【例文あり】転職・退職の挨拶メールの書き方とマナーを解説

転職・退職の挨拶メールの書き方、とマナーを解説

転職や退職は、キャリアにおける大きな転機です。これまでの職場を円満に去り、新たなスタートを切るためには、最後の挨拶が非常に重要な役割を果たします。特に、メールでの挨拶は、お世話になった社内外の関係者へ感謝の気持ちを伝え、良好な関係を維持するための大切なマナーです。

この記事では、転職・退職の挨拶メールに関して、基本的なマナーから具体的な例文、さらには最終出社日のスピーチまで、あらゆる場面を想定して徹底的に解説します。誰に、いつ、どのような内容を送れば良いのか、そして避けるべき注意点は何か。これらの疑問を解消し、自信を持って「立つ鳥跡を濁さず」を実践できるよう、分かりやすくガイドします。

転職・退職における挨拶の重要性

転職・退職における挨拶の重要性

転職や退職が決まった際、最後の締めくくりとして行われる「挨拶」。これを単なる形式的な手続きだと考えてしまうと、思わぬところで損をしてしまう可能性があります。現代のビジネスシーンにおいて、退職時の挨拶は、これまでの感謝を伝えるだけでなく、自身のプロフェッショナルとしての評価を決定づけ、未来のキャリアにも影響を与える重要な行為です。なぜ、それほどまでに挨拶が重要視されるのでしょうか。その背景と具体的な理由を多角的に掘り下げていきましょう。

第一に、「立つ鳥跡を濁さず」という言葉に象徴される、円満退職の実現です。退職は、あなた個人にとっては新たなステップですが、会社やチームにとっては、人員が一人減るという変化です。業務の引き継ぎや人員の再配置など、残る側には少なからず負担がかかります。丁寧な挨拶は、そうした状況に対する配慮と、これまでお世話になったことへの感謝を示すことで、あなたの退職を周囲がポジティブに受け止める手助けとなります。感情的なしこりを残さず、円満な関係のまま最終日を迎えられるかどうかは、最後の挨拶にかかっていると言っても過言ではありません。

第二に、プロフェッショナルとしての信頼性を維持し、将来的なビジネスの可能性を広げるためです。ビジネスの世界は意外と狭いものです。退職した会社の上司や同僚、あるいは取引先の担当者と、数年後に全く別の形で再会する可能性は十分にあります。その時、「あの人は辞めるときにしっかり挨拶してくれた、信頼できる人だ」という印象が残っていれば、新たなビジネスチャンスに繋がるかもしれません。逆に、挨拶もなく不義理な辞め方をしてしまうと、「社会人としてのマナーがなっていない」という悪い評判が立ち、将来のキャリアに悪影響を及ぼすリスクがあります。退職の挨拶は、過去の関係を清算する行為ではなく、未来の自分への投資でもあるのです。

第三に、これまで築いてきた人間関係への感謝を伝え、良好な関係を維持するためです。仕事は一人ではできません。困難なプロジェクトを共に乗り越えた同僚、指導してくれた上司、サポートしてくれた他部署のメンバーなど、多くの人々に支えられてきたはずです。退職の挨拶は、そうした人々へ個別に、あるいは全体へ向けて、改めて感謝の気持ちを表現する絶好の機会です。言葉にして伝えることで、相手も「一緒に仕事ができて良かった」と感じてくれるでしょう。こうしたポジティブなコミュニケーションは、会社を辞めた後も、個人的な繋がりとして続いていく可能性を秘めています。

第四に、スムーズな業務引き継ぎを完了させるための最終確認という側面もあります。特に社外向けの挨拶では、後任者を紹介し、今後の業務が滞りなく進むことを明確に伝える役割があります。これは、取引先に安心感を与え、会社としての信頼を損なわないために不可欠です。社内向けの挨拶においても、「引き継ぎは完了していますが、何かあれば本日中に声をかけてください」といった一言を添えることで、残されたメンバーの不安を和らげ、最終的な確認を促す効果が期待できます。

具体例として、挨拶を怠った場合のデメリットを考えてみましょう。ある営業担当者が、取引先に何の連絡もせずに突然退職したとします。後任者が挨拶に訪れた際、取引先は「なぜ前の担当者から一言もなかったのか。うちは軽んじられているのか」と不信感を抱くかもしれません。これは、後任者のスタートを困難にし、会社全体の評判を落とす行為です。社内においても、挨拶なしに姿を消した場合、「無責任な人だった」という印象が残り、送別会なども開かれず、寂しい最終日を迎えることになりかねません。

このように、退職時の挨拶は、単なる慣習や儀礼的なものではありません。円満な退職を実現し、プロとしての評価を守り、未来のキャリアに繋がる人間関係を維持するための、極めて戦略的かつ重要なコミュニケーションなのです。忙しい退職前の期間であっても、決して疎かにせず、誠意を込めて行うことが、あなた自身の未来を明るく照らす鍵となります。

挨拶メールを送る前に押さえるべき基本マナー

退職の挨拶メールは、その内容もさることながら、送る前の準備段階でマナーを守ることが非常に重要です。誰に、いつ、どのような形式で送るのか。これらの基本を誤ると、せっかくの感謝の気持ちが伝わらないばかりか、かえって相手に不快感を与えてしまう可能性もあります。ここでは、挨拶メールを送る前に必ず押さえておきたい基本マナーを、項目ごとに詳しく解説します。

誰に送るべきか?(送信相手)

挨拶メールを送る相手は、社内と社外で大きく分かれます。それぞれ誰に送るべきか、その範囲と注意点を理解しておきましょう。

社内の場合

社内での送信相手は、自身の役職や業務内容、会社規模によって異なりますが、一般的には以下の範囲が考えられます。

送信対象 送信方法の例 ポイント
直属の上司・役員 個別メール 最も丁寧な形で、直接感謝の気持ちを伝える。一斉送信の前に個別に報告するのがマナー。
所属部署・チームのメンバー 個別メール or 部署内への一斉メール 共に働いた仲間へ、感謝と最後の挨拶を伝える。個別のメッセージを添えるとより気持ちが伝わる。
他部署だが業務で関わった人 一斉メール or 個別メール プロジェクトなどで特にお世話になった人には、個別に送ると丁寧な印象を与える。
全社員 全社員向けにBccで一斉メール 会社規模にもよるが、全社へのアナウンスとして送信。役員や上司への個別連絡を済ませた後に行う。

ポイントは、一斉送信と個別送信を効果的に使い分けることです。全社員や部署メンバーには効率的に一斉メールで挨拶しつつ、特にお世話になった上司や先輩、メンターなどには、具体的なエピソードを交えた個別のメールを送ると、感謝の気持ちがより深く伝わります。誰に個別に送るべきか迷った場合は、「この人からのメールがなかったら寂しいと感じるか」を基準に考えてみると良いでしょう。送信範囲については、事前に上司に相談し、会社の慣例やルールを確認しておくのが最も安全です。

社外の場合

社外の関係者への挨拶は、社内以上に慎重な判断が求められます。会社の代表として接してきた相手だからこそ、失礼のないように、そして今後のビジネスに支障が出ないように配慮する必要があります。

送信相手の選定は、以下の手順で進めるのが一般的です。

  1. 自分が担当していた取引先をリストアップする: まず、自分が窓口となっていた顧客、パートナー企業、協力会社の担当者などをすべて洗い出します。
  2. 上司や後任者と相談し、送信範囲を決定する: リストアップした相手全員に送るべきか、あるいは主要な担当者のみに絞るべきかなどを相談します。顧客情報の取り扱いに関する会社のポリシー(個人情報保護方針など)を必ず確認し、それに従う必要があります。勝手な判断で連絡先リストを持ち出したり、メールを送ったりすることは、情報漏洩と見なされるリスクがあるため絶対に避けてください。
  3. 送信リストを確定する: 上司の許可を得て、最終的な送信先リストを作成します。基本的には、直接業務でやり取りのあった担当者、その上長などが対象となります。

社外への挨拶は、あくまでも「会社の業務の一環」として行われるものです。個人の判断でフライングせず、必ず組織としての方針を確認し、許可を得た上で進めることが鉄則です。このプロセスを丁寧に行うことが、スムーズな引き継ぎと会社の信用維持に繋がります。

いつ送るべきか?(送信タイミング)

挨拶メールは、送るタイミングも非常に重要です。早すぎても業務に支障をきたす可能性がありますし、遅すぎると失礼にあたります。社内向けと社外向けで最適なタイミングは異なります。

社内向けは最終出社日が基本

社内向けの挨拶メールは、最終出社日に送るのが最も一般的で適切なタイミングです。なぜなら、それ以前に送ってしまうと、「まだ会社にいるのに、もう辞める人のような雰囲気を出している」と捉えられかねず、周囲を困惑させたり、業務の士気に影響を与えたりする可能性があるからです。

最終出社日に送ることで、「本日をもって退職します」という事実が明確になり、最後の締めくくりとしての挨拶であることが誰の目にも明らかになります。送信する時間帯としては、以下のようなタイミングが考えられます。

  • 業務開始直後の午前中: 自分のデスクの片付けや返却物の整理などを始める前に、まず挨拶を済ませておきたい場合に適しています。
  • 業務終了間際の午後: 全ての業務と引き継ぎを終え、あとは退社するだけというタイミングで送るケースです。一日の業務の邪魔にならず、最後の挨拶として最も自然な流れと言えるでしょう。

どちらのタイミングが良いかは、会社の文化やその日のスケジュール(挨拶回りや送別会の有無など)によって異なります。重要なのは、最終出社日という「区切りの日」に送ることであり、残るメンバーの業務を極力妨げない時間帯を選ぶ配慮です。

社外向けは退職の2〜3週間前が目安

一方、社外向けの挨拶メールは、最終出社日ではなく、退職が確定し、後任者がある程度決まった段階で、退職日の2〜3週間前に送るのが一般的です。このタイミングが推奨されるのには、明確な理由があります。

  • 十分な引き継ぎ期間を確保するため: 取引先にとっては、担当者が誰に代わるのか、今後の業務はどうなるのかが最大の関心事です。退職直前に連絡すると、引き継ぎが不十分なまま担当者がいなくなってしまうのではないか、という不安を与えてしまいます。2〜3週間の猶予があれば、後任者を紹介し、場合によっては一緒に挨拶に伺うなど、スムーズな移行期間を設けることができます。
  • 相手に心理的な準備期間を与えるため: 長年の付き合いがある担当者であれば、突然の退職報告は相手にとっても驚きです。事前に伝えることで、相手も心の準備ができ、後任者との関係構築に向けて前向きなスタートを切りやすくなります。

ただし、これも社内向け同様、必ず上司に相談し、会社としてのアナウンスのタイミングを確認してからにしてください。プロジェクトの状況や取引先との関係性によっては、もう少し早い、あるいは遅いタイミングが適切な場合もあります。独断で進めず、組織としての判断を仰ぐことが重要です。

退職挨拶メールの基本構成

退職挨拶メールは、誰が読んでも内容がすぐに理解できるよう、分かりやすい構成で作成することが大切です。件名から署名まで、含めるべき要素とその書き方を解説します。

件名

件名は、受信者がメールボックス一覧で見ただけで、「誰からの」「どのような内容の」メールかが瞬時にわかるように工夫します。

  • 良い例: 「退職のご挨拶(営業部 〇〇 太郎)」「【株式会社〇〇】退職のご挨拶/氏名」
  • 悪い例: 「お世話になりました」「ご報告」

このように、「退職の挨拶」であることと「自分の氏名」を必ず入れるのが基本です。これにより、他の業務メールに埋もれることなく、確実に相手に読んでもらえます。

宛名

宛名は、送信方法(一斉か個別か)によって書き分けます。

  • 一斉送信の場合: 「皆様」「関係者各位」「〇〇部 各位」のように、対象となるグループ全体への呼びかけとします。「各位」は複数の人々への敬称なので、「様」を付ける必要はありません(「各位様」は誤り)。
  • 個別送信の場合: 「株式会社〇〇 営業部 部長 〇〇 様」「〇〇さん」のように、相手の会社名、部署名、役職、氏名を正確に記載します。親しい同僚などには「〇〇さん」でも構いませんが、上司や役員には必ず正式な敬称を使いましょう。

本文に含めるべき内容

本文には、以下の5つの要素を順序立てて盛り込むのが一般的です。

  1. 退職日と最終出社日の明記: 「私事ではございますが、この度、一身上の都合により、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。」のように、まずは退職の事実を明確に伝えます。
  2. 在職中のお礼・感謝の言葉: これまでお世話になったことへの感謝を伝えます。「在職中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。」といった定型文に加え、特に個別メールでは、具体的なエピソードに触れるとより気持ちが伝わります。
  3. 後任者の紹介と引き継ぎについて(社外向けの場合): 「後任は、同じ部署の〇〇が務めさせていただきます。」のように後任者を紹介し、連絡先を明記します。これにより、取引先は安心して今後の取引を続けられます。
  4. 今後の連絡先(任意): 今後も個人的な繋がりを続けたい相手には、私用のメールアドレスやSNSアカウントなどを記載することもあります。ただし、一斉メールでの記載は慎重に判断すべきです。
  5. 結びの挨拶: 会社の今後の発展や、関係者の皆様の健康と活躍を祈る言葉で締めくくります。「末筆ではございますが、皆様の今後のご健勝と、株式会社〇〇のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」といった表現が一般的です。

署名

メールの最後には、必ず署名を入れます。最終出社日までは、会社の従業員としての立場なので、会社の公式な署名を使用するのがマナーです。

【署名の例】

----------------------------------------
株式会社〇〇
営業部 〇〇グループ
氏名 太郎(Taro XXX)
〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678 / FAX: 03-1234-5679
Email: taro.xxx@example.com
----------------------------------------

退職後の連絡先を伝えたい場合は、この署名の下に「(今後の連絡先) private.email@example.com」のように追記すると良いでしょう。

To・Cc・Bccの正しい使い分け

メールの宛先設定(To, Cc, Bcc)を正しく使い分けることは、ビジネスマナーの基本であり、特に退職挨拶のような一斉送信を行う際には、個人情報保護の観点からも極めて重要です。

項目 意味と役割 退職挨拶メールでの使い方
To 主要な送信相手。このメールの主たる宛先。 ・個別に送る場合、相手のアドレスを指定。
・Bccで一斉送信する場合、自分のアドレスを指定する(送信エラー防止と送信履歴の確認のため)。
Cc Carbon Copy(カーボンコピー)。参考として内容を共有したい相手。Toの受信者にもCcに入っている人が表示される。 ・社外への挨拶で、後任者や上司にも内容を共有しておきたい場合に使用。
・Toに主要な担当者、Ccにその上司、といった使い方。
Bcc Blind Carbon Copy(ブラインドカーボンコピー)。他の受信者にアドレスが表示されない形で送信する相手。 社内・社外問わず、複数人に一斉送信する際に使用するのが鉄則。
・受信者同士のメールアドレスという個人情報を保護するために不可欠。

一斉送信の際は、Bccを使うのが絶対的なマナーです。ToやCcに全員のアドレスを入れて送信してしまうと、面識のない人同士のアドレスが公開されてしまい、重大な情報漏洩に繋がります。このミスは社会人としての信頼を大きく損なうため、送信前には宛先設定を二重、三重にチェックする習慣をつけましょう。

【社内向け】退職挨拶メールの書き方と例文

感謝の気持ちを具体的に、ポジティブな思い出に触れる、会社の悪口やネガティブな内容は絶対に書かない、引き継ぎの完了を報告する、最終出社日の予定を知らせる(任意)

社内向けの退職挨拶メールは、共に働いた上司や同僚への感謝の気持ちを伝え、円満な退職を締めくくるための重要なコミュニケーションです。一斉送信用と個別送信用では、文面や込めるべきニュアンスが異なります。それぞれのポイントと具体的な例文を見ていきましょう。

社内向けメール作成のポイント

社内向けのメールでは、社外向けとは異なり、ある程度パーソナルな感情や思い出を表現することが許容されます。ただし、あくまでもビジネス文書としての一線は守る必要があります。以下のポイントを意識して作成しましょう。

  • 感謝の気持ちを具体的に: 「お世話になりました」という定型句だけでなく、「〇〇プロジェクトでは、皆様のサポートのおかげで乗り切ることができました」「特に〇〇さんには、入社当初から親身にご指導いただき、感謝の念に堪えません」のように、少しでも具体的な言葉を加えることで、感謝の深さが伝わります。
  • ポジティブな思い出に触れる: 「厳しい時期もありましたが、チーム一丸となって目標を達成した時の喜びは忘れられません」「ランチの時間や飲み会での何気ない会話も、私にとってはかけがえのない思い出です」など、ポジティブなエピソードに触れると、メール全体が温かい雰囲気になります。
  • 会社の悪口やネガティブな内容は絶対に書かない: たとえ退職理由が会社への不満であったとしても、それを匂わせるような記述は一切避けるべきです。立つ鳥跡を濁さずの精神で、最後までプロフェッショナルな姿勢を貫きましょう。
  • 引き継ぎの完了を報告する: 「後任の〇〇さんへの引き継ぎは完了しておりますが、本日中であればご質問などお受けできますので、お気軽にお声がけください」といった一文を入れると、残るメンバーに安心感を与え、責任感のある印象を残せます。
  • 最終出社日の予定を知らせる(任意): 「午後はデスク周りの片付けをしておりますので、お近くにお越しの際はお声がけいただけますと幸いです」のように、当日の簡単な予定を伝えておくと、挨拶に来たいと考えている人がタイミングを計りやすくなります。

社内メールの目的は、感謝を伝え、良い人間関係のまま会社を去ることです。形式的になりすぎず、かといって砕けすぎない、誠実で温かみのある文章を心がけましょう。

全員へ一斉送信するメールの例文

社内の広範囲(全社員や部署全体など)に送るメールは、簡潔で分かりやすい内容が基本です。Bccを使い、個人情報に配慮することを忘れないでください。


件名: 退職のご挨拶(所属部署 氏名)

宛名:
皆様
(※宛先はBccで送信)

本文:
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。

私事で大変恐縮ですが、
本日〇月〇日をもちまして、株式会社〇〇を退職することとなりました。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、メールでのご連絡となり失礼いたします。

入社以来、〇年〇ヶ月にわたり、大変お世話になりました。
至らぬ点も多々あったかと存じますが、皆様の温かいご指導とご支援のおかげで、
多くのことを学び、成長させていただきましたこと、心より感謝申し上げます。

特に、〇〇の業務を通じて得られた経験や知識は、
私にとってかけがえのない財産です。
皆様とご一緒できたプロジェクトの一つひとつが、大切な思い出です。

今後の業務につきましては、後任の〇〇さんが担当いたします。
皆様にはご迷惑をおかけすることのないよう、引き継ぎは完了しておりますので、ご安心ください。

最後になりますが、皆様の今後のご健勝と、
株式会社〇〇のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

今まで、本当にありがとうございました。


署名:

株式会社〇〇
〇〇部 〇〇グループ
氏名 太郎
Email: taro.xxx@example.com



【解説】
この例文は、退職の事実、在職期間、感謝の言葉、簡単な思い出、引き継ぎ報告、結びの挨拶という基本構成に沿っています。誰が読んでも失礼のない、丁寧で標準的な文面です。「本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、メールでのご連絡となり失礼いたします」という一文は、メールでの挨拶が略式であることを理解している姿勢を示す、大切なクッション言葉です。

上司やお世話になった人へ個別に送るメールの例文

特にお世話になった上司や先輩、メンターには、一斉送信のメールとは別に、個別のメッセージを送りましょう。こちらには、よりパーソナルで具体的な感謝の気持ちを込めることがポイントです。


件名: 大変お世話になりました(所属部署 氏名)

宛名:
〇〇部長

本文:
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。

ご多忙のところ恐縮です。
本日をもちまして退職となりますので、改めてご挨拶させていただきたく、ご連絡いたしました。

〇〇部長には、私がこの部署に配属された当初から、
いつも温かく、そして時には厳しくご指導いただき、本当に感謝しております。

特に、右も左も分からなかった私に、営業のイロハから丁寧に教えてくださったこと、
初めて大きな契約で失敗し落ち込んでいた時に、「この経験が必ず次に活きる」と励ましてくださった言葉は、今でも鮮明に覚えています。
部長のご指導がなければ、今の私はありません。

〇年間、〇〇部長の下で働くことができ、多くのことを学ばせていただきました。
ここで得た貴重な経験と学びを、次のステージでも活かしていきたいと思っております。

本来であれば直接お伺いし、お礼を申し上げるべきところ、
最終日が慌ただしくなり、このような形でのご挨拶となりますことをお許しください。

末筆ではございますが、〇〇部長の今後の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
今まで本当に、本当にありがとうございました。


署名:

株式会社〇〇
〇〇部 〇〇グループ
氏名 太郎
Email: taro.xxx@example.com



【解説】
この例文の最大のポイントは、一斉メールにはない「具体的なエピソード」が含まれている点です。「励ましてもらった言葉」や「丁寧に教えてもらったこと」など、二人だけの思い出に触れることで、ありきたりではない、心からの感謝が伝わります。相手の名前を文中にも入れる(「〇〇部長には〜」)ことで、よりパーソナルなメッセージになります。このように、相手との関係性や思い出を振り返り、自分の言葉で感謝を綴ることが、心に残る個別メールを作成する秘訣です。

【社外向け】退職挨拶メールの書き方と例文

最優先事項はスムーズな引き継ぎの報告、退職理由は「一身上の都合」で統一、感謝の気持ちを丁寧に伝える、送信前に必ず上司の許可を得る、後任者をCcに入れる

社外向けの退職挨拶メールは、個人の感謝を伝える以上に、「会社の代表」として、取引先との関係を維持し、スムーズな業務の引き継ぎを伝えるという重要な役割を担います。したがって、社内向けメール以上に、形式とマナーを重んじた、丁寧かつ的確なコミュニケーションが求められます。

社外向けメール作成のポイント

社外の取引先やパートナー企業にメールを送る際は、以下の点を絶対に外さないように注意しましょう。会社の顔としての最後の務めと心得て、慎重に作成する必要があります。

  • 最優先事項はスムーズな引き継ぎの報告: 取引先が最も知りたいのは、「担当者がいなくなった後、自分の会社の業務は大丈夫なのか?」という点です。後任者の名前、所属、連絡先を明確に記載し、引き継ぎが万全であることを伝えることが最大の目的です。これにより、相手に安心感を与え、会社としての信頼を維持します。
  • 退職理由は「一身上の都合」で統一: 社内向け以上に、具体的な退職理由を記載する必要は一切ありません。「一身上の都合」という定型句を用いるのが、ビジネスにおける鉄則です。転職先の情報なども、聞かれない限りはこちらから伝えるべきではありません。
  • 感謝の気持ちを丁寧に伝える: これまでの取引に対する感謝の言葉を必ず入れましょう。「貴社を担当させていただき、多くのことを学ばせていただきました」「〇〇様には公私にわたり大変お世話になり、心より御礼申し上げます」など、丁寧な言葉を選びます。
  • 送信前に必ず上司の許可を得る: 社外へのメールは、個人の判断で送ってはなりません。送信相手、文面、送信タイミングのすべてにおいて、必ず上司や後任者とすり合わせを行い、許可を得てから送信します。会社としての方針と齟齬が生じるのを防ぎ、トラブルを未然に防ぐための絶対的なルールです。
  • 後任者をCcに入れる: 可能であれば、後任者のメールアドレスをCcに入れて送信すると、よりスムーズな引き継ぎに繋がります。これにより、取引先は返信する際に「全員に返信」機能を使えば、後任者にも同時に連絡が届きます。後任者を紹介する本文の内容と合わせ、丁寧な印象を与えることができます。

社外向けメールは、あなたの退職後も会社と取引先との良好な関係が続くための「橋渡し」の役割を担います。私情を挟まず、あくまでビジネスライクに、しかし誠意の伝わる文面を心がけましょう。

後任者を紹介する場合の例文

後任者がすでに決まっている場合は、このパターンで連絡するのが最も一般的で丁寧な方法です。


件名: 退職のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)

宛名:
株式会社△△
営業部 部長 △△様

本文:
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社〇〇の〇〇です。

私事で大変恐縮ではございますが、
この度、一身上の都合により、〇月〇日をもちまして株式会社〇〇を退職することとなりました。
△△様には、在職中にひとかたならぬご厚情を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
貴社を担当させていただきました期間、多くの貴重な経験を積むことができました。

後任は、同じ部署の「〇〇 太郎(〇〇 たろう)」が務めさせていただきます。
後日、〇〇が改めてご挨拶にお伺いいたしますが、
まずはメールにてご挨拶かたがた、お知らせ申し上げます。
(※後任者の連絡先を以下に記載)


氏名:〇〇 太郎
所属:株式会社〇〇 〇〇部
電話:03-1234-5678
Email: taro.new@example.com


本来であれば、直接お伺いしてご挨拶すべきところ、
メールでのご連絡となりますことを何卒ご容赦ください。

末筆ではございますが、
△△様の益々のご健勝と、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
長きにわたり、誠にありがとうございました。


署名:

株式会社〇〇
〇〇部 〇〇グループ
氏名 〇〇(あなたの氏名)
〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678 / FAX: 03-1234-5679
Email: your.name@example.com



【解説】
この例文では、退職の事実と日付、感謝の言葉に続き、最も重要な「後任者の紹介」を明確に行っています。後任者の氏名(読み仮名も添えると親切)、所属、連絡先をはっきりと記載することで、取引先は誰に連絡すれば良いか一目でわかります。「後日、改めてご挨拶に伺います」という一文は、引き継ぎを丁寧に行う意思を示すもので、相手に安心感を与えます。会社の代表としての責任を果たし、円満な関係を次代に繋ぐための、模範的な構成と言えるでしょう。

後任者が未定・不在の場合の例文

急な退職などの理由で、挨拶の時点で後任者がまだ決まっていない、あるいは当面の間は不在というケースも考えられます。この場合、取引先を不安にさせないための配慮が特に重要になります。


件名: 退職のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)

宛名:
株式会社△△
営業部 部長 △△様

本文:
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社〇〇の〇〇です。

私事で大変恐縮ではございますが、
この度、一身上の都合により、〇月〇日をもちまして株式会社〇〇を退職することとなりました。
在職中は、△△様をはじめ貴社の皆様に大変お世話になり、誠にありがとうございました。

今後の貴社への対応につきましては、
後任が決定するまでの間、私の上司でございます〇〇部長の〇〇が責任をもって担当させていただきます。
ご不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
後任が決まり次第、改めて担当者よりご連絡させていただきます。

何かご不明な点がございましたら、恐れ入りますが下記までご連絡いただけますようお願い申し上げます。

担当:〇〇部 部長 〇〇
電話:03-1234-5678
Email: manager.name@example.com


本来であれば、直接お伺いしてご挨拶すべきところ、
メールでのご連絡となりますことを何卒ご容赦ください。

末筆ではございますが、
貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
長らくのご厚情、誠にありがとうございました。


署名:

株式会社〇〇
〇〇部 〇〇グループ
氏名 〇〇(あなたの氏名)
〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678 / FAX: 03-1234-5679
Email: your.name@example.com



【解説】
後任者が未定の場合、最も重要なのは「当面の間の連絡先」を明確にすることです。この例文では、上司が一時的に窓口となることを伝え、その連絡先を明記しています。これにより、取引先は「何かあった時に誰に連絡すれば良いかわからない」という宙に浮いた状態になるのを防げます。「後任が決まり次第、改めてご連絡します」と伝えることで、会社として責任を持って対応する姿勢を示しています。不確定な状況であっても、誠実に対応することで、取引先の不安を最小限に抑え、信頼関係の毀損を防ぐことができます。

退職挨拶メールを送るときの注意点

退職理由は「一身上の都合」と簡潔に書く、ネガティブな内容や会社の機密情報は書かない、送信する前に必ず上司に内容を確認してもらう、社外への連絡は後任者と相談し許可を得てから送る

退職挨拶メールは、あなたの社会人としての評価を左右する最後のコミュニケーションです。良かれと思って書いた内容が、意図せずマナー違反になったり、トラブルの火種になったりすることを避けるため、細心の注意を払う必要があります。ここでは、特に気をつけるべき4つの重要なポイントを解説します。

退職理由は「一身上の都合」と簡潔に書く

退職の挨拶メールにおいて、退職理由は「一身上の都合により」と記載するのが、揺るぎないビジネスマナーです。たとえ実際の理由が、キャリアアップのための転職、結婚や出産、家族の介護、あるいは健康上の問題など、ポジティブなものであれネガティブなものであれ、詳細を記す必要はありませんし、むしろ記すべきではありません。

なぜなら、詳細な理由を書くことには、多くのデメリットが伴うからです。
例えば、「より成長できる環境を求めて転職します」と書いたとしましょう。これは、受け取る側によっては「この会社では成長できないと言いたいのか」というネガティブなメッセージとして解釈され、残る人々を不快にさせてしまう可能性があります。また、給与や待遇面への言及は、たとえ事実であっても、会社の内部事情を公にする行為であり、品位を欠くと見なされます。

プライベートな理由(結婚、病気など)についても同様です。不必要な同情や心配を招いたり、詮索好きな人の噂話の種になったりする可能性があります。あなたは会社を去りますが、あなたの噂は社内に残り続けるかもしれません。

「一身上の都合」という言葉は、退職する側のプライバシーを守りつつ、相手に余計な憶測や気を遣わせることなく、退職という事実をフォーマルに伝えるための、非常に便利な定型句です。この一言で、社会通念上、すべての個人的な理由を包括していると理解されます。詮索されたくない、波風を立てたくない、円満に退職したいと考えるのであれば、このルールを徹底して守りましょう。

ネガティブな内容や会社の機密情報は書かない

退職を決意した背景には、会社の方針、人間関係、業務内容などに対する何らかの不満があったかもしれません。しかし、それを退職挨拶メールにぶつけるのは、最もやってはいけない行為の一つです。

不満や批判、愚痴といったネガティブな内容を書き連ねることは、百害あって一利なしです。それは単なる悪口であり、あなたのプロフェッショナルとしての評価を著しく貶めます。あなたが去った後、そのメールは「あの人は最後に会社の悪口を書き散らしていった」という証拠として残り続けます。ビジネスの世界は狭いもので、将来どこで元の上司や同僚と再会するかわかりません。その時に気まずい思いをするだけでなく、悪評が回り回ってあなたのキャリアの足かせになる可能性すらあります。感謝の言葉で締めくくるのが、賢明な大人の対応です。

さらに、それ以上に厳禁なのが、会社の機密情報を記載することです。これには、以下のような情報が含まれます。

  • 顧客リストやその連絡先
  • 未公開の製品情報や開発計画
  • 社内の売上データや財務情報
  • 社内人事に関する情報

これらの情報を社外に漏らすことは、会社の服務規程や秘密保持契約に違反する可能性が非常に高く、場合によっては法的な問題に発展しかねません。退職挨拶メールも、社外の人物に転送されれば立派な情報漏洩です。退職にあたって、会社の情報を持ち出したり、それを匂わせるような記述をしたりすることは、社会人として絶対に許されない行為であると肝に銘じてください。

送信する前に必ず上司に内容を確認してもらう

自分で完璧だと思ったメールでも、客観的に見ると不適切な表現が含まれていたり、会社の慣例から外れていたりすることがあります。特に、社外向けのメールは会社の顔としての側面が強いため、個人の判断だけで送るのは非常に危険です。

そこで重要になるのが、送信前に必ず直属の上司に内容を確認してもらうというプロセスです。これには、複数のメリットがあります。

  1. 表現の客観的なチェック: 自分では気づかない不適切な言い回しや、誤解を招きかねない表現を指摘してもらえます。
  2. 社内ルールの遵守: 会社によっては、退職挨拶メールの文面や送信タイミングに独自のルールや慣例がある場合があります。それを事前に確認することで、意図せずルールを破ることを防げます。
  3. 情報統制: 社外へのアナウンス内容について、会社としての方針と齟齬がないかを確認できます。特に後任者の情報や引き継ぎに関する記述は、上司の確認が不可欠です。
  4. トラブルの防止: 事前に上司の承認を得ておくことで、万が一メール送信後に何らかの指摘や問題が生じた場合でも、「上司の確認済みです」と説明でき、責任を一人で負う事態を避けられます。これは自分自身を守るための重要なリスク管理です。

確認を依頼する際は、「お忙しいところ恐縮ですが、退職挨拶メールの文面をご確認いただけますでしょうか」と丁寧に依頼しましょう。この一手間を惜しまないことが、円満な退職への確実な一歩となります。

社外への連絡は後任者と相談し許可を得てから送る

社外向けの挨拶は、単なるあなたの退職報告ではありません。それは、「担当者の交代」という会社としての公式な通知です。したがって、このプロセスはあなたと後任者、そして上司を含めたチームで行うべきものです。

まず、後任者と今後の顧客対応について十分に話し合う必要があります。どのタイミングで挨拶メールを送るか、メールだけでなく直接挨拶に伺うべきか、引き継ぎの進捗状況はどう伝えるかなど、後任者の意向も尊重しながら進め方を決めます。あなたが勝手にメールを送ってしまった後で、後任者が「本当は直接ご挨拶してからメールにしたかったのに…」と考えていたら、後任者はやりにくさを感じ、スムーズな関係構築の妨げになりかねません。

次に、そのすり合わせ内容を元に、上司から正式な許可を得ます。前述の通り、社外への連絡は会社としての意思決定です。送信相手のリスト、文面、タイミングなど、すべてにおいて組織の承認を得るのが鉄則です。

このプロセスを丁寧に行うことで、以下のメリットが生まれます。

  • 会社として一貫した対応ができ、取引先に安心感を与えられる。
  • 後任者がスムーズに業務を開始できる環境を整えられる。
  • あなた自身も、引き継ぎの責任をしっかりと果たしたという自信を持って会社を去ることができる。

社外への挨拶は、あなた、後任者、そして会社の三方にとって最善の結果となるよう、独断専行を避け、密な連携を心がけましょう。

挨拶メールに返信がきた場合の対応方法と例文

挨拶メールに返信がきた場合の対応方法と例文

退職の挨拶メールを送ると、特に個別に送った上司や同僚、親しくしていた取引先などから、温かい労いの言葉や今後の活躍を祈るメッセージが返ってくることがよくあります。こうした返信に対してどう対応すべきか、悩む人も少なくありません。丁寧な対応は、あなたの印象をさらに良くする最後の仕上げとなります。

返信はした方が良い?

結論から言うと、個別に心のこもったメッセージをくれた相手には、できる限り返信する方が望ましいです。最後のコミュニケーションの機会であり、相手があなたのために時間を使ってメッセージを書いてくれたことに対する、感謝と礼儀を示す行為だからです。

ただし、状況に応じて判断する必要もあります。

  • 返信すべきケース:
    • 上司や特にお世話になった先輩からの温かいメッセージ。
    • 同僚からの具体的な思い出を交えたメッセージ。
    • 社外の担当者から、これまでの感謝や後任者への協力が綴られた丁寧なメール。
    • 質問が含まれている場合(例:「今後の連絡先を教えてもらえますか?」)。
  • 必ずしも返信しなくても良いケース:
    • Bccで一斉送信したメールに対して、「了解しました。お疲れ様でした。」といった定型的な返信が多数来た場合。最終出社日は引き継ぎの最終確認や挨拶回り、私物の片付けなどで非常に忙しいため、すべてに返信するのは現実的ではありません。この場合は、無理に対応しなくても失礼にはあたりません。
    • 相手のメールに「返信不要です」と明記されている場合(これについては後述のQ&Aで詳しく解説します)。

基本的には、「感謝の気持ちを伝えたい」と感じたメールには、簡潔でも良いので返信するのがマナーと心得ておきましょう。最終日の忙しい合間を縫って、あるいは退職後に自宅から、誠実に対応する姿勢が大切です。返信することで、相手も「メールを送って良かった」と感じ、お互いに気持ちの良い関係のまま締めくくることができます。

返信メールの例文

返信メールは、長文である必要はありません。相手からのメッセージに対する感謝の気持ちが伝われば十分です。シンプルかつ丁寧に、以下のような構成で作成しましょう。

  1. 件名: 件名は変えずに「Re:」がついたままで構いません。相手が何のメールへの返信かすぐにわかるようにするためです。
  2. 宛名: 相手の氏名を書きます。
  3. 本文:
    • 返信をくれたことへのお礼(「ご多忙の折、ご丁寧な返信をいただき、誠にありがとうございます。」)
    • 相手からのメッセージへの感想や共感(「〇〇さんからいただいた温かいお言葉、大変嬉しく拝読しました。」)
    • 相手の今後の活躍を祈る言葉(「〇〇さんの今後のご活躍を心よりお祈りしております。」)
  4. 署名: 自分の氏名を書きます。会社の署名はもう不要です。

【社内の上司・同僚への返信メール例文】


件名: Re: 大変お世話になりました

宛名:
〇〇さん

本文:
お忙しい中、心のこもったメッセージをありがとうございます。
とても嬉しく、胸が熱くなりました。

〇〇さんと一緒に進めた△△プロジェクト、本当に楽しかったです。
またどこかでお会いできる日を楽しみにしております。

〇〇さんも、どうぞお体に気をつけてお過ごしください。
今後のさらなるご活躍を心よりお祈りしています。

本当にありがとうございました。

署名:
氏名 太郎


【社外の取引先への返信メール例文】


件名: Re: 退職のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)

宛名:
株式会社△△
△△様

本文:
ご多忙の折、ご丁寧にご返信を賜り、誠に恐縮です。
また、温かいお言葉をいただき、心より感謝申し上げます。

在職中は、△△様に大変お世話になりました。
後任の〇〇共々、弊社への変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

末筆ではございますが、
△△様の今後のご健勝と、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

署名:
氏名 〇〇(あなたの氏名)


返信する際のポイントは、相手のメッセージ内容に少しだけ触れることです。「〇〇のプロジェクト、楽しかったですね」「温かいお言葉、嬉しかったです」といった一言を加えるだけで、定型文ではない、心のこもった返信になります。長々と書く必要はありません。簡潔に、誠実に、感謝を伝えることを心がけましょう。

最終出社日の挨拶(スピーチ)のポイントと例文

時間は1〜3分程度に簡潔にまとめる、明るく、前向きなトーンで話す、感謝の気持ちを中心に構成する、具体的なエピソードを少し加える、ネガティブな話や自慢話は絶対にしない、視線を配り、姿勢を正す

最終出社日には、朝礼や終礼の場、あるいは送別会などで、部署やチームのメンバーに向けて挨拶(スピーチ)を求められることが一般的です。メールとは違い、直接顔を合わせて言葉を伝える最後の機会です。良い印象を残して締めくくるために、ポイントを押さえて簡潔で心に残るスピーチを準備しておきましょう。

スピーチをするときのポイント

大勢の前で話すのは緊張するものですが、いくつかのポイントを意識するだけで、スムーズで好印象なスピーチができます。

  • 時間は1〜3分程度に簡潔にまとめる: 長すぎるスピーチは、聞いている側の集中力を削ぎ、かえって内容が伝わりにくくなります。感謝の気持ちを中心に、要点を絞って話しましょう。事前に話す内容をメモにまとめておき、時間を計って練習しておくと安心です。
  • 明るく、前向きなトーンで話す: 退職は寂しい側面もありますが、スピーチの場では湿っぽくなりすぎず、明るくハキハキと話すことを心がけましょう。笑顔を交えながら話すことで、聞いている側も気持ちよくあなたを送り出すことができます。あなたの新たな門出を祝う場でもあるという意識を持つと、自然と前向きなトーンになります。
  • 感謝の気持ちを中心に構成する: スピーチの核となるのは、やはり「感謝」です。上司、同僚、後輩など、お世話になった人々への感謝の気持ちを、自分の言葉で伝えましょう。メールと内容が重複しても構いません。直接言葉にすることで、より一層気持ちが伝わります。
  • 具体的なエピソードを少し加える: 「入社したての頃、〇〇さんに助けてもらったこと」「チーム全員で目標を達成した時のこと」など、差し支えない範囲で具体的な思い出に触れると、スピーチに深みが出て、聞いている人の心に響きます。ただし、内輪すぎる話や、誰かを傷つける可能性のある話は避けましょう。
  • ネガティブな話や自慢話は絶対にしない: 退職理由の詳細や、会社への不満は、スピーチの場では厳禁です。同様に、転職先がいかに素晴らしいかといった自慢話も、残る人々への配慮に欠ける行為です。あくまでも、謙虚な姿勢と感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
  • 視線を配り、姿勢を正す: 特定の人だけを見るのではなく、全体に視線を配りながら話すと、多くの人にメッセージが届きます。下を向かず、背筋を伸ばして堂々と話すことで、自信のある誠実な印象を与えられます。

スピーチは、あなたの人柄が最も表れる瞬間の一つです。上手な話術は必要ありません。誠実な言葉で、心を込めて感謝を伝えることが何よりも大切です。

退職挨拶スピーチの例文

以下に、基本的な構成に沿ったスピーチの例文を紹介します。これをベースに、ご自身の言葉やエピソードを加えて、オリジナルのスピーチを作成してみてください。


【退職挨拶スピーチの例文】

(導入)
「皆様、お忙しいところ、お時間をいただきまして誠にありがとうございます。
本日をもちまして、退職することになりました、〇〇部の〇〇です。
最後の挨拶の機会をいただき、ありがとうございます。」

(感謝の言葉)
「〇〇年〇月に入社してから、本日まで〇年間、大変お世話になりました。
入社した当初は、右も左もわからず、皆様にご迷惑をおかけしてばかりでしたが、
〇〇部長をはじめ、先輩方、そして同僚の皆さんが、いつも温かく、時には厳しくご指導、サポートしてくださったおかげで、ここまで成長することができました。心から感謝しております。」

(思い出・エピソード)
「特に、チーム一丸となって取り組んだ△△プロジェクトは、困難なことも多かったですが、皆で力を合わせて目標を達成できた時の喜びは、今でも忘れられません。皆さんと一緒に仕事ができて、本当に楽しかったです。」

(今後の抱負・結び)
「この会社で得た貴重な経験や、皆様からいただいた温かい励ましの言葉を胸に、次のステージでも精一杯頑張りたいと思っております。
最後になりますが、皆様の今後のご健勝と、株式会社〇〇のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」

(締め)
「今まで、本当にありがとうございました!」


【スピーチのアレンジのヒント】

  • ユーモアを交える: 「入社当初、電話の取り次ぎすらまともにできなかった私が、こうして皆様の前で挨拶できているのも、ひとえに皆様の忍耐強いご指導のおかげです」のように、少し自虐的なユーモアを入れると、場が和むことがあります。
  • 他部署への感謝: 「営業部の皆様だけでなく、いつもサポートしてくださった管理部の皆様にも、この場を借りて御礼申し上げます」と、他部署への感謝を述べると、より丁寧な印象になります。

スピーチの最後は、深々とお辞儀をして締めくくりましょう。心のこもったスピーチは、あなたの退職を美しい思い出として、同僚たちの記憶に刻むはずです。

退職・転職の挨拶に関するQ&A

個人的な連絡先は書いてもいい?、転職先の会社名は伝えるべき?、「返信不要」と書かれたメールに返信しても問題ない?、最終出社日後にメールを送るのはマナー違反?

退職の挨拶に関しては、メールやスピーチの基本的なマナー以外にも、「これはどうすれば良いのだろう?」と迷う細かな疑問点がいくつかあります。ここでは、多くの人が抱きがちな質問とその回答をまとめました。

個人的な連絡先は書いてもいい?

回答:関係性に応じて慎重に判断すべきですが、一斉メールでの記載は避けるのが無難です。

今後もプライベートで付き合いを続けたい、親しい同僚や上司に対して、個人的な連絡先(私用のメールアドレスや電話番号、SNSアカウントなど)を伝えること自体は問題ありません。その場合は、一斉送信の挨拶メールではなく、個別に送るメールの中で伝えるのが最も丁寧で適切な方法です。

一斉メールに個人の連絡先を記載することには、いくつかのリスクが伴います。

  • 意図しない相手にまで個人情報が渡ってしまう: あまり親しくない人や、今後コンタクトを取りたくない人にまで、あなたのプライベートな連絡先が知られてしまいます。
  • 公私混同と見なされる可能性がある: 会社のアカウントから送るメールに、私的な連絡先を大々的に記載するのは、公私混同と捉えられかねません。
  • SNSアカウントのリスク: SNSアカウントを伝える場合は、そのアカウントでの投稿内容に注意が必要です。退職直後に新しい職場の様子やプライベートな内容を赤裸々に投稿すると、元同僚が見て快く思わない可能性もあります。

したがって、基本戦略としては、「一斉メールでは記載せず、伝えたい相手にのみ個別で伝える」と覚えておきましょう。もし一斉メールで何らかの連絡手段を伝えたい場合は、「今後もご連絡をいただける場合は、Facebookの〇〇(氏名)までお気軽に申請ください」のように、相手に選択権のあるSNSなどを、上司に相談の上で記載する程度に留めるのが賢明です。

転職先の会社名は伝えるべき?

回答:基本的には、自ら積極的に伝える必要はありません。

退職挨拶のメールやスピーチで、次に働く会社の名前を公表するのは、一般的には避けるべきです。その理由はいくつかあります。

  • 自慢と受け取られるリスク: 特に有名な企業や、現在の会社よりも待遇が良いとされる企業への転職の場合、残る人々への配慮に欠ける自慢話と受け取られてしまう可能性があります。
  • トラブルの回避: 競合他社への転職の場合、会社によっては良い顔をされなかったり、機密情報の持ち出しを疑われたりするきっかけになることもあり得ます。退職前の段階で伝えるのは、無用なトラブルを招くリスクを高めます。
  • 伝えるタイミングの問題: 挨拶の時点では、まだ新しい会社に正式に入社していない段階です。万が一の事態(入社辞退など)も考慮すると、確定していない情報を公にするのは避けるべきです。

もし、上司や同僚から直接「次はどこに行くの?」と聞かれた場合は、相手との関係性に応じて判断します。信頼できる相手であれば、「〇〇という業界の会社です」のようにぼかして伝えたり、「退職して落ち着いたら、また改めてご連絡しますね」と伝えたりするのがスマートな対応です。伝える場合でも、退職し、新しい会社に正式に入社してから、個人的な連絡の中で報告するのが最も適切なタイミングと言えるでしょう。

「返信不要」と書かれたメールに返信しても問題ない?

回答:基本的には返信しないのがマナーですが、例外もあります。

相手がメールの末尾に「(ご返信には及びません)」「(返信不要です)」と添えているのは、「あなたの手間を省きたい」という配慮の表れです。この気遣いを無にしないためにも、基本的にはその意図を汲み取り、返信しないのが正しいマナーです。特に、相手が役員や多忙な上司である場合は、その指示に従うべきでしょう。

ただし、例外的なケースも存在します。それは、どうしても一言お礼を伝えたい、特にお世話になった相手の場合です。例えば、長年指導してくれた恩師のような上司から、心のこもったメッセージと共に「返信不要」と書かれていたとします。この場合、何も返さないのはかえって心苦しいと感じるかもしれません。

そうした状況では、相手の配慮に感謝しつつ、ごく簡潔にお礼を述べるのであれば、許容されることがあります。

【例文】
「ご多忙にもかかわらず、温かいお言葉をいただき恐縮です。ご返信は不要とのお心遣い、誠にありがとうございます。一言だけ御礼を申し上げたく、ご連絡いたしました。〇〇部長には、本当にお世話になりました。心より感謝申し上げます。」

このように、「相手の配慮は理解しているが、それでも感謝を伝えたい」という姿勢を示すことで、失礼な印象を与えずに気持ちを伝えることができます。ただし、あくまでも例外的な対応であり、長々と書いたり、新たな質問をしたりするのはNGです。

最終出社日後にメールを送るのはマナー違反?

回答:基本的にはマナー違反ですが、やむを得ない事情がある場合はお詫びを添えて送ります。

退職挨拶メールは、最終出社日までに送るのが原則です。退職後は、もはやその会社の一員ではなく、会社のメールアカウントも使えなくなります。退職後に私用のメールアドレスから挨拶を送るのは、タイミングを逸した行為と見なされ、締まりのない印象を与えてしまいます。

しかし、以下のようなやむを得ない事情で、最終出社日までに挨拶ができなかった場合も考えられます。

  • 急な病気や家庭の事情で、突然退職が決まった。
  • 有給休暇の消化により、最終出社日が想定よりかなり早くなってしまった。
  • 最終出社日が非常に忙しく、どうしてもメールを送る時間がなかった。

このような場合は、退職後になってしまっても、できるだけ早く挨拶メールを送りましょう。その際、必ず挨拶が遅れたことへのお詫びを一言添えるのが重要です。

【例文の冒頭】
「〇月〇日付で退職いたしました〇〇です。
本来であれば最終出社日にご挨拶を申し上げるべきところ、退職後のご連絡となりましたことを深くお詫び申し上げます。」

このように前置きをすることで、マナーを理解した上で、やむを得ず遅れてしまったことが伝わります。送らないままにしておくよりは、遅れてでも誠意を見せる方がはるかに良い選択です。