事務職は、企業の円滑な運営を支える重要なポジションであり、安定した人気を誇る職種です。しかし、人気が高いがゆえに求人倍率も高くなる傾向にあり、転職を成功させるためには、他の応募者と差がつく「志望動機」の作成が不可欠です。
「未経験から事務職に挑戦したいけれど、何をアピールすれば良いかわからない」
「経験者だけど、もっと魅力的な志望動機を書きたい」
「採用担当者の心に響く志望動機には、どんな要素が必要なのだろうか」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。志望動機は、単に「なぜこの会社で働きたいか」を伝えるだけでなく、あなたのスキルや経験、そして仕事に対する熱意をアピールするための重要なツールです。採用担当者は、志望動機から「自社で長く活躍してくれる人材か」「会社の成長に貢献してくれるか」を見極めようとしています。
この記事では、事務職への転職を目指すすべての方に向けて、採用担当者に評価される志望動機の書き方を徹底的に解説します。事務職の仕事内容の基本から、評価されるポイント、具体的な作成ステップ、そして経験者・未経験者それぞれの状況に合わせた10個の例文まで、網羅的にご紹介します。
この記事を最後まで読めば、あなた自身の経験や強みを最大限に活かした、説得力のある志望動機を作成できるようになるでしょう。
目次
そもそも事務職とは?主な仕事内容と種類
「事務職」と一言でいっても、その業務内容は多岐にわたります。志望動機を作成する前に、まずは事務職にはどのような種類があり、それぞれがどのような役割を担っているのかを正しく理解することが重要です。自分が応募する職種への深い理解は、志望動機の説得力を格段に高めます。 ここでは、代表的な事務職の種類と、その仕事内容について詳しく見ていきましょう。
事務職の種類 | 主な仕事内容 | 求められるスキル・知識 | 向いている人の特徴 |
---|---|---|---|
一般事務 | データ入力、書類作成・管理、電話・来客対応、備品管理など、部署や組織全体のサポート業務全般 | PCスキル(Word, Excel)、コミュニケーション能力、正確性 | 協調性があり、マルチタスクが得意な人 |
営業事務 | 受注・発注処理、見積書・請求書作成、納期管理、営業担当者のサポートなど | PCスキル、コミュニケーション能力、調整力、業界知識 | 人のサポートが好きで、臨機応変な対応ができる人 |
経理事務 | 入出金管理、伝票処理、請求・支払業務、月次・年次決算補助など | 簿記の知識、PCスキル(特にExcel)、正確性、数字に強いこと | 几帳面で、コツコツとした作業が苦にならない人 |
総務・人事事務 | 備品管理、社内規定整備、福利厚生手続き、採用活動補助、勤怠管理、社会保険手続きなど | 幅広い業務知識、PCスキル、コミュニケーション能力、守秘義務の遵守 | 縁の下の力持ちとして会社全体を支えたい人 |
その他専門事務 | 貿易事務(通関書類作成、船積手配)、医療事務(レセプト作成、受付)、学校事務(学籍管理、窓口業務)など | 各分野の専門知識、語学力(貿易)、PCスキル | 専門性を高めたい、特定の分野で貢献したい人 |
一般事務
一般事務は、特定の部署に限定されず、企業や組織全体の円滑な運営をサポートする役割を担います。その業務範囲は非常に広く、「オフィスの何でも屋さん」と表現されることもあります。
主な仕事内容は、パソコンを使ったデータ入力や資料作成(会議資料、報告書など)、契約書や請求書といった各種書類のファイリング・管理、会社にかかってくる電話の取次ぎや来客時の応対、文房具やコピー用紙といった備品の発注・管理、郵便物の発送・仕分けなど多岐にわたります。
求められるのは、基本的なPCスキル(Wordでの文書作成、Excelでの簡単な表計算やグラフ作成)はもちろんのこと、様々な部署の社員や社外の人間と円滑にやり取りするためのコミュニケーション能力、そして複数の業務を同時にこなすマルチタスク能力です。 業務の正確性やスピードも重視されます。特別な専門知識は必須でないことが多いため、未経験からでも挑戦しやすい職種と言えます。しかし、その分、周囲への気配りや、頼まれた仕事を的確にこなす丁寧さが評価の分かれ目となります。
営業事務
営業事務は、営業部門に所属し、営業担当者のサポートを専門に行う職種です。営業担当者が顧客へのアプローチや商談といったコア業務に集中できるよう、バックオフィスから支える重要な役割を担います。
具体的な仕事内容としては、顧客からの注文を受け付ける受注処理、商品の在庫確認や発注業務、見積書や請求書、契約書といった各種書類の作成、納期の調整・管理、電話やメールでの顧客対応などが挙げられます。時には、営業担当者に代わって簡単な商品説明を行ったり、プレゼンテーション資料の作成を補助したりすることもあります。
営業事務には、PCスキルやコミュニケーション能力に加えて、営業担当者や顧客、製造部門など、多くの関係者と連携するための高い「調整力」が求められます。 また、自社の商品やサービスに関する知識も必要不可欠です。営業担当者の「右腕」として、先回りして必要な業務をこなす気配りや、急な依頼にも臨機応変に対応できる柔軟性がある人に向いています。営業の最前線を支える仕事であるため、売上達成などに貢献できた際には大きなやりがいを感じられるでしょう。
経理事務
経理事務は、会社のお金に関わる業務を専門に担当する職種です。会社の経営状態を正確に把握し、健全な企業活動を支えるという、極めて重要な役割を担っています。
主な仕事内容は、日々の入出金管理、経費精算、伝票の起票・整理、請求書の発行や支払業務など、日常的なお金の動きを記録・管理することです。さらに、月次決算や年次決算といった、一定期間ごとのお金の流れをまとめる業務の補助も行います。会社の規模によっては、給与計算や年末調整などを担当することもあります。
経理事務に最も求められるのは、1円のミスも許されない「正確性」と、数字に対する強さです。 そのため、日商簿記2級以上の資格を持っていると、専門知識の証明となり、転職で有利に働くことが多くなります。また、Excelを使って複雑な計算やデータ集計を行う場面も多いため、関数やピボットテーブルなどを使いこなせる高度なPCスキルも重要です。会社の経営に関わる機密情報を扱うため、高い倫理観と責任感も不可欠です。コツコツと地道な作業を続けることが得意で、数字を扱うことに抵抗がない人に向いています。
総務・人事事務
総務・人事事務は、社員が働きやすい環境を整え、組織を活性化させるための業務を担当します。総務と人事は別々の部署として存在することもありますが、中小企業などでは一人の担当者が兼任することも少なくありません。
総務事務の仕事は、会社の「縁の下の力持ち」として、他の部署が担当しないあらゆる業務を引き受けます。例えば、オフィスの備品管理や施設管理、社内規程の整備・運用、株主総会や取締役会の運営サポート、社内イベントの企画・運営、福利厚生制度の管理など、その範囲は非常に広いです。
一方、人事事務は、「ヒト」に関わる業務を専門とします。具体的には、新卒・中途採用活動のサポート(応募者管理、面接日程調整など)、社員の入退社手続き、社会保険や労働保険の手続き、勤怠管理、給与計算、社員研修の企画・運営などが挙げられます。
総務・人事事務には、社内外の多くの人と関わるための高いコミュニケーション能力と、会社全体の動きを把握する広い視野が求められます。 また、個人情報や会社の機密情報を扱うため、徹底した守秘義務の遵守が絶対条件となります。社員一人ひとりを支え、会社全体の基盤を強くすることにやりがいを感じる人に向いている職種です。
その他(貿易・医療・学校事務など)
上記の4つの事務職以外にも、特定の業界や分野に特化した「専門事務」と呼ばれる職種が存在します。これらの職種は、それぞれの分野における専門知識や特殊なスキルが求められるのが特徴です。
- 貿易事務: 輸出入に関わる書類(インボイス、パッキングリスト、船荷証券など)の作成や確認、輸送手段(船、飛行機)の手配、通関手続きのサポートなどを行います。英語をはじめとする語学力や、貿易に関する専門用語、法律(関税法など)の知識が必須となります。グローバルなビジネスの最前線を支える仕事です。
- 医療事務: 病院やクリニックといった医療機関で、受付業務、会計、診療報酬請求(レセプト)業務などを行います。レセプト業務は、医療行為の点数を計算し、健康保険組合などに請求するための専門的な作業です。医療保険制度や診療報酬に関する正確な知識が不可欠であり、「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)」などの資格が評価されます。
- 学校事務: 大学や専門学校、高校などで、学生や教職員をサポートする業務を行います。窓口での学生対応、履修登録や成績の管理、各種証明書の発行、入試関連業務、教職員の勤怠管理など、業務内容は多岐にわたります。教育の現場を支え、学生の成長を間近で感じられる仕事です。
これらの専門事務は、特定の分野への興味関心と、専門性を高めたいという意欲がある人にとって、大きなやりがいとキャリアアップの機会を提供してくれるでしょう。
採用担当者はここを見ている!評価される志望動機の3つのポイント
数多くの応募書類に目を通す採用担当者は、限られた時間の中で「自社にマッチし、貢献してくれる人材」を見極めなければなりません。彼らが志望動機を読む際に、特に重視しているのは次の3つのポイントです。これらのポイントを意識して志望動機を作成することが、書類選考を突破するための鍵となります。
① なぜ「事務職」なのかという熱意
特に未経験から事務職を目指す場合、採用担当者が最も知りたいのは「なぜ、数ある職種の中から事務職を選んだのか」という点です。ここが曖昧だと、「営業や販売の仕事が嫌になったから」「楽そうだから」といったネガティブな理由で志望しているのではないか、と捉えられかねません。
評価される志望動機にするためには、事務職という仕事内容への深い理解と、その仕事に対する前向きな意欲を示す必要があります。
- 過去の経験との接続: これまでの経験の中で、事務的な作業や誰かをサポートすることにやりがいを感じたエピソードを具体的に盛り込みましょう。例えば、「営業職時代、提案資料の作成やデータ分析を通じて営業チームの目標達成に貢献することに喜びを感じた」「販売職で、バックヤードでの在庫管理や売上集計を正確に行うことで、店舗運営がスムーズになることを実感した」など、具体的な場面を挙げることで、事務職への適性と熱意を裏付けることができます。
- 事務職の価値の理解: 事務職を「誰かのサポート役」と捉えるだけでなく、その仕事が会社全体にどのような価値をもたらすかを理解していることをアピールします。「正確なデータ管理が迅速な経営判断に繋がること」「円滑な部署間連携が生産性の向上に不可欠であること」など、事務職のプロフェッショナルとしての視点を示すことで、仕事への本気度が伝わります。
「デスクワークで落ち着いて働きたい」という動機自体は自然なものですが、それだけを前面に出すのは避けましょう。あくまでも、「自分の強みを最も活かせるのが事務職であり、その仕事を通じて貢献したい」というポジティブなストーリーを構築することが重要です。
② なぜ「この会社」なのかという志望度の高さ
採用担当者は、「事務職ならどこでも良い」と考えている応募者ではなく、「どうしてもこの会社で働きたい」という強い意志を持つ応募者を採用したいと考えています。なぜなら、自社への理解が深く、志望度が高い人材ほど、入社後の定着率が高く、エンゲージメント高く働いてくれると期待できるからです。
この「なぜこの会社なのか」という問いに説得力を持たせるためには、徹底した企業研究が欠かせません。
- 事業内容や製品・サービスへの共感: 企業の公式サイトやニュースリリースなどを読み込み、その会社の事業内容や扱っている製品・サービスについて深く理解しましょう。そして、「貴社の〇〇という製品は、社会の△△という課題を解決しており、その事業に事務職として携わりたい」というように、具体的な事業内容と自分の興味を結びつけて語ることが重要です。「理念に共感した」という抽象的な言葉だけでは、他の応募者との差別化は図れません。
- 企業の強みや社風とのマッチング: その企業が業界の中でどのような強みを持っているのか(技術力、ブランド力、顧客基盤など)、どのような社風や価値観を大切にしているのかを分析します。例えば、「貴社の強みである〇〇という技術を支えるためには、正確かつ迅速な事務サポートが不可欠だと考えます」「チームワークを重視する貴社の社風の中で、私の強みである協調性を活かして貢献したい」など、企業の特色と自分の強みが合致している点をアピールします。
- 中期経営計画や今後の事業展開への着目: もし企業が中期経営計画などを公開していれば、必ず目を通しましょう。企業が今後どのような方向に進もうとしているのか、どのような分野に力を入れようとしているのかを理解した上で、「貴社が注力しているDX推進において、私のPCスキルや情報収集能力を活かして貢献できると考えています」といったように、未来志向の貢献意欲を示すことができれば、非常に高い評価を得られるでしょう。
使い回しのできる志望動機は、採用担当者にすぐに見抜かれます。その会社ならではの魅力を見つけ出し、自分の言葉で語ることで、熱意と本気度を伝えましょう。
③ 入社後にどう「貢献」できるかという具体性
採用活動は、企業にとって未来への投資です。採用担当者は、応募者が入社後にどのような活躍をしてくれるのか、具体的なイメージを持ちたいと考えています。そのため、「頑張ります」「貢献したいです」といった意欲だけでは不十分です。自分のスキルや経験を活かして、どのように会社に貢献できるのかを具体的に提示する必要があります。
- スキルの具体化と再現性の提示: 「PCスキルがあります」というだけでは、どの程度のレベルなのか伝わりません。「ExcelのVLOOKUP関数やピボットテーブルを活用して、月次報告書の作成時間を20%削減した経験があります」というように、具体的なツール名や数値を交えて語ることで、スキルのレベルと実績が明確になります。そして、「この経験を活かし、貴社でもデータ集計業務の効率化に貢献できると考えています」と付け加えることで、入社後の活躍イメージ(再現性)を採用担当者に持たせることができます。
- 企業が求める人物像との接続: 求人票の「求める人物像」や「歓迎するスキル」の欄を注意深く読み込み、企業がどのような人材を求めているのかを正確に把握しましょう。そして、自分の経験やスキルの中から、その求める人物像に合致する要素を重点的にアピールします。例えば、企業が「主体的に動ける方」を求めているのであれば、「前職では、マニュアルにない業務フローの改善を自ら提案し、部署全体の業務効率化を実現しました」といったエピソードを盛り込みます。
- 短期的な貢献と長期的なビジョン: まずは、入社後すぐに貢献できることを具体的に示し、即戦力として活躍できることをアピールします。それに加えて、「将来的には、〇〇の資格を取得し、経理の専門性を高めることで、月次決算の早期化にも貢献していきたいです」というように、長期的なキャリアプランと会社への貢献意欲を示すことができれば、成長意欲の高さも評価されます。
これらの3つのポイント、「なぜ事務職か」「なぜこの会社か」「どう貢献できるか」は、三位一体で志望動機を構成する重要な柱です。どれか一つでも欠けていると、説得力に欠ける薄い内容になってしまいます。これら全てを盛り込み、一貫性のあるストーリーとして語ることを意識しましょう。
刺さる志望動機を作成する3ステップ
説得力のある志望動機は、思いつきで書けるものではありません。自己分析と企業研究を丁寧に行い、そこで得た情報を論理的に結びつけるプロセスが不可欠です。ここでは、採用担当者の心に刺さる志望動機を作成するための具体的な3つのステップをご紹介します。
① 経験やスキルの棚卸しをする
まず最初に行うべきは、これまでのキャリアを振り返り、自分の「武器」となる経験やスキルを洗い出すことです。これを「キャリアの棚卸し」と呼びます。なんとなく頭で考えるだけでなく、実際に紙やPCに書き出していくことで、思考が整理され、アピールできる要素を客観的に把握できます。
1. 業務内容の洗い出し
これまでに所属した会社・部署ごとに、担当してきた業務内容をできるだけ具体的に書き出します。日常的に行っていたルーティン業務から、特定のプロジェクトで担当した業務まで、大小問わず全てリストアップしましょう。
- (例)営業事務の場合:「見積書・請求書作成(月平均50件)」「電話・メールでの顧客対応(1日平均20件)」「新商品のプレゼン資料作成補助」「営業メンバーのスケジュール管理」など。
2. 実績や成果の数値化
書き出した業務内容に対して、具体的な実績や成果を付け加えます。特に、「何を」「どれくらい」「どうしたか」を数値で示すことが重要です。数値化することで、あなたの貢献度が客観的に伝わり、アピールの説得力が増します。
- (例)「業務フローを見直し、書類作成の時間を前任者比で15%短縮した」「FAQを作成・共有し、チーム内への問い合わせ件数を月20件削減した」「Excelマクロを独学で習得し、手作業で行っていたデータ集計を自動化。月5時間の作業時間を削減した」など。
3. スキルの整理
業務経験を通じて得られたスキルを整理します。スキルは大きく分けて2種類あります。
- テクニカルスキル(専門的な知識・技術):
- PCスキル:Word、Excel(どの関数まで使えるか)、PowerPoint、Access、会計ソフト(弥生会計、勘定奉行など)、MAツール、SFA/CRMツールの使用経験など。
- 専門知識:簿記(何級か)、貿易実務、医療事務、法務知識など。
- 語学力:TOEICのスコア、ビジネスでの使用経験など。
- ポータブルスキル(持ち運び可能な能力): 職種や業界が変わっても活かせる汎用的な能力です。未経験からの転職では特に重要になります。
- 対人スキル: コミュニケーション能力、交渉力、傾聴力、調整力、リーダーシップなど。
- 対自己スキル: 忍耐力、ストレス耐性、主体性、責任感、向上心など。
- 対課題スキル: 論理的思考力、問題解決能力、計画力、分析力など。
この棚卸しの作業を通じて、自分の強みや得意なことを明確に言語化できるようになります。これが、後のステップでアピール内容を固めるための重要な土台となります。
② 応募する企業を研究する
自己分析で自分の武器が明確になったら、次はその武器を活かす「戦場」、つまり応募する企業について深く知るための企業研究を行います。企業研究の深さが、「なぜこの会社でなければならないのか」という志望度の高さを左右します。
以下の情報源を活用し、多角的に企業情報を収集しましょう。
- 企業の公式ウェブサイト: 最も基本的で重要な情報源です。特に以下のページは必ずチェックしましょう。
- 会社概要・沿革: 企業の基本的な情報や歴史を把握します。
- 事業内容・製品/サービス紹介: どのようなビジネスで収益を上げているのかを理解します。自分が共感できる点や、興味を持った事業を見つけましょう。
- 企業理念・ビジョン: 企業がどのような価値観を大切にしているのかを知り、自分の価値観と合致するかを確認します。
- プレスリリース・ニュース: 最近の企業の動向や、力を入れている取り組みを把握できます。
- IR情報(投資家向け情報): 上場企業であれば必ず公開されています。中期経営計画や決算説明資料など、企業の今後の戦略や課題が書かれており、非常に有用です。
- 求人情報: 募集要項には、企業が求めている人物像が凝縮されています。「仕事内容」「応募資格」「歓迎するスキル」などの項目を熟読し、どのようなスキルや経験が求められているのかを正確に把握します。
- 社長や社員のインタビュー記事: 企業のウェブサイトや転職サイト、ビジネス系ニュースサイトなどで掲載されていることがあります。実際に働く人の声を通じて、社風や仕事のやりがい、企業文化などを具体的にイメージできます。
- 業界情報: 業界専門誌やニュースサイトをチェックし、応募企業が業界内でどのようなポジションにいるのか、業界全体のトレンドや課題は何かを把握しておくと、より視野の広い志望動機が書けます。
これらの情報をただ眺めるだけでなく、「この企業の強みは何か」「現在の課題は何か」「今後どのような方向に進もうとしているのか」といった視点で分析し、ノートにまとめておくことをお勧めします。
③ スキルと企業の特徴を結びつけてアピール内容を固める
最後のステップは、ステップ①で棚卸しした「自分のスキル」と、ステップ②で研究した「企業の特徴」を論理的に結びつけ、具体的なアピール内容を構築することです。これが志望動機の骨子となります。
以下のフレームワークに沿って考えると、説得力のあるストーリーを組み立てやすくなります。
- 結論(CATCH):なぜこの会社・職種を志望するのか
- 最初に、自分がその会社で何を成し遂げたいのかを簡潔に述べます。
- 例:「貴社の〇〇という事業の成長を、営業事務としてサポートしたいと考え、志望いたしました」
- 理由(REASON):なぜそう思うのか(過去の経験との接続)
- その結論に至った理由を、自分の過去の経験やスキルに基づいて説明します。ステップ①で棚卸しした具体的なエピソードを盛り込みます。
- 例:「前職の営業事務では、Excelの関数を駆使してデータ分析資料を作成し、営業担当者が顧客に最適な提案を行えるようサポートすることにやりがいを感じておりました。特に、〇〇という分析を通じて契約率が向上した際には、チームへの貢献を実感できました」
- 貢献(CONTRIBUTION):企業研究との接続と入社後の貢献
- ステップ②で得た企業の情報と、自分のスキルを結びつけます。その会社「ならでは」の貢献方法を具体的に提示します。
- 例:「貴社が現在注力されている△△分野の市場拡大において、私のデータ分析スキルと先回りしたサポート力は必ずお役に立てると確信しております。営業担当の皆様がコア業務に集中できる環境を整備することで、事業の成長に貢献したいです。」
- 将来像(FUTURE):入社後の意欲・ビジョン
- 最後に入社への強い意欲と、将来どのように成長していきたいかを述べ、締めくくります。
- 例:「入社後は、まず一日も早く業務に慣れ、戦力となれるよう努めます。将来的には、より高度なデータ分析スキルを身につけ、営業戦略の立案にも貢献できるような存在になりたいと考えております。」
この3つのステップを丁寧に行うことで、「なぜ事務職か」「なぜこの会社か」「どう貢献できるか」という3つの要素が自然に盛り込まれた、一貫性のある強力な志望動機が完成します。時間はかかりますが、このプロセスこそが内定への近道です。
【状況別】事務職の志望動機例文10選
ここからは、経験や状況に応じた事務職の志望動機の例文を10パターンご紹介します。それぞれの例文には、アピールポイントの解説と、ご自身の状況に合わせて応用するためのヒントを添えています。ぜひ、あなたの志望動機作成の参考にしてください。
① 【経験者】同業種・同職種でスキルアップを目指す場合
【例文】
現職では、〇〇業界の専門商社にて5年間、営業事務として受発注業務や納期管理、顧客対応などに従事してまいりました。特に、ExcelのマクロやVLOOKUP関数を活用した業務効率化に力を入れ、チームの月間残業時間を平均10時間削減した実績がございます。貴社を志望する理由は、業界トップクラスのシェアを誇る製品力と、積極的に海外展開を進めるその先進性に強く惹かれたためです。現職で培った業界知識と事務処理能力を活かし、より大規模でグローバルなビジネスに携わることで、自身のスキルをさらに高めたいと考えております。
入社後は、即戦力として正確かつ迅速な事務処理で営業部門を支えることはもちろん、貴社が推進されている基幹システムの刷新プロジェクトにおいても、現場目線での改善提案などを通じて貢献したいです。
【ポイント解説】
- 具体的な実績: 「残業時間10時間削減」という数値を用いた実績を示すことで、スキルレベルと貢献度を具体的にアピールしています。
- 明確な志望理由: 同業他社ではなく「なぜこの会社か」が明確です。「業界トップ」「海外展開」といった企業の特徴を挙げ、そこで自分のスキルをどう活かしたいかというスキルアップへの意欲に繋げています。
- 未来への貢献意欲: 目先の業務だけでなく、「基幹システムの刷新プロジェクト」という企業の具体的な動きに触れ、長期的な視点で貢献したいという高い意欲を示せています。
② 【経験者】異業種・同職種で経験を活かす場合
【例文】
アパレルメーカーで3年間、営業事務として勤務し、主にECサイトの受注管理や在庫管理、電話・メールでの顧客対応を担当してまいりました。シーズンごとの繁忙期には、一日100件を超える注文をミスなく処理する対応力と、各部署と連携して納期を調整する折衝力を培いました。これまで培ってきた顧客対応力と調整力を、より社会貢献性の高い分野で活かしたいと考え、医療機器を通じて人々の健康を支える貴社を志望いたしました。特に、貴社が掲げる「患者様一人ひとりに寄り添う」という理念に深く共感しており、その最前線に立つ営業担当の方々を全力でサポートしたいと考えております。
業界知識については一日も早くキャッチアップする所存です。入社後は、前職で培った正確な事務処理能力と、お客様の状況を察して先回りする対応力を活かし、医療現場というミスが許されない環境においても、営業担当の方が安心して活動できる体制づくりに貢献いたします。
【ポイント解説】
- ポータブルスキルの強調: 異業種への転職では、業界知識よりも持ち運び可能なスキルが重要です。「対応力」「折衝力」「調整力」といったポータブルスキルを具体的なエピソードと共にアピールできています。
- 共感性の高い志望動機: 業界を変える理由として「社会貢献性」を挙げ、応募企業の「理念」と結びつけることで、強い共感と志望度の高さを表現しています。
- 未経験分野への学習意欲: 「業界知識については一日も早くキャッチアップする」という一文を加えることで、未経験分野への挑戦に対する意欲と謙虚な姿勢を示し、採用担当者の懸念を払拭しています。
③ 【経験者】一般事務から専門事務へ挑戦する場合
【例文】
現職では、IT企業にて4年間、一般事務として部署内の経費精算や備品管理、勤怠管理の補助業務などに携わってまいりました。その中で、月次の経費データを集計・分析し、コスト削減に繋がる提案を行った経験から、数字を扱い会社の経営を支える経理の仕事に強い興味を持つようになりました。専門性を高めたいと考え、独学で簿記の勉強を始め、昨年日商簿記2級を取得いたしました。数ある企業の中でも、明確な評価制度と資格取得支援制度が充実している貴社であれば、常に目標を持って成長し続けられると確信し、志望いたしました。
まずは、伝票処理や入出金管理といった日次業務を正確にこなすことから始め、一日も早く貴社の経理フローに貢献できるよう努めます。将来的には、月次・年次決算にも携われるような専門知識を身につけ、貴社の健全な経営基盤を支える一員となりたいです。
【ポイント解説】
- キャリアチェンジの明確なきっかけ: なぜ専門事務(経理)に挑戦したいのか、そのきっかけが「経費データの分析」という具体的なエピソードに基づいており、説得力があります。
- 主体的な努力のアピール: 「日商簿記2級の取得」という客観的な資格を示すことで、キャリアチェンジへの本気度と主体的な学習姿勢を証明しています。
- 企業理念とのマッチング: 自分の成長意欲と、企業の「評価制度」「資格取得支援制度」を結びつけ、「この会社で成長したい」という強いメッセージを伝えています。
④ 【経験者】派遣社員から正社員を目指す場合
【例文】
過去3年間、派遣社員として2社のメーカーで営業事務を経験いたしました。見積書作成から受発注管理、納期調整まで一連の業務を担当し、特に2社目の〇〇社では、業務マニュアルの作成を自主的に行い、新しく入った派遣スタッフの方への教育を担当した経験もございます。これまでの経験を通じて、より深く一つの企業に関わり、長期的な視点で組織に貢献したいという思いが強くなりました。貴社を志望したのは、チームワークを重視し、社員一人ひとりの主体性を尊重する社風に魅力を感じたためです。派遣という立場でありながらも改善提案を評価していただいた経験から、貴社のような環境でこそ、私の強みである主体性を最大限に発揮できると考えております。
入社後は、これまでの経験で培った事務スキルと柔軟な対応力を活かして、即戦力として営業部門を支えます。また、正社員として責任ある立場で業務の効率化や改善に積極的に取り組み、チーム全体の生産性向上に貢献していきたいです。
【ポイント解説】
- 主体性と責任感のアピール: 「自主的にマニュアルを作成」「教育を担当」といったエピソードは、派遣社員という立場を超えた主体性や責任感の高さを示すのに非常に効果的です。
- 正社員になりたい理由の明確化: 「より深く、長期的に貢献したい」という、ポジティブで説得力のある理由を述べています。「安定したいから」といった受け身の理由は避けるべきです。
- 企業文化への共感: 企業の「社風」と自分の「強み(主体性)」を結びつけ、入社後の活躍イメージを具体的に提示できています。
⑤ 【未経験】営業職から転身する場合
【例文】
現職では、法人向けITソリューションの営業として4年間、新規顧客開拓と既存顧客への深耕営業に従事してまいりました。目標達成のためには、顧客情報の正確な管理や、提案内容を裏付けるための市場データ分析が不可欠であることを常に意識し、SFAへの入力徹底やExcelでのデータ分析に力を入れてきました。営業活動を通じて、最前線で活躍するメンバーを後方から支える仕事の重要性を痛感し、自身の強みであるデータ分析力や緻密な情報管理能力を活かせる営業事務の仕事に魅力を感じるようになりました。特に、顧客との長期的な関係構築を重視する貴社の営業スタイルに共感しており、私のサポートによって営業担当の方がより顧客と向き合う時間を創出できると考え、志望いたしました。
営業担当者の視点がわかるからこそ、どのようなサポートが求められているかを先回りして考え、行動できるのが私の強みです。前職で培ったIT業界の知識とPCスキルを活かし、貴社の営業活動の効率化と売上向上に貢献していきたいです。
【ポイント解説】
- 職種転換のポジティブな理由: 「営業が嫌だから」ではなく、「営業経験を通じて事務職の重要性を理解した」という前向きなストーリーを構築しています。
- 活かせるスキルの具体提示: 「データ分析力」「情報管理能力」「営業担当者の視点」など、営業経験から得られた事務職で活かせるポータブルスキルを明確にアピールしています。
- 企業への貢献イメージ: 「営業担当が顧客と向き合う時間を創出する」という、具体的な貢献イメージを提示することで、採用担当者は入社後の活躍を想像しやすくなります。
⑥ 【未経験】販売・サービス職から転身する場合
【例文】
百貨店の化粧品売場にて5年間、ビューティーアドバイザーとして接客販売に従事してまいりました。お客様一人ひとりのお悩みに寄り添うカウンセリングを心がける一方で、店舗の円滑な運営のために、日々の売上管理や在庫管理、発注業務なども責任を持って担当しておりました。これまで培ってきた「相手のニーズを正確に汲み取り、先回りして行動する力」は、社内の様々な部署や人をサポートする事務職においても必ず活かせると考えております。数ある企業の中でも、チームでの協業を大切にし、「縁の下の力持ち」の存在を正当に評価する文化があるとお伺いし、貴社であれば高いモチベーションを持って貢献できると確信いたしました。
PCスキルについては、MOS Excelスペシャリストを取得するなど、即戦力として貢献できるよう準備を進めております。入社後は、持ち前のコミュニケーション能力で円滑な人間関係を築きながら、正確な事務作業で部署の皆様をサポートしていきたいです。
【ポイント解説】
- 事務職との共通点のアピール: 販売職の経験から「ニーズを汲み取る力」「在庫管理・売上管理」といった、事務職に通じるスキルや経験を上手く抽出しています。
- 学習意欲の具体化: 未経験者にとって懸念されがちなPCスキルについて、「MOS資格取得」という客観的な事実でカバーし、学習意欲の高さを示しています。
- カルチャーフィットの強調: 企業の「社風」や「文化」への共感を前面に出すことで、この会社で働きたいという強い意志を伝えています。
⑦ 【未経験】SE・IT職から転身する場合
【例文】】
SIer企業で3年間、システムエンジニアとしてクライアントの業務システム開発に携わってまいりました。要件定義から設計、テストまで一連の工程を経験し、特に、お客様の業務フローを深く理解し、潜在的な課題を解決するシステムを設計することにやりがいを感じておりました。プロジェクトを円滑に進めるためには、正確なドキュメント作成や緻密な進捗管理といったバックオフィス業務が極めて重要であることを実感し、組織運営そのものを内側から支える総務の仕事に興味を持つようになりました。貴社が現在、全社的にDXを推進されていることを拝見し、私のITに関する知見や論理的思考力を活かして、業務プロセスの改善や効率化に直接的に貢献できるのではないかと考え、強く惹かれております。
前職で培った問題解決能力を活かし、現行の業務フローを分析し、より効率的な運用方法やITツールの活用を提案することで、貴社の生産性向上に寄与したいと考えております。
【ポイント解説】
- 専門性の転用: SEとしての「論理的思考力」「問題解決能力」「IT知見」を、事務職(特にDX推進)でどのように活かせるかを具体的に提案できています。
- 企業のニーズとの合致: 企業の「DX推進」というタイムリーな経営課題と自身のスキルセットを完璧に結びつけており、非常に説得力のある志望動機となっています。
- 視点の高さ: 単なる事務作業員ではなく、「業務プロセスの改善・提案」というコンサルティング的な視点を持っていることをアピールでき、高い評価に繋がりやすいです。
⑧ 【未経験】第二新卒で挑戦する場合
【例文】
大学卒業後、旅行代理店で1年間、カウンターセールスを担当いたしました。お客様の要望を丁寧にヒアリングし、最適な旅行プランを提案することにやりがいを感じておりましたが、より腰を据えて一つの組織を内側から支える仕事に就きたいと考え、転職を決意いたしました。事務職を志望するのは、大学時代のゼミで培ったデータ分析力や資料作成能力を活かせると考えたからです。中でも、若手社員にも積極的に挑戦の機会を与え、幅広い業務を任せるという貴社の人材育成方針に魅力を感じています。未経験ではありますが、社会人としての基礎的なビジネスマナーと、何事にも前向きに取り組む姿勢を活かし、一日も早く戦力になりたいです。
まずは、電話応対や書類整理など、基本的な業務を一つひとつ確実に習得することから始めます。そして、将来的には先輩方のように、部署全体を見渡して主体的に業務改善の提案ができるような人材に成長したいです。
【ポイント解説】
- ポテンシャルのアピール: 社会人経験が浅い第二新卒では、実績よりも学習意欲や伸びしろといったポテンシャルをアピールすることが重要です。「前向きな姿勢」「成長意欲」を前面に出せています。
- 短期離職理由のポジティブな説明: なぜ早期に転職するのか、その理由を「組織を内側から支えたい」という前向きなキャリアチェンジとして説明できています。
- 学生時代の経験の活用: 社会人経験が短い分、大学時代の経験(ゼミなど)を補足的に活用し、ポータブルスキルの根拠として示している点が効果的です。
⑨ 【未経験】ブランクを経て復帰する場合
【例文】
出産・育児のため5年間仕事から離れておりましたが、子育てが一段落したため、再び社会に貢献したいという思いで、仕事への復帰を決意いたしました。前職では、食品メーカーで3年間、一般事務として勤務しており、WordやExcelを使用した資料作成、電話応対などを担当しておりました。ブランク期間中には、PTA活動で会計を担当し、Excelで予算管理や収支報告書を作成した経験がございます。限られた時間の中で効率的に作業を進める段取り力や、多様な保護者の方々と円滑に連携する調整力は、この期間に大きく成長したスキルだと自負しております。
貴社を志望したのは、子育て中の社員が多数活躍されており、仕事と家庭を両立できる柔軟な働き方を推進されている点に魅力を感じたためです。最新のPCスキルについては、通信講座で学習し、MOSの資格も取得いたしました。前職の経験とブランク期間中に培ったスキルを活かし、即戦力として貴社に貢献したいです。
【ポイント解説】
- ブランク期間のポジティブな捉え方: ブランクを単なる空白期間ではなく、「PTA活動」を通じて「段取り力」や「調整力」を身につけた成長期間としてアピールできています。
- 懸念点の払拭: 採用担当者が懸念するであろうPCスキルについて、「通信講座」「MOS資格取得」という具体的な行動で払拭し、働く意欲の高さを示しています。
- 働き方への共感: 企業の「柔軟な働き方」という制度面への共感を示すことで、長く安定して働きたいという意志を伝えることができ、企業側の安心感にも繋がります。
⑩ 【共通】企業のDX推進に貢献したい場合
【例文】】
前職の〇〇(職種)では、△△という業務を担当しておりましたが、その中で紙ベースの申請フローや部署間の情報共有の非効率性に課題を感じ、自主的にRPAツールやビジネスチャットツールを導入・活用し、業務効率化を推進した経験がございます。この経験から、バックオフィスの業務改善が会社全体の生産性向上に直結することに大きなやりがいを感じるようになりました。貴社が中期経営計画で「全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」を掲げ、バックオフィス部門の改革に積極的に取り組まれていることを拝見し、私の経験と問題意識を最も活かせる場所だと確信いたしました。
入社後は、これまでの事務経験を活かして日々の業務を遂行することはもちろん、ITツールに関する知見を活かして、既存の業務フローの中に潜む非効率な点を見つけ出し、具体的な改善策を提案していきたいです。将来的には、バックオフィス部門のDXをリードする人材として、貴社の成長に貢献したいと考えております。
【ポイント解説】
- トレンドへの対応: 「DX推進」という現代的な企業の課題にフォーカスしており、問題意識の高さと先進性をアピールできます。経験者・未経験者を問わず活用できる切り口です。
- 具体的なツール名の使用: 「RPAツール」「ビジネスチャットツール」など、具体的なツール名を挙げることで、ITリテラシーの高さを効果的に示しています。
- 高い視座でのアピール: 単なる作業者ではなく、「DXをリードする」という高い視座と貢献意欲を示すことで、将来のリーダー候補として期待される可能性もあります。
志望動機でアピールしたい事務職に求められるスキル
事務職の志望動機では、あなたの経験や意欲を裏付ける具体的なスキルをアピールすることが不可欠です。ここでは、多くの企業で共通して求められる4つの重要なスキルと、それを志望動機で効果的に伝える方法について解説します。
基本的なパソコンスキル
現代の事務職において、パソコンスキルは必須中の必須スキルです。単に「パソコンが使えます」と言うだけでは不十分で、どのアプリケーションをどのレベルまで使いこなせるのかを具体的に示す必要があります。
- Word(ワード): ビジネス文書の作成能力が問われます。案内状、送付状、議事録などの作成経験は良いアピールになります。「表や画像の挿入、差し込み印刷といった機能を活用し、分かりやすいマニュアルを作成できます」といったように、具体的な用途を伝えましょう。
- Excel(エクセル): データ集計や管理の要となるツールです。基本的な四則演算やSUM関数だけでなく、VLOOKUP関数、IF関数、ピボットテーブルといった、より高度な機能を使いこなせると評価が格段に上がります。志望動機では、「VLOOKUP関数を用いて複数シートのデータを突合し、月次報告書の作成時間を30%削減しました」など、具体的な関数名と成果をセットでアピールするのが効果的です。
- PowerPoint(パワーポイント): 営業事務や企画部門の事務などでは、プレゼンテーション資料の作成スキルも求められます。図形やグラフ、アニメーション効果などを効果的に使って、見やすく分かりやすい資料を作成できる能力をアピールしましょう。
- 資格: マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)は、客観的にPCスキルを証明できるため、特に未経験者やブランクのある方には有効なアピール材料となります。取得している場合は、必ず履歴書や志望動機で触れておきましょう。
コミュニケーション能力
事務職は一人で黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、実際には社内外の多くの人と関わるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
- 社内での連携: 事務職は、他部署の社員からの依頼を受けたり、営業担当者と連携して業務を進めたりと、社内のハブ的な役割を担うことが多くあります。相手の意図を正確に汲み取る「傾聴力」、必要な情報を的確に伝える「伝達力」、そして各所の意見を調整する「調整力」が重要です。「営業、開発、経理など、複数の部署と連携し、複雑な案件の納期調整を円滑に進めた経験があります」といったエピソードは、高いコミュニケーション能力の証明になります。
- 社外とのやり取り: 電話応対や来客応対は、会社の「顔」として企業の第一印象を左右する重要な業務です。丁寧な言葉遣いやビジネスマナーはもちろんのこと、相手の状況に合わせた臨機応変な対応力が求められます。クレーム対応などの経験があれば、ストレス耐性や問題解決能力も同時にアピールできます。
- 報告・連絡・相談(報連相): 業務の進捗状況を上司や関係者に適切に報告・連絡し、判断に迷うことがあればすぐに相談する、という「報連相」の徹底は、チームで仕事を進める上で不可欠です。これを着実に実行できる姿勢を示すことも、信頼に繋がります。
正確性とスピード
事務職が扱うデータや書類は、会社の経営判断や取引先との信頼関係に直結する重要なものばかりです。そのため、業務を「正確に」、そして「スピーディーに」処理する能力は極めて重要視されます。
- 正確性: 請求書の金額ミスや契約書の記載漏れは、大きなトラブルに発展しかねません。ミスなく業務を遂行するための自分なりの工夫(ダブルチェックの徹底、チェックリストの活用など)をアピールすると良いでしょう。「常にセルフチェックと上長への確認を徹底し、3年間で担当業務における入力ミスゼロを継続しました」といった具体的な実績は、非常に高い評価に繋がります。
- スピード(効率化への意識): 決められた時間の中で多くの業務をこなすためには、スピードも欠かせません。ただ速いだけでなく、常に業務効率化を意識している姿勢をアピールすることが重要です。「定型的なメール返信はテンプレート化し、対応時間を一件あたり2分短縮しました」「繰り返し行う作業はExcelマクロで自動化し、月5時間の作業時間削減を実現しました」など、具体的な改善行動と成果を伝えましょう。
正確性とスピードはトレードオフの関係になりがちですが、この両方を高いレベルで両立できる人材は、事務職として非常に価値が高いと評価されます。
ビジネスマナーや気配り
スキルとして明文化されにくいものの、事務職の評価を大きく左右するのが、ビジネスマナーや周囲への気配りです。
- 基本的なビジネスマナー: 正しい敬語の使い方、電話応対やメール作成の作法、来客時のご案内やお茶出しといった基本的なビジネスマナーは、社会人としての信頼の土台となります。これらが身についていることは大前提としてアピールしましょう。
- 先回りする気配り: 指示されたことだけをこなすのではなく、相手の状況を察して、言われる前に動ける「気配り」ができる人材は高く評価されます。「営業担当者が次の商談で必要になりそうな資料を予測して事前に準備しておく」「会議が長引きそうな時は、さりげなく飲み物を追加する」といった、小さな気配りの積み重ねが、チーム全体の生産性を高め、円滑な人間関係を築きます。
- 守秘義務の遵守: 経理や人事、役員秘書といった職種では、会社の機密情報や個人情報に触れる機会が多くあります。情報を適切に管理し、決して外部に漏らさないという高い倫理観と責任感を持っていることを、言動の端々で示す必要があります。
これらのスキルを、過去の具体的なエピソードを交えながら志望動機に盛り込むことで、あなたの事務職としての適性と貢献意欲を力強くアピールできます。
これは避けたい!評価を下げてしまうNGな志望動機例
一生懸命考えた志望動機でも、伝え方一つで採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうことがあります。ここでは、多くの応募者が陥りがちな、評価を下げてしまうNGな志望動機の例とその改善ポイントを解説します。
抽象的で具体性に欠ける内容
【NG例】
「貴社の安定した経営基盤と、温かい社風に魅力を感じました。私のコミュニケーション能力を活かして、チームの役に立ちたいです。」
【なぜNGなのか?】
この志望動機には、「あなたらしさ」や「この会社でなければならない理由」が全く見えません。 「安定した経営基盤」や「温かい社風」は多くの企業がアピールしていることであり、どの会社にも当てはまる可能性があります。「コミュニケーション能力」という言葉も非常に曖昧で、どのような能力なのか、どう活かせるのかが全く伝わりません。採用担当者は、「本当にうちの会社を調べてくれたのだろうか?」と疑問に感じてしまうでしょう。
【改善のポイント】
- 社風の具体化: なぜその社風に惹かれたのか、自分の価値観や経験と結びつけて説明しましょう。「貴社の社員インタビュー記事を拝見し、部署の垣根を越えて協力し合う文化に感銘を受けました。前職でも、他部署と連携してプロジェクトを進めることにやりがいを感じていたため、貴社でなら私の強みを活かせると考えました。」
- スキルの具体化: コミュニケーション能力を、具体的なエピソードで裏付けましょう。「前職では、クレーム対応においてお客様の話を丁寧に傾聴し、最終的にはご納得いただき、リピートに繋げた経験がございます。この傾聴力を活かし、社内の皆様の要望を的確に汲み取ることができます。」
どの会社でも当てはまる使い回しの内容
【NG例】
「事務職として、これまでのPCスキルを活かして貢献したいと考えています。WordやExcelは問題なく使えます。縁の下の力持ちとして、会社を支えたいです。」
【なぜNGなのか?】
これも典型的な使い回しと判断される志望動機です。事務職を志望する多くの人が同じようなことを書くため、全く印象に残りません。「なぜうちの会社なのか?」という問いに全く答えておらず、志望度の低さを露呈してしまっています。「PCスキル」もレベル感が不明で、アピールとして非常に弱いです。
【改善のポイント】
- 企業研究の反映: その会社ならではの事業内容や製品、今後の戦略に触れ、「だからこの会社で働きたい」という熱意を伝えましょう。「貴社が開発されている〇〇という製品は、社会の△△という課題を解決するものであり、その事業に事務職として携われることに大きな魅力を感じています。」
- 貢献イメージの具体化: 「縁の下の力持ち」を具体的に翻訳しましょう。「貴社の主力事業である〇〇を支える営業部門において、私のExcelスキル(VLOOKUP関数、ピボットテーブル)を活かし、迅速なデータ提供で営業活動をサポートし、売上向上に貢献したいです。」
「学びたい」「成長したい」といった受け身な姿勢
【NG例】
「未経験ですが、事務職の仕事に興味があります。貴社で一から業務を学び、成長させていただきたいです。研修制度が充実している点にも魅力を感じています。」
【なぜNGなのか?】
企業は学校ではありません。もちろん入社後の教育や研修はありますが、それはあくまで会社に貢献してもらうための投資です。「学びたい」「教えてほしい」という受け身の姿勢は、「コストのかかる人材」という印象を与えてしまいます。 企業が求めているのは、自ら学んで成長し、会社に利益をもたらしてくれる人材です。
【改善のポイント】
- 貢献意欲への転換: 「学ぶ」という言葉を、「貢献」に繋がる形で使いましょう。「未経験の分野については、貴社の充実した研修制度を活用し、一日も早く知識を吸収して戦力になりたいと考えております。その上で、前職で培った〇〇のスキルを活かし、△△の分野で貴社に貢献いたします。」
- 主体的な学習姿勢のアピール: 入社を待つのではなく、すでに行っている努力を示しましょう。「事務職への転職を見据え、現在独学で日商簿記3級の取得に向けて勉強しており、PCスキルに関してもMOSの資格を取得しました。これらの知識を活かし、即戦力として貢献できるよう努めます。」
給料や休日など待遇面ばかりを強調する
【NG例】
「貴社の給与水準の高さと、年間休日が多い点に魅力を感じました。プライベートを充実させながら、仕事にも集中できる環境だと考えています。」
【なぜNGなのか?】
給与や休日、福利厚生といった待遇面が転職の重要な動機であることは事実です。しかし、それを志望動機として前面に押し出すのは絶対に避けましょう。採用担当者は「仕事内容には興味がなく、条件が良い会社ならどこでも良いのでは?」と感じ、仕事への意欲を疑ってしまいます。
【改善のポイント】
- 仕事内容への興味を第一に: まずは、その会社の事業内容や仕事内容、社風など、仕事そのものに対する魅力を語ることが大前提です。待遇面は、あくまでそれらを支える要素として捉えましょう。
- 表現の工夫: どうしても触れたい場合は、表現を工夫します。「貴社が推進されている、社員のワークライフバランスを重視する姿勢に共感しております。そのような環境でこそ、高い集中力を持って業務に取り組み、長期的に貴社へ貢献できると考えております。」このように、企業の制度と自身の貢献意欲を結びつけることで、ポジティブな印象に変換できます。
これらのNG例を反面教師とし、具体的で、その企業への熱意が伝わり、自らの貢献価値を示せる志望動機を作成しましょう。
志望動機をさらに魅力的に伝えるためのポイント
素晴らしい内容の志望動機が完成しても、伝え方次第でその魅力は半減してしまいます。書類選考と面接、それぞれの場面であなたの熱意と能力を最大限にアピールするためのコツをご紹介します。
履歴書に書く際のコツ
履歴書の志望動機欄は、あなたという人材を最初にアピールする重要なスペースです。採用担当者は多くの書類に目を通すため、パッと見て内容が頭に入る「読みやすさ」が非常に重要になります。
① 結論から書く(PREP法)
ビジネス文書の基本であるPREP法を意識して構成しましょう。
- Point(結論): 「貴社の〇〇という事業に、私の△△というスキルを活かして貢献したいと考え、志望いたしました。」
- Reason(理由): 「なぜなら、前職で~という経験をし、~というスキルを培ってきたからです。」
- Example(具体例): 「具体的には、~という場面で、~という成果を上げました。」
- Point(結論)”: 「これらの経験を活かし、貴社で~として貢献したいです。」
この構成にすることで、論理的で分かりやすい文章になり、採用担当者はあなたの言いたいことをスムーズに理解できます。
② 専門用語を使いすぎない
特に異業種へ転職する場合、前職の専門用語を多用するのは避けましょう。採用担当者がその業界に詳しいとは限りません。誰が読んでも理解できる、平易な言葉で説明することを心がけましょう。逆に、応募先の業界で一般的に使われている用語を適切に使うことは、業界研究ができているアピールに繋がります。
③ 箇条書きを効果的に使う
アピールしたいスキルが複数ある場合、だらだらと文章で繋げるよりも、箇条書きを使った方が視覚的に分かりやすくなります。
(例)
私の強みは以下の3点です。
- データ分析力: Excelのピボットテーブルを活用し、売上データを多角的に分析できます。
- 調整力: 複数の部署と連携し、複雑な納期調整を円滑に進めた経験がございます。
- 正確性: ダブルチェックを徹底し、3年間請求書関連のミスゼロを継続しました。
このように整理することで、強みが一目瞭然となり、採用担当者の印象に残りやすくなります。
④ 枠の8割以上は埋める
志望動機欄に空白が目立つと、入社意欲が低いと見なされる可能性があります。かといって、小さすぎる文字でぎっしり埋め尽くすのも読みにくいため、指定された枠の8割~9割程度を目安に、適切な文字数で埋めるようにしましょう。簡潔かつ要点を押さえた内容にまとめる文章力も評価の対象です。
⑤ 手書きの場合は丁寧に
パソコン作成が主流ですが、企業によっては手書きの履歴書を指定される場合もあります。その際は、一文字一文字丁寧に、読みやすい字で書くことを徹底しましょう。字の上手い下手よりも、丁寧に書かれているかどうかが重要です。丁寧に書かれた書類からは、あなたの誠実な人柄が伝わります。
面接で話す際のコツ
面接は、あなたの人柄や熱意を直接伝えられる絶好の機会です。書類の内容をただ読み上げるのではなく、より魅力的に伝えるための工夫をしましょう。
① 履歴書の内容を自分の言葉で補足する
「志望動機を教えてください」と聞かれた際、履歴書に書いた内容を丸暗記して話すだけでは、熱意が伝わりません。履歴書の内容をベースにしつつ、より具体的なエピソードや、その時の感情を交えて話すことで、内容に深みと説得力が生まれます。
「履歴書にも書かせていただきましたが、特に〇〇という経験をした際に、お客様から『ありがとう』と直接言われたことが本当に嬉しく、誰かを支える仕事のやりがいを実感しました。」のように、自分の言葉で補足説明を加えましょう。
② 表情や声のトーンを意識する
話す内容と同じくらい、非言語コミュニケーションも重要です。少し口角を上げて明るい表情を意識し、ハキハキとした声で話すことで、ポジティブで自信のある印象を与えられます。特に、「貴社の〇〇に魅力を感じています」といった熱意を伝える部分では、少し声のトーンを上げたり、身振り手振りを加えたりするのも効果的です。ずっと下を向かず、面接官の目を見て話すことを心がけましょう。
③ 1分程度で簡潔に話す
面接官から特に時間の指定がなければ、志望動機を話す時間は1分程度にまとめるのが理想的です。長々と話しすぎると、要点をまとめる能力がないと判断されかねません。事前に声に出して時間を計りながら練習し、時間内に収まるように内容を調整しておきましょう。最初に結論を述べ、要点を3つ程度に絞って話すと簡潔にまとまります。詳細については、面接官からの質問に答える形で深掘りしていけば問題ありません。
④ 逆質問で意欲を示す
面接の最後に設けられることが多い「何か質問はありますか?」という逆質問の時間は、最後のアピールチャンスです。「特にありません」と答えるのは絶対に避けましょう。入社意欲の高さや、企業研究の深さを示すような質問を準備しておくことが重要です。
(良い質問例)
- 「配属予定の部署では、現在どのような課題があり、新しく入るメンバーにはどのようなことを期待されていますか?」
- 「御社で活躍されている事務職の方に共通するスキルやマインドセットがあれば教えてください。」
- 「入社までに勉強しておくべきことがあれば教えていただけますでしょうか。」
これらのポイントを意識することで、あなたの志望動機はより一層輝きを増し、採用担当者の心に強く響くものになるでしょう。
事務職の志望動機に関するよくある質問
最後に、事務職の志望動機を作成する際によく寄せられる質問についてお答えします。
志望動機は何文字くらいで書くのがベストですか?
履歴書の様式によって志望動機欄の大きさは異なりますが、一般的には200字~300字程度が目安となります。職務経歴書など、より詳細なアピールができる書類を別途提出する場合は、履歴書では要点を簡潔にまとめ、職務経歴書で詳しく述べるという使い分けも有効です。
重要なのは文字数そのものよりも、枠に対して適切なボリュームで書かれているかです。前述の通り、枠の8割以上を埋めることを目標にしましょう。短すぎると意欲が低いと見なされ、長すぎて枠内に収まらないのは論外です。与えられたスペースの中で、自分の強みと熱意を過不足なく伝える文章構成能力が問われます。
Web応募などで文字数制限が設けられている場合は、その指示に従ってください。特に指定がない自由記述欄の場合は、300字~400字程度を目安にすると良いでしょう。
職種によって志望動機は変えるべきですか?
はい、必ず変えるべきです。 これは非常に重要なポイントです。
例えば、同じ事務職でも、営業事務と経理事務では求められるスキルセットやマインドセットが大きく異なります。
- 営業事務に応募する場合:コミュニケーション能力、調整力、営業担当をサポートするホスピタリティなどを中心にアピールします。「営業担当がコア業務に集中できる環境を作りたい」といった視点が有効です。
- 経理事務に応募する場合:正確性、数字への強さ、簿記などの専門知識を前面に押し出します。「1円のミスも許されない責任感を持って、会社の経営基盤を支えたい」といったアピールが求められます。
- 総務事務に応募する場合:幅広い業務に対応できる柔軟性、会社全体を俯瞰する視野、縁の下の力持ちとしての貢献意欲などが重要になります。「社員が働きやすい環境を整えることで、組織全体の生産性向上に貢献したい」という切り口が良いでしょう。
このように、応募する職種の仕事内容を深く理解し、そこで求められる能力と自分の強みが合致していることを示す必要があります。一つの志望動機を使い回すことは、企業研究や職種理解が不十分であると見なされる最も大きな原因の一つです。面倒でも、一社一社、一職種ごとに内容をカスタマイズしましょう。
志望動機がどうしても思いつかない場合はどうすればいいですか?
志望動機が思いつかずに筆が進まない時は、無理に書き進めようとせず、一度立ち止まって原因を考えてみましょう。多くの場合、以下の2つのどちらか、あるいは両方が不足しています。
1. 自己分析が足りない場合
自分の強みややりたいことが明確になっていない状態です。この場合は、「刺さる志望動機を作成する3ステップ」で紹介した「① 経験やスキルの棚卸し」にもう一度立ち返りましょう。
- これまでの仕事で楽しかったこと、やりがいを感じたことは何か?
- 逆に、苦痛だったこと、避けたいことは何か?
- 人から褒められたり、感謝されたりした経験は?
- 時間を忘れて没頭できた作業は何か?
友人や家族など、第三者に自分の長所や得意なことを聞いてみるのも客観的な視点が得られて有効です。自分の「軸」が見えてくれば、それを活かせる仕事や会社が自然と見つかり、志望動機も書きやすくなります。
2. 企業研究が足りない場合
自分のことはわかっていても、応募先企業の魅力が見つけられていない状態です。この場合も、同ステップの「② 応募する企業を研究する」を再度徹底的に行いましょう。
- その会社の製品やサービスは、社会や人々の生活にどう役立っているか?
- 社長や社員のインタビュー記事から、どんな想いが伝わってくるか?
- 同業他社と比較した時の、その会社ならではの強みは何か?
- 最近のニュースリリースで、会社が力を入れようとしていることは何か?
企業のウェブサイトを隅々まで読み込むだけでなく、SNSやニュース検索なども活用して、多角的に情報を集めてみましょう。企業の魅力的な側面が見つかれば、それと自分の経験や価値観を結びつけることで、オリジナルの志望動機が生まれます。
もし、それでも一人で考えるのが難しい場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談するのも一つの有効な手段です。プロの視点から客観的なアドバイスをもらうことで、自分では気づかなかった強みや、企業の新たな魅力に気づけるかもしれません。
焦らず、一つひとつのステップを丁寧に進めることが、結果的に内定への一番の近道です。この記事が、あなたの事務職への転職活動を成功に導く一助となれば幸いです。