべきです。

コンタクトレンズやメガネを普段から使用している人は、そのまま着用して撮影して問題ありません。ただし、メガネの場合は、レンズに照明が反射して目が見えなくならないように注意が必要です。写真館であればカメラマンが調整してくれますが、スピード写真の場合は自分で角度を工夫する必要があります。

これら7つの基本ルールは、どれも難しいものではありません。しかし、これらを守ることで、あなたの履歴書写真は格段に良くなり、採用担当者にポジティブな第一印象を与えることができるのです。

【男女別】好印象を与える服装マナー

基本はリクルートスーツかビジネススーツ、男性の服装ポイント、女性の服装ポイント、業界や職種によっては私服(オフィスカジュアル)も可、夏場でもジャケットは着用するべき?

履歴書写真における服装は、あなたの第一印象を決定づける上で極めて重要な役割を果たします。TPOに合わせた適切な服装は、社会人としての常識やビジネスマナーをわきまえていることの証明となります。ここでは、男女別に好印象を与える服装のポイントを詳しく解説します。

基本はリクルートスーツかビジネススーツ

履歴書写真の服装は、業界や職種を問わず、黒や紺、ダークグレーなどの落ち着いた色のスーツを着用するのが最も基本的で、かつ最も無難な選択です。スーツはフォーマルな装いであり、仕事に対する真摯な姿勢や誠実さを表現するのに最適な服装です。

  • 新卒の就職活動の場合:一般的に「リクルートスーツ」と呼ばれる、無地の黒や紺のスーツを着用します。フレッシュで誠実な印象を与えることができます。
  • 転職活動の場合:リクルートスーツでも問題ありませんが、これまでの社会人経験を示すために、少し質の良い「ビジネススーツ」を着用するのも良いでしょう。無地もしくは薄いストライプ柄程度の落ち着いたデザインが適しています。

重要なのは、自分の体型に合ったサイズのスーツを選ぶことです。サイズが大きすぎるとだらしなく見え、小さすぎると窮屈な印象を与えてしまいます。肩幅が合っているか、袖の長さは適切か、ボタンを留めたときにシワが寄りすぎていないかなどを確認しましょう。また、撮影前には必ずアイロンをかけ、シワや汚れがない清潔な状態にしておくことが大前提です。

男性の服装ポイント

男性の場合、スーツ、ワイシャツ、ネクタイの3つの要素の組み合わせが印象を左右します。それぞれの選び方のポイントを見ていきましょう。

スーツ・ジャケット

  • : 黒、濃紺(ネイビー)、チャコールグレーが基本です。これらの色は、誠実さや落ち着き、信頼感を演出します。明るすぎるグレーや茶系のスーツは、業界によってはカジュアルすぎると見なされる可能性があるため、避けるのが無難です。
  • : 無地が最もフォーマルで間違いありません。転職活動でビジネススーツを選ぶ場合でも、シャドーストライプなど、遠目には無地に見える程度の控えめな柄に留めましょう。
  • ボタン: ジャケットのボタンは、一番下のボタンを外すのがマナーです(アンボタンマナー)。2つボタンの場合は上のボタンのみ、3つボタンの場合は真ん中のボタンのみ(または上2つ)を留めます。全てのボタンを留めると、スーツに不自然なシワが寄り、着慣れていない印象を与えてしまいます。

ワイシャツ

  • : 清潔感のある白の無地が絶対的な基本です。白はレフ板効果で顔色を明るく見せてくれるメリットもあります。薄い水色も許容範囲とされることが多いですが、迷ったら白を選びましょう。色付きのシャツや柄物のシャツはカジュアルな印象が強くなるため、証明写真には不向きです。
  • 襟の形: 最も標準的な「レギュラーカラー」か、少し襟の開きが広い「ワイドカラー」を選びましょう。襟の先をボタンで留めるボタンダウンシャツは、もともとカジュアルなシャツであるため、フォーマルな場である履歴書写真では避けるべきです。
  • サイズと状態: 首周りや袖の長さが合ったサイズを選びます。首と襟の間に指が1〜2本入る程度のゆとりが適切です。撮影前には必ずアイロンをかけ、黄ばみや汚れがないかを確認しましょう。

ネクタイ

ネクタイは、Vゾーンの印象を決定づける重要なアイテムです。色や柄によって相手に与える印象が変わるため、戦略的に選びましょう。

  • :
    • 青・紺系: 誠実、真面目、勤勉、知的な印象。業界を問わず使える万能色で、最も人気があります。
    • 赤・えんじ系: 情熱、積極性、リーダーシップ。営業職や企画職など、やる気をアピールしたい場合におすすめです。
    • 黄・オレンジ系: 明るさ、親しみやすさ、協調性。コミュニケーション能力をアピールしたい場合に有効です。
    • グレー系: 落ち着き、穏やかさ、知的。堅実な印象を与えたい場合に適しています。
  • : 小さなドット柄、細かいチェック柄、ストライプ(レジメンタル)柄など、派手すぎないシンプルなデザインを選びます。ブランドロゴが大きく入ったものや、キャラクター柄、ペイズリー柄などの個性的なものは避けましょう。
  • 結び方: ディンプル(結び目の下のくぼみ)をきれいに作ることで、立体的で美しいVゾーンが完成します。結び方が緩んでいたり、左右に曲がっていたりするとだらしない印象になるため、鏡を見ながら丁寧に結びましょう。

女性の服装ポイント

女性の場合、スーツのデザインやインナーの選択肢が男性よりも豊富ですが、その分、選び方に注意が必要です。清潔感と品格を意識したコーディネートを心がけましょう。

スーツ・ジャケット

  • : 男性同様、黒、濃紺、ライトグレー、ベージュなどが一般的です。黒や濃紺は引き締まった真面目な印象、ライトグレーやベージュは柔らかく明るい印象を与えます。応募する業界の雰囲気や、自分がどう見られたいかに合わせて選ぶと良いでしょう。
  • デザイン: 襟付きの「テーラードジャケット」が最もフォーマルで標準的です。襟のない「ノーカラージャケット」も、すっきりとして上品な印象を与えるため、特に事務職や受付、アパレル業界などで人気があります。
  • ボタン: ボタンはすべて留めるのが基本です。1つボタン、2つボタンなどデザインによって異なりますが、すべて留めてもシルエットが崩れないように作られています。

ブラウス・インナー

ジャケットの下に着るインナーは、顔周りの印象を大きく左右します。

  • 種類:
    • シャツタイプ: きちんとした真面目な印象を与えます。襟の形には、男性のワイシャツと同様の「レギュラーカラー」と、襟が開いた「スキッパーカラー」があります。スキッパーカラーは首元がすっきりと見え、明るく快活な印象を与えます。
    • ブラウス・カットソー: 柔らかく、女性らしい印象を与えます。胸元が開きすぎない、シンプルなデザインを選びましょう。フリルやリボンが付いているデザインもありますが、あまり華美なものは避け、控えめなものを選ぶのがポイントです。
  • : 清潔感を最も演出しやすい白が基本です。淡いパステルカラー(ピンク、ブルー、イエローなど)も顔色を明るく見せる効果がありますが、派手な印象にならないよう、ごく薄い色味のものを選びましょう。
  • 透け感: 白いインナーは下着が透けやすいことがあるため、ベージュなど透けにくい色のインナーを着用する配慮が必要です。

アクセサリー

履歴書写真では、結婚指輪以外のアクセサリー(ネックレス、ピアス、イヤリングなど)は、基本的にすべて外すのがマナーです。ビジネスシーンに不要な装飾品は、華美な印象や、TPOをわきまえない印象を与える可能性があります。どうしても着用したい場合は、ごく小ぶりでシンプルなデザインの、揺れないタイプのピアスやイヤリングに留めましょう。

業界や職種によっては私服(オフィスカジュアル)も可

アパレル業界、広告・マスコミ業界、IT・Web業界、デザイナーなどのクリエイティブ職など、企業の文化として服装の自由度が高い場合は、スーツではなくオフィスカジュアルでの撮影が許容、あるいは推奨されることがあります。その場合は、個性を表現しつつも、ビジネスシーンにふさわしい清潔感と品格を保つことが重要です。

  • 男性: ジャケット(紺やグレー)に、襟付きのシャツやポロシャツ、きれいめのチノパンやスラックスを合わせるスタイルが基本です。
  • 女性: ジャケットやカーディガンに、ブラウスやシンプルなニット、きれいめのスカートやパンツを合わせます。

ただし、「私服で」と指定されていても、Tシャツにデニムのようなラフすぎる格好はNGです。「ビジネスカジュアル」や「オフィスカジュアル」を意識した、きちんと感のある服装を選びましょう。判断に迷った場合は、スーツを着用しておくのが最も安全な選択です。

夏場でもジャケットは着用するべき?

夏の暑い時期の就職・転職活動では、「クールビズ」が推奨されていることもあり、ジャケットを着用すべきか迷うかもしれません。しかし、履歴書写真の撮影においては、季節に関わらずジャケットを着用するのが基本マナーです。

シャツやブラウス一枚での撮影は、どうしてもカジュアルで、やや締まりのない印象になってしまいます。ジャケットを羽織ることで、フォーマル感が格段に増し、真剣な姿勢をアピールできます。写真館やスピード写真機の中は空調が効いているため、撮影の瞬間だけジャケットを着用することはそれほど苦にはならないはずです。

企業から「クールビズで」と明確な指示がある場合を除き、証明写真は正装であるスーツスタイルで臨むのが、間違いのない選択と言えるでしょう。

【男女別】清潔感が伝わる髪型・メイク術

服装と並んで、応募者の「清潔感」を判断する上で重要な要素が、髪型とメイクです。特に顔がアップで写る履歴書写真では、細かな部分まで見られています。ここでは、採用担当者に好印象を与えるための、男女別の髪型・メイクのポイントを具体的に解説します。

男性の髪型・身だしなみ

男性の身だしなみで最も重視されるのは、爽やかさと清潔感です。過度なオシャレよりも、ビジネスパーソンとしての信頼感を意識したスタイリングを心がけましょう。

髪型・髪色

  • 基本のスタイル: 短髪が最も好印象を与えます。特に、おでこ、眉、耳周りがすっきりと見える髪型は、明るく誠実な印象を演出します。前髪が長くて目にかかっていると、暗い、自信がないといったネガティブな印象を与えかねません。撮影前には美容院でカットし、襟足やもみあげもきれいに整えてもらいましょう。
  • スタイリング: 寝癖がついたまま撮影に臨むのは厳禁です。ワックスなどの整髪料を使い、髪の流れを整えましょう。ただし、つけすぎには注意が必要です。ワックスで髪を固めすぎたり、ジェルでテカテカに光らせたりすると、不自然で清潔感に欠ける印象になります。あくまで自然な毛流れを作る程度に、少量をなじませるのがポイントです。
  • 髪色: 基本は黒髪です。地毛が明るい茶色の場合などはそのままでも問題ありませんが、明らかに染めていると分かる金髪や派手なメッシュなどは、業界を問わず避けるべきです。特に金融、公務員、メーカーなど堅実なイメージが求められる業界では、黒髪が無難です。ITやアパレルなど比較的自由な社風の企業であっても、清潔感のある落ち着いたトーンの髪色にすることが望ましいです。

髭(ひげ)の処理

  • 原則はきれいに剃る: 履歴書写真では、髭はきれいに剃り落とすのが基本マナーです。無精髭や剃り残しは、だらしなく不潔な印象を与え、自己管理ができていないと判断される最大の要因になります。撮影日の朝に、深剃り用のシェーバーやカミソリで丁寧に剃りましょう。肌が弱い方は、蒸しタオルで肌を温めてから剃ると、肌への負担を軽減できます。
  • デザイン髭の扱い: アパレル業界やクリエイティブ職など、一部の職種では個性を表現するために髭を許容している企業もあります。もし髭をデザインとして残す場合は、無精髭に見えないよう、長さを均一に整え、輪郭をシャープにするなど、手入れが行き届いていることを明確に示す必要があります。 しかし、多くの企業、特に伝統的な日本の企業では髭に対して保守的な見方が根強いため、応募先の社風が分からない場合は、剃っておくのが最も安全な選択です。青髭が気になる方は、写真館の修正サービスを利用するのも一つの手です。

女性の髪型・メイク

女性の場合、髪型は「清潔感」と「上品さ」を、メイクは「健康的」で「知的な」印象を演出することがポイントです。派手さやトレンド感ではなく、誰からも好感を持たれるナチュラルな仕上がりを目指しましょう。

髪型・髪色

  • 基本のスタイル: 顔の輪郭や表情がはっきりと見えることが最も重要です。
    • ロング・ミディアムヘアの場合: 髪を下ろしたままだと、顔に髪がかかって暗い印象になったり、お辞儀をした際に髪が乱れたりするため、一つに束ねるのが基本です。耳より下の位置で結ぶ「ローポニーテール」や、よりすっきりとまとまる「シニヨン(お団子)」がおすすめです。後れ毛やアホ毛は、ワックスやスプレーでしっかりまとめましょう。
    • ショート・ボブヘアの場合: 無理に結ぶ必要はありませんが、サイドの髪を耳にかけるなどして、顔周りをすっきりさせましょう。前髪と同様、サイドの髪が顔の輪郭を隠さないように注意が必要です。
  • 髪色: 男性同様、黒髪か、地毛に近いダークブラウン(7トーン程度までが目安)が基本です。明るすぎる髪色は、派手でTPOをわきまえない印象を与えかねません。根元が伸びてプリン状態になっているのは、だらしなく見えるため絶対に避けましょう。

前髪の整え方

前髪は顔の印象を大きく左右します。眉や目にかからないように整えるのが鉄則です。

  • 長い前髪: センター分けやサイドに流す「斜め前髪」にして、ピンで留めるか、ヘアスプレーで固定します。
  • 短い前髪(ぱっつんなど): 眉毛が見える長さに整えます。重すぎる印象になる場合は、少し量を減らして軽さを出すと、表情が明るく見えます。

ベースメイク

  • 目的: 肌のくすみや色ムラ、クマなどをカバーし、健康的で明るい肌を演出することが目的です。厚塗りは不自然で老けた印象になるため、薄付きを意識します。
  • 手順:
    1. 化粧下地で肌の凹凸や色ムラを整えます。コントロールカラーを使って、赤みや黄ぐすみを補正するのも効果的です。
    2. リキッドまたはパウダーファンデーションを、顔の中心から外側に向かって薄く均一に伸ばします。
    3. 気になるニキビ跡やクマは、コンシーラーで部分的にカバーします。
    4. 最後にフェイスパウダーを軽くはたき、テカリを抑えて化粧崩れを防ぎます。特にTゾーンはテカリやすいので丁寧に押さえましょう。

アイメイク

  • 目的: 知的で意志の強さを感じさせる目元を作ります。派手な色やラメは避け、ナチュラルで上品な仕上がりを目指します。
  • アイシャドウ: ブラウン系やベージュ系、ピンクベージュなど、肌なじみの良い色がおすすめです。パールやラメ感が強すぎるものは避け、マットか、ごく微細なパール感のものを選びましょう。
  • アイライン: まつ毛の隙間を埋めるように、細く引きます。色はブラックかダークブラウンが良いでしょう。目尻を長く跳ね上げる「キャットライン」は避け、自然に目の形に沿わせます。
  • マスカラ: ビューラーでまつ毛を自然にカールさせた後、ダマにならないように丁寧に塗ります。ロングタイプやセパレートタイプのマスカラがおすすめです。ボリュームタイプのつけすぎや、つけまつげは不自然になるためNGです。

チーク・リップ

  • 目的: 血色感をプラスし、健康的で快活な印象を与えます。
  • チーク: コーラルピンクやオレンジベージュなど、肌なじみの良い健康的な色を選びます。頬骨の高い位置に、ふんわりと丸く、または楕円形に薄く入れます。濃く入れすぎると不自然になるので、少し物足りないくらいが丁度良いです。
  • リップ: チークの色味と合わせた、ピンクベージュやコーラル系の落ち着いた色が基本です。グロスのようなテカテカした質感のものは避け、適度なツヤと潤いのある口紅や色付きリップクリームを選びましょう。輪郭をリップライナーで整えると、よりきちんとした印象になります。

ノーメイクは、顔色が悪く見えたり、社会人としてのマナー違反と捉えられたりする可能性があるため避けましょう。あくまで「ビジネスの場にふさわしい身だしなみ」として、ナチュラルで清潔感のあるメイクを施すことが重要です。

履歴書写真の撮影方法3選|メリット・デメリットを比較

履歴書写真を用意する方法は、主に「写真館・フォトスタジオ」「スピード写真機」「スマートフォンでの自撮り」の3つがあります。それぞれにメリット・デメリット、料金相場が異なります。結論から言うと、就職・転職活動においては、品質とサポートが充実している「写真館・フォトスタジオ」での撮影が最もおすすめです。

撮影方法 メリット デメリット 料金相場 おすすめ度
① 写真館・フォトスタジオ ・プロによる撮影とライティング
・表情や姿勢のアドバイス
・高品質な仕上がり
・ヘアメイクやレタッチ(修正)
・データでの受け取りが可能
・費用が高い
・時間がかかる(予約が必要な場合も)
2,000円~10,000円程度
(プランによる)
★★★★★
② スピード写真機 ・費用が安い
・短時間で撮影できる
・手軽でどこにでもある
・品質にばらつきがある
・撮り直し回数に制限がある
・アドバイスや修正がない
・ライティングが不自然になりがち
800円~1,200円程度 ★★★☆☆
③ スマホでの自撮り ・費用がかからない
・いつでも撮影できる
・品質が低い(画質、影、歪み)
・背景の確保が難しい
・不真面目な印象を与えるリスク大
・原則としてNG
0円 ★☆☆☆☆

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

① 写真館・フォトスタジオ

プロのカメラマンが、専用の機材とスタジオで撮影してくれる方法です。特に第一印象が重要となる新卒の就職活動や、キャリアアップを目指す転職活動において、最も信頼性が高く、おすすめの選択肢です。

メリット

  • プロによる高品質な撮影: カメラマンが、最適なライティング(照明)を調整し、あなたの魅力を最大限に引き出す写真を撮影してくれます。肌の色がきれいに見え、立体感のあるプロフェッショナルな仕上がりになります。
  • 客観的なアドバイス: 姿勢の歪み、ネクタイの曲がり、髪の乱れなど、自分では気づきにくい点をプロの視点でチェックし、直してくれます。表情が硬い場合も、「口角をもう少し上げてみましょう」「少し顎を引いて」といった具体的な指示で、自然な笑顔を引き出してくれます。
  • 豊富なオプションサービス:
    • ヘアメイク: 就活・転職活動に特化したプロのヘアメイクアーティストが、清潔感のある髪型やメイクを施してくれるプランがあります。自分でセットするのが苦手な方には非常に心強いサービスです。
    • レタッチ(画像修正): 気になる肌荒れやニキビ、目の下のクマ、髪のアホ毛などを、不自然にならない範囲で自然に修正してくれます。清潔感を格段にアップさせることができます。
  • 写真データの入手: 撮影した写真データをCD-Rやダウンロード形式で受け取ることができます。このデータがあれば、Web履歴書への添付や、焼き増しが簡単に行えるため、非常に便利です。

デメリット

  • 費用が高い: スピード写真に比べると、費用は高くなります。基本的な撮影プランから、ヘアメイクやレタッチ、データなどがセットになったプランまで様々で、高機能になるほど価格も上がります。
  • 時間がかかる: 予約が必要な場合が多く、撮影から写真の受け取りまでにある程度の時間がかかります。急いでいる場合には不向きなこともあります。

料金相場

  • 基本プラン(撮影+プリント数枚): 2,000円~4,000円程度
  • レタッチ付きプラン: 4,000円~8,000円程度
  • ヘアメイク+レタッチ+データ付きフルプラン: 8,000円~15,000円程度

(参照:大手写真スタジオ各社公式サイト)

② スピード写真機

駅や商業施設、コンビニエンスストアの近くなどに設置されている無人の証明写真ボックスで撮影する方法です。手軽さと安さが最大の魅力です。

メリット

  • 安くて速い: 800円~1,200円程度と非常に安価で、撮影からプリントまで数分で完了します。急に証明写真が必要になった場合に便利です。
  • 手軽さ: 予約不要で、24時間利用できる機械も多いため、自分の都合の良い時にいつでも撮影できます。

デメリット

  • 品質のばらつき: ライティングが顔の正面からしか当たらないため、顔が平面的に見えたり、メガネが反射したり、不自然な影ができたりすることがあります。機械の性能によっても仕上がりが大きく左右されます。
  • 撮り直し制限: 撮り直しができる機種がほとんどですが、回数に制限(2~3回程度)があったり、時間制限があったりするため、焦ってしまい納得のいく表情が作れないまま終わってしまうことがあります。
  • セルフサービス: 身だしなみのチェックや姿勢、表情作りなど、すべて自分一人で行う必要があります。客観的な視点がないため、自分では気づかないマイナス点があるまま撮影してしまうリスクがあります。

料金相場

  • 通常撮影: 800円~1,000円程度
  • 高画質・肌補正機能付き: 1,000円~1,200円程度
  • データ転送サービス付き: 上記料金に+200円程度

(参照:大手スピード写真機メーカー公式サイト)

アルバイトやパートの応募など、比較的カジュアルな選考であればスピード写真でも問題ない場合が多いですが、正社員の応募では、可能な限り写真館の利用をおすすめします。

③ スマホでの自撮りやアプリ加工は原則NG

スマートフォンで手軽に撮影できる時代ですが、履歴書用の写真をスマートフォンで自撮りすることは、原則として絶対に避けるべきです。

自撮りがNGとされる理由

  • 不真面目な印象: 採用担当者から「手間を惜しんでいる」「志望度が低い」「常識がない」と判断される可能性が非常に高いです。自撮り写真が貼られた履歴書は、その時点で選考対象から外されることもあり得ます。
  • 品質の低さ:
    • 画質の劣化: インカメラは一般的に画質が低く、きれいに写りません。
    • 歪み: 顔の近くで撮影するため、レンズの広角効果で顔のパーツが歪んで写ってしまいます。
    • 照明と影: 均一な光を当てるのが難しく、顔に不自然な影ができたり、背景に生活感が出てしまったりします。
    • 角度: どうしても斜め上からの角度になりがちで、証明写真としてふさわしい正面からの構図になりません。
  • 過度な加工のリスク: 美肌加工や輪郭補正ができるアプリもありますが、これらは実物との乖離を生み出し、「虚偽の申告」と捉えられるリスクがあります。プリクラや加工アプリで撮影した写真は論外です。

どうしても必要な場合の注意点

やむを得ない事情(海外からの応募で日本の写真サービスが利用できない、締切が目前でどうしても間に合わないなど)で、本当に他に手段がない場合に限り、以下の点に最大限注意して撮影・提出を検討しますが、これはあくまで最終手段であり、推奨される方法ではありません。

  • 白い壁を背景にする: 無地の白い壁の前で撮影します。
  • 三脚とタイマーを使う: 誰かに撮影してもらうか、三脚でスマホを固定し、タイマー機能を使って撮影します。手で持っての自撮りは絶対に避けます。
  • 自然光を利用する: 日中の明るい窓際などで、顔に均一に光が当たるように撮影します。
  • 服装と身だしなみ: スーツを着用し、髪型やメイクも他の方法と同様に整えます。
  • 加工はしない: 美肌加工やフィルターなどの機能は一切使用しません。
  • 印刷品質: 証明写真用の光沢紙に、規定サイズ(縦4cm×横3cm)で鮮明に印刷します。

繰り返しになりますが、スマホでの撮影はリスクが非常に高いため、特別な事情がない限り、写真館か、最低でもスピード写真機を利用するようにしましょう。

履歴書への写真の貼り方と万が一の備え

丁寧に撮影した写真も、履歴書への貼り方が雑だと台無しになってしまいます。貼り方一つにも、応募者の丁寧さや仕事への姿勢が表れます。ここでは、写真の正しい貼り方と、万が一写真が剥がれてしまった場合に備えるための重要なポイントを解説します。

写真の裏には必ず氏名を書く

これは非常に重要でありながら、意外と忘れがちなポイントです。履歴書に写真を貼る前に、写真の裏側に油性の細字ペンで「氏名」と「撮影年月日」を記入しておきましょう。大学新卒の場合は、大学名と学部名を書いておくとさらに丁寧です。

なぜこの作業が必要なのでしょうか。それは、郵送中や採用担当者が書類を扱っている最中に、万が一写真が剥がれてしまった場合の対策です。採用担当者の手元には、毎日多くの履歴書が届きます。もし剥がれた写真が誰のものか分からなくなってしまえば、その履歴書は写真なしの不備がある書類として扱われ、選考で不利になる可能性があります。

裏面に氏名が書かれていれば、たとえ剥がれても、採用担当者はどの応募者の写真かすぐに判断し、元の履歴書に戻すことができます。この一手間が、あなたを予期せぬトラブルから守る保険になるのです。

書く際の注意点として、水性ペンを使うとインクが滲んだり、のりの水分で文字が消えたりする可能性があるため、必ず油性ペンを使用してください。また、ボールペンで強く書くと、写真の表面に筆跡が凹凸として浮き出てしまうことがあるため、筆圧には注意しましょう。

のりや両面テープでまっすぐ丁寧に貼る

写真の裏に氏名を書いたら、いよいよ履歴書に貼り付けます。この時、履歴書の写真貼付欄の枠線に合わせて、まっすぐ、かつはみ出さないように丁寧に貼ることが重要です。写真が曲がっていたり、のりがはみ出してベタベタしていたりすると、「大雑把な性格」「仕事も雑なのではないか」というマイナスの印象を与えかねません。

貼り付けには、のりや両面テープを使用します。セロハンテープで上から貼るのは、見た目が悪く、剥がれやすいため絶対にやめましょう。ホッチキスで留めるのも論外です。

まっすぐ貼るためのコツは、いきなり全体を貼り付けるのではなく、まず写真の上辺を貼付欄の枠線にぴったりと合わせ、位置が決まったら、ゆっくりと下の方へ空気を抜きながら貼り付けていくことです。焦らず、慎重に作業を進めましょう。もし貼り付けに失敗してしまった場合は、無理に剥がそうとすると履歴書が破れてしまう可能性があります。その場合は、潔く新しい履歴書に書き直すのが賢明です。予備の履歴書と写真は、少し多めに用意しておくと安心です。

おすすめののりの種類

写真をきれいに貼るためには、道具選びも重要です。履歴書の写真貼付におすすめの、のりの種類とそれぞれの特徴を紹介します。

のりの種類 メリット デメリット おすすめ度
スティックのり ・手や周りを汚しにくい
・ムラなく塗りやすい
・紙がシワになりにくい
・粘着力が弱い製品もある
・乾くと剥がれやすいことがある
★★★★★
両面テープ ・強力な粘着力で剥がれにくい
・手が汚れず、シワにならない
・きれいに仕上がる
・一度貼ると貼り直しが難しい
・厚みがあるものは写真が浮く
★★★★☆
テープのり ・両面テープと同様にきれいに仕上がる
・手を汚さずに素早く作業できる
・粘着力が製品によって様々
・貼り直しが難しい
★★★★☆
液体のり(水のり) ・粘着力が強い ・水分で紙が波打ったり、シワになったりしやすい
・はみ出しやすく、周りが汚れやすい
★★☆☆☆

最もおすすめなのは「スティックのり」です。特に「シワになりにくい」や「強力粘着」を謳っている製品を選ぶと良いでしょう。写真の四隅と中央にしっかりと塗ることで、剥がれにくくなります。

「両面テープ」も非常に優れた選択肢です。仕上がりが美しく、粘着力も強いため、剥がれる心配がほとんどありません。写真のサイズに合わせてカットする手間はかかりますが、その価値は十分にあります。

一方で、液体のり(水のり)はあまりおすすめできません。 水分量が多いため、写真用紙や履歴書が水分を吸って波打ってしまい、見栄えが悪くなる可能性が高いです。また、はみ出しやすく、乾くまでに時間がかかるため、きれいに仕上げるのが難しいです。

最終的にどの道具を使うにしても、大切なのは「丁寧さ」です。たかが貼り付け作業と侮らず、細心の注意を払って行うことが、あなたの真摯な姿勢を伝えることにつながります。

Web履歴書で写真データを提出する場合の注意点

企業指定のファイル形式・サイズを確認する、ファイル名は「氏名_日付」など分かりやすく設定する、写真データを入手する方法

近年、企業の採用活動のオンライン化が進み、紙の履歴書ではなく、Web上のシステムやメールで履歴書データを提出する機会が急増しています。その際、証明写真も画像データとしてアップロードまたは添付する必要があります。ここでは、写真データを提出する際に押さえておくべき注意点を解説します。

企業指定のファイル形式・サイズを確認する

紙の履歴書で写真サイズが決まっているのと同様に、データで提出する場合も、企業がファイル形式やサイズを指定していることがほとんどです。応募要項やアップロード画面の注意書きを必ず隅々まで確認し、その指示に正確に従うことが絶対的なルールです。

  • ファイル形式:
    一般的に指定されるファイル形式は「JPEG(.jpg, .jpeg)」または「PNG(.png)」です。JPEGは圧縮率が高くファイルサイズを小さくしやすいのが特徴で、PNGは背景を透過できる(Web履歴書ではあまり使いませんが)など高機能で画質劣化が少ないのが特徴です。どちらを指定されても対応できるようにしておきましょう。HEIC(iPhoneの標準形式)など、特殊な形式のまま提出すると、採用担当者がファイルを開けない可能性があるため、必ず指定された形式に変換してください。
  • ファイルサイズ(容量):
    アップロードできる写真データには、容量の上限が設けられていることが多く、「2MB(メガバイト)以内」などが一般的です。写真館で受け取ったデータは高画質で容量が大きい場合があるため、指定された容量を超えていないか確認が必要です。もし超えている場合は、画像編集ソフトやオンラインの無料ツールを使ってリサイズ(圧縮)しましょう。
  • ピクセルサイズ(縦横の大きさ):
    容量だけでなく、画像の縦横の大きさ(ピクセル数)が指定されている場合もあります。例えば「縦600px × 横450px」のように、紙の写真の比率(縦4:横3)に合わせた指定が一般的です。この指定がある場合も、画像編集ソフトで正確にトリミング・リサイズする必要があります。

指定された形式やサイズを守ることは、指示を正確に理解し実行できる能力の証明にもなります。指定を無視したデータを送ってしまうと、「注意力が散漫」「指示を聞かない」といったマイナス評価に直結する恐れがあるため、細心の注意を払いましょう。

ファイル名は「氏名_日付」など分かりやすく設定する

写真データを保存する際のファイル名にも配慮が必要です。採用担当者は、多くの応募者から送られてくる写真データを管理します。その際、IMG_1234.jpgのような、カメラやスマートフォンが自動で付けたファイル名のままだと、誰の写真データなのか一目で分からず、管理の手間を増やしてしまいます。

採用担当者の立場に立った、分かりやすいファイル名に設定するのがビジネスマナーです。

【分かりやすいファイル名の例】

  • 履歴書写真_山田太郎_20240520.jpg
  • 山田太郎_証明写真.jpeg
  • Yamada_Taro_photo.png

このように、「氏名」「用途」「日付」などを組み合わせると、誰の何のデータか一目瞭然となり、非常に親切です。漢字、カタカナ、ローマ字など、企業からの指定がなければいずれでも問題ありませんが、一般的には半角英数字とアンダースコア(_)で構成するのが最も無難です。この小さな配慮が、あなたの評価を静かに高めることにつながります。

写真データを入手する方法

Web履歴書に必要な写真データは、いくつかの方法で入手できます。

  1. 写真館・フォトスタジオで受け取る:
    最もおすすめの方法です。多くの写真館では、撮影した写真データをCD-RやUSBメモリ、あるいは専用サイトからのダウンロードといった形で提供してくれるプランがあります。プロが撮影・レタッチした高品質なデータを、Web提出用に最適化されたサイズで受け取れるため、手間がかからず安心です。
  2. スピード写真機のデータ転送サービスを利用する:
    最近のスピード写真機には、撮影したデータをスマートフォンに転送できるサービスが付いているものが増えています。専用アプリをダウンロードし、撮影後に表示されるQRコードを読み込むことで、データを取得できます。手軽にデータを入手できますが、画質は写真館に劣る点に注意が必要です。
  3. 手元にある写真をスキャンする:
    すでに印刷された証明写真しか手元にない場合の最終手段です。自宅のスキャナーや、コンビニのマルチコピー機を使ってスキャンし、データ化します。ただし、スキャンすると画質が劣化したり、紙の質感や細かなホコリが写り込んだりして、元の写真よりも見栄えが悪くなる可能性があります。また、まっすぐスキャンするのも意外と難しいため、可能な限り上記1か2の方法で元データを入手することをおすすめします。

Webでの応募が主流となった現代において、高品質な写真データを一つ持っておくことは、就職・転職活動をスムーズに進める上で非常に重要です。初期投資はかかりますが、写真館で撮影し、データを入手しておくことが、結果的に最も効率的で安心な方法と言えるでしょう。

履歴書写真のよくある質問Q&A

メガネやコンタクト(カラコン)は着用していい?、歯を見せて笑ってもいい?、アルバイト・パートの履歴書写真も同じルール?、以前に撮った写真や他の証明写真は使える?、写真なしの履歴書を提出してもいい?、スピード写真で撮り直しはできる?

ここでは、履歴書写真に関して多くの人が抱く疑問や不安について、Q&A形式で詳しくお答えします。

メガネやコンタクト(カラコン)は着用していい?

A. 普段の生活でメガネやコンタクトレンズを使用している場合は、着用したまま撮影して問題ありません。

採用担当者は、面接時に会う人物と履歴書の写真が一致することを期待しています。そのため、普段のあなたに近い状態で撮影するのが基本です。

  • メガネの場合:
    普段から常にメガネをかけているのであれば、かけたまま撮影しましょう。ただし、レンズに照明が強く反射して目が見えなくなったり、フレームが太すぎて顔の印象を大きく変えてしまったりしないように注意が必要です。ビジネスシーンにふさわしい、シンプルで知的な印象のフレームが望ましいです。色付きのレンズや、デザイン性が強すぎるファッションメガネは避けましょう。写真館で撮影すれば、カメラマンが光の反射を調整してくれます。
  • コンタクトレンズの場合:
    通常の透明なコンタクトレンズは、全く問題ありません。
  • カラーコンタクト(カラコン)・ディファインの場合:
    カラコンは、原則としてNGです。瞳の色や大きさを不自然に変えるものは、ビジネスの場にふさわしくないと見なされ、「TPOをわきまえない」という印象を与えます。ディファイン(瞳の輪郭を強調するサークルレンズ)については、非常にナチュラルで、他人が見てもほとんど分からない程度のものであれば許容される場合もありますが、基本的には避けるのが無難です。採用の場では、誠実さや自然体の姿が評価されます。リスクを冒す必要はありません。

歯を見せて笑ってもいい?

A. いいえ、歯を見せた笑顔は避けましょう。口角を上げた自然な微笑みがベストです。

履歴書写真は、あなたの身分を証明するための「証明写真」の一種です。パスポート写真ほど厳格ではありませんが、公的な書類に添付する写真としての品格が求められます。

歯を見せて笑うと、明るく親しみやすい印象にはなりますが、証明写真としてはカジュアルすぎ、TPOに合わないと判断される可能性があります。採用担当者によっては、「軽薄」「真剣味に欠ける」といったネガティブな印象を持つ人もいるかもしれません。

理想的な表情は、口をしっかりと閉じ、両方の口角を少しだけ引き上げた「微笑み」です。これにより、真顔の硬さが和らぎ、穏やかで誠実、かつ意欲的な印象を演出できます。鏡の前で、口角を上げる練習をしておくと良いでしょう。

アルバイト・パートの履歴書写真も同じルール?

A. はい、基本的には正社員の応募と同じルールを守ることを強くおすすめします。

アルバイトやパートの応募であっても、採用担当者が写真から「清潔感」「人柄」「真剣さ」を見ていることに変わりはありません。特に、接客業や食品を扱う仕事など、お客様と直接関わる職種では、身だしなみや清潔感が非常に重視されます。

もちろん、正社員の応募ほど厳格に評価されないケースもありますが、ルールを守った丁寧な写真を提出することで、他の応募者と差をつけ、「この人は真面目に仕事をしてくれそうだ」という好印象を与えることができます。

最低限、以下の点は必ず守りましょう。

  • スーツ着用がベストですが、職種によっては清潔感のあるオフィスカジュアル(襟付きのシャツやブラウスなど)でも可。
  • 背景は白など無地のものを選ぶ。
  • 表情は自然な微笑み。
  • スマホでの自撮りではなく、スピード写真機などで撮影する。

「アルバイトだからこれくらいでいいだろう」と安易に考えず、真摯な姿勢を示すことが、採用への近道です。

以前に撮った写真や他の証明写真は使える?

A. 原則として、3ヶ月以内に撮影した、履歴書用の写真を使用してください。

  • 以前に撮った写真:
    撮影から3ヶ月以上経過している写真は、現在のあなたの容姿と異なっている可能性があるため、使用は避けるべきです。特に、髪型や体型が大きく変わった場合は、必ず撮り直しましょう。「古い写真を使い回している」と判断されると、志望度が低いと見なされるリスクがあります。
  • 他の証明写真(パスポート、運転免許証など):
    これらの証明写真を履歴書に流用することはできません。理由は主に2つあります。

    1. サイズの不一致: パスポート用(縦4.5cm×横3.5cm)など、用途によって証明写真の規定サイズは異なります。履歴書の枠に合わない写真を無理に貼ると、見栄えが悪くなります。
    2. 規定の違い: パスポート写真は、国際的な基準で本人識別を厳密に行うため、表情や顔の大きさなどに細かい規定があります。これを履歴書に使うと、無表情で硬い印象を与えてしまう可能性が高いです。

応募する企業への敬意と真剣さを示すためにも、必ず「履歴書用」として、適切な時期に撮影した写真を用意しましょう。

写真なしの履歴書を提出してもいい?

A. いいえ、写真貼付欄がある場合は、必ず写真を貼って提出するのがマナーです。

写真が貼られていない履歴書は、「書類不備」と見なされる可能性が非常に高いです。採用担当者からすれば、「なぜ貼らないのだろう?」と不審に思ったり、「指示に従えない」「入社意欲が低い」と判断したりする原因になります。

企業が写真の提出を求めるのは、本人確認や人柄の確認といった正当な目的があるからです。その要求に応えないことは、社会人としての常識を疑われる行為になりかねません。万が一、写真を用意するのを忘れて締切直前になってしまった場合でも、写真なしで提出するよりは、近くのスピード写真機で急いで撮影して貼る方が賢明です。

企業側から「写真不要」と明確な指示がない限り、写真は必ず貼りましょう。

スピード写真で撮り直しはできる?

A. はい、最近の多くのスピード写真機では、撮り直しが可能です。

多くの機種で、撮影後に画面で仕上がりプレビューを確認し、気に入らなければ2〜3回程度まで撮り直すことができます。ただし、機種によっては撮り直し回数に制限があったり、制限時間内に決定しなければならなかったりします。

一度撮影して「目が半開きになってしまった」「表情が硬すぎた」などと感じた場合は、ためらわずに「撮り直し」ボタンを押しましょう。数百円を惜しんで納得のいかない写真で応募するよりも、満足のいく一枚が撮れるまで挑戦する方が、結果的に自分のためになります。撮影に入る前に、ボックス内に貼られている説明をよく読み、撮り直しの可否や回数を確認しておくと安心です。