事務職への転職を考えたとき、多くの人が頭を悩ませるのが「職務経歴書」の作成です。特に、未経験からの挑戦や、これまでの経験をどうアピールすれば良いか分からない場合、何から手をつければ良いのか迷ってしまうかもしれません。
事務職は、企業の活動を円滑に進めるために不可欠な存在であり、その求人は常に安定した需要があります。しかし、人気職種であるため競争率も高く、数多くの応募者の中から採用担当者の目に留まるためには、自身のスキルや経験、そして仕事への熱意を効果的に伝える職務経歴書が不可欠です。
この記事では、事務職の職務経歴書を作成する上で押さえておくべき基本的な考え方から、採用担当者の心に響く具体的な書き方までを、網羅的に解説します。経験者向けのブラッシュアップはもちろん、未経験者が自身の強みを見つけてアピールするための方法、さらには職種別の豊富な例文まで、あなたの転職活動を成功に導くためのノウハウを詰め込みました。
この記事を最後まで読めば、あなたは自信を持って、自分だけの魅力的な職務経歴書を完成させることができるでしょう。それでは、まずは職務経歴書とは何か、その本質的な役割から理解を深めていきましょう。
目次
事務職の職務経歴書とは
転職活動において、履歴書と並んで必ず提出を求められる職務経歴書。特に事務職を目指す上で、この書類が持つ意味は非常に大きいものです。職務経歴書は、単に過去の職歴を並べただけの書類ではありません。それは、あなたという人材の価値を企業に伝えるための「プレゼンテーション資料」に他なりません。この本質を理解することが、採用を勝ち取るための第一歩となります。まずは、混同されがちな履歴書との違いを明確にし、職務経歴書が果たすべき役割を深く掘り下げていきましょう。
履歴書との違いを理解する
多くの応募者が、履歴書と職務経歴書の役割の違いを曖昧なまま作成してしまいがちです。しかし、採用担当者はこの2つの書類を明確に異なる目的で見ています。その違いを正しく理解し、それぞれの役割に応じた書類を作成することが、選考を有利に進めるための鍵となります。
項目 | 履歴書 | 職務経歴書 |
---|---|---|
目的 | 応募者の基本的なプロフィールを証明する公的書類 | 業務経験やスキルを具体的に示し、貢献度をアピールするプレゼン資料 |
役割 | 応募資格を満たしているかの確認、人物の基本情報の把握 | 職務遂行能力、専門性、入社後の活躍イメージの判断 |
形式 | フォーマットがほぼ定まっている(JIS規格など) | フォーマットは自由。アピールしやすい形式を選択可能 |
記載内容 | 氏名、住所、学歴、職歴、資格、志望動機などを定型的に記載 | 職務要約、職務経歴(業務内容、実績)、活かせるスキル、自己PRなどを具体的に詳述 |
分量 | A4用紙1〜2枚 | A4用紙1〜2枚(経験に応じて調整) |
履歴書は、いわばあなたの「身分証明書」や「公式プロフィール」のようなものです。氏名、年齢、学歴、職歴といった客観的な事実を、定められた形式に沿って簡潔に記載します。採用担当者は履歴書を見て、「応募者がどのような人物で、どのような経歴を歩んできたのか」という全体像をまず把握します。ここに虚偽の記載は許されず、正確性が何よりも求められます。
一方、職務経歴書は、あなたの「営業ツール」であり、「実績報告書」です。履歴書の職歴欄だけでは伝えきれない、具体的な業務内容、そこで挙げた実績や成果、培ってきたスキル、そして仕事に対する工夫や姿勢などを、自由な形式でアピールするための書類です。採用担当者は職務経歴書を読み込み、「この応募者は自社で具体的にどのような活躍をしてくれるのか」「求めているスキルや経験を持っているか」を判断します。
たとえば、履歴書の職歴欄には「株式会社〇〇 一般事務として勤務」と一行で書くだけですが、職務経歴書では、その一般事務の仕事の中で「どのような書類を作成したのか」「どのように業務を効率化したのか」「どのようなスキルが身についたのか」を、具体的なエピソードや数字を交えて詳細に説明します。
この違いを理解せずに、職務経歴書に履歴書と同じような内容を書いてしまうと、「アピール不足」「自己分析ができていない」と判断されかねません。履歴書で基本情報を伝え、職務経歴書であなたの能力と熱意を存分にプレゼンテーションする。この役割分担を意識することが、他の応募者と差をつけるための重要な第一歩となるのです。次の章では、採用担当者が職務経歴書のどこに注目しているのか、その具体的な視点について詳しく見ていきましょう。
採用担当者はここを見ている!職務経歴書で重要な3つの視点
効果的な職務経歴書を作成するためには、まず「読み手」である採用担当者の視点を理解することが不可欠です。採用担当者は毎日数多くの職務経歴書に目を通しています。その中で、どのような情報を見つけ出し、何を基準に「会ってみたい」と判断しているのでしょうか。ここでは、採用担当者が特に重視する3つの視点を解説します。この視点を意識することで、あなたの職務経歴書は、単なる経歴の羅列から、採用担当者の心に響く強力なアピール文書へと変わるでしょう。
自社で活躍できる人材か
採用担当者が最も知りたいのは、「この応募者が入社後、自社の戦力として活躍してくれるか」という一点に尽きます。どんなに素晴らしい経歴や高いスキルを持っていても、それが自社の事業内容、社風、そして募集しているポジションの業務内容とマッチしていなければ、採用には至りません。
採用担当者は、職務経歴書全体から以下の点を読み取ろうとします。
- 企業理解度: 応募者が自社のことをどれだけ理解しているか。事業内容や企業理念、今後の方向性などを把握した上で応募してきているか。職務経歴書の随所に、企業研究に基づいた記述が見られると、「自社への関心が高い」と評価されます。
- 経験・スキルとのマッチング: 応募者のこれまでの経験やスキルが、募集職種の業務にどう直結するのか。例えば、営業事務の募集であれば、受発注管理や納期調整、顧客対応の経験が重視されます。経理事務であれば、会計ソフトの使用経験や簿記の知識が求められます。自分の経験の中から、応募先の業務内容と親和性の高いものを抽出し、具体的にアピールする必要があります。
- 再現性: 前職で挙げた実績が、自社でも再現できる可能性があるか。例えば、「業務フローを改善し、残業時間を月10時間削減した」という実績は、そのプロセスや思考方法が論理的に説明されていれば、「自社でも問題解決能力を発揮してくれそうだ」と期待感に繋がります。
この「自社で活躍できるか」という視点に応えるためには、応募する企業一社一社に対して職務経歴書をカスタマイズすることが極めて重要です。使いまわしの職務経歴書では、熱意もマッチング度も伝わりません。応募先企業の「求める人物像」を徹底的に分析し、自分のキャリアと重ね合わせ、未来の貢献イメージを具体的に提示すること。これが、採用担当者の期待感を醸成する鍵となります。
基本的なPCスキルや事務処理能力はあるか
事務職にとって、PCスキルはもはや「読み・書き・そろばん」と同じレベルの必須スキルです。採用担当者は、応募者が基本的な事務処理を滞りなくこなせるかどうかを厳しくチェックします。
特に重視されるのは、以下の点です。
- Microsoft Office製品の習熟度: Word, Excel, PowerPointは事務職の三種の神器です。単に「使えます」と書くだけでは不十分。「どのソフトの、どの機能を、どのレベルで使えるか」を具体的に示す必要があります。
- Word: ビジネス文書作成、表の挿入・編集、差し込み印刷など。
- Excel: 四則演算、SUM・IF・VLOOKUP・COUNTIFといった基本関数、ピボットテーブルによるデータ集計、グラフ作成など。より高度なマクロやVBAの知識があれば、強力なアピールになります。
- PowerPoint: プレゼンテーション資料の作成、図やグラフの挿入、アニメーション設定など。
- 正確性とスピード: 事務処理は、正確さが命です。データ入力や書類作成において、ミスなくスピーディーに作業を進められる能力は高く評価されます。職務経歴の中で、「ダブルチェックを徹底し、入力ミスを〇%削減した」「ショートカットキーを駆使し、定型業務の処理時間を△分短縮した」といった具体的なエピソードを盛り込むことで、事務処理能力の高さを証明できます。
- ITリテラシー: Office製品以外にも、ビジネスチャットツール(Slack, Microsoft Teamsなど)、Web会議システム(Zoom, Google Meetなど)、クラウドストレージ(Google Drive, Dropboxなど)といった、現代のビジネスシーンで頻繁に使われるツールへの理解度も問われます。これらの使用経験があれば、積極的に記載しましょう。
これらのスキルは、経験者であれば当然持っているべきものと見なされますし、未経験者であっても、入社後のキャッチアップを期待される最低限の素養として評価されます。自身のPCスキルを客観的に棚卸しし、具体的に記述することが、採用担当者に安心感を与える上で非常に重要です。
仕事への意欲や人柄はどうか
スキルや経験と同じくらい、あるいはそれ以上に採用担当者が重視するのが、応募者の「仕事への意欲」や「人柄」です。特に事務職は、他部署の社員や社外の取引先など、多くの人と関わるポジションです。そのため、チームの一員として円滑な人間関係を築き、周囲と協力しながら業務を進められる人物かどうかが厳しく見られます。
採用担当者は、自己PRや志望動機、職務経歴の文面から、以下のような点を読み取ろうとします。
- 主体性・積極性: 指示された業務をただこなすだけでなく、自ら課題を見つけ、改善しようとする姿勢があるか。「業務マニュアルを自主的に作成した」「ファイリング方法を見直し、部署全体の業務効率を改善した」といったエピソードは、主体性の高さをアピールする絶好の材料です。
- 協調性・コミュニケーション能力: チームワークを大切にし、周囲への気配りができるか。職務経歴の中で、「他部署と連携してプロジェクトを円滑に進めた」「後輩の指導役として、チームのスキル底上げに貢献した」といった経験を記載することで、協調性をアピールできます。
- 誠実さ・責任感: 丁寧に、責任感を持って仕事に取り組む姿勢があるか。これは、文章の丁寧さや誤字脱字のなさからも透けて見えます。最後まで粘り強く業務をやり遂げた経験などを具体的に示すことで、信頼できる人物であることを伝えられます。
- 学習意欲・成長意欲: 未経験の業務や新しいツールに対しても、積極的に学ぼうとする姿勢があるか。特に未経験者の場合、「現在は〇〇の資格取得に向けて勉強中です」「入社後は△△のスキルをいち早く習得したいです」といった記述は、ポテンシャルを評価される上で非常に有効です。
これらの「人間性」に関する部分は、直接的なスキルとは異なり、アピールが難しいと感じるかもしれません。しかし、過去の業務における具体的な行動やエピソードを通じて示すことで、説得力を持たせることが可能です。
以上3つの視点を常に念頭に置きながら職務経歴書を作成することで、採用担当者の評価ポイントを的確に押さえた、選考通過率の高い書類を準備できるでしょう。次の章では、実際に書き始める前の重要な準備段階について解説します。
職務経歴書を書き始める前の準備
優れた職務経歴書は、決して思いつきで書けるものではありません。料理人が最高の料理を作るために、まず新鮮な食材を吟味し、下ごしらえを丁寧に行うように、職務経歴書作成においても、書き始める前の「準備」がその質を大きく左右します。この準備段階を丁寧に行うことで、内容に深みと説得力が生まれ、採用担当者の心に響く一貫性のあるストーリーを描くことができます。ここでは、その重要な2つの準備、「キャリアの棚卸し」と「応募先企業の理解」について具体的に解説します。
自身のキャリアの棚卸しをする
キャリアの棚卸しとは、これまでの社会人経験を一つひとつ振り返り、自分の「できること(スキル)」「してきたこと(経験・実績)」「やりたいこと(志向)」を客観的に整理・分析する作業です。この作業を行うことで、自分では気づかなかった強みやアピールポイントを発見し、職務経歴書に盛り込むべき材料を網羅的に洗い出すことができます。
具体的な棚卸しの手順は以下の通りです。
- 時系列で職務経歴を書き出す:
まずは、新卒で入社した会社から現在(または直近)の会社まで、所属した企業ごとに情報を書き出します。この時点では、体裁は気にせず、思いつくままにメモしていくのがポイントです。- 会社名、事業内容、従業員数、売上高など
- 在籍期間(〇年〇月〜〇年〇月)
- 所属部署、役職
- 担当業務を具体的に分解する:
「一般事務」や「営業」といった職種名だけでなく、具体的にどのような業務を担当していたかを箇条書きで詳細に書き出します。- (例)一般事務の場合:「電話・来客応対」「請求書・納品書の作成・発行」「備品管理・発注」「会議室の予約管理」「郵便物の仕分け・発送」「経費精算処理」「データ入力(売上データ、顧客情報など)」
- 実績や成果を数値化する:
担当した業務の中で、何か成果に繋がったこと、評価されたことはなかったか思い出します。可能な限り具体的な「数字」を用いて表現することが重要です。- (例)「業務プロセスを見直し、請求書発行にかかる時間を月平均5時間削減した(15%削減)」
- (例)「FAQを作成・共有し、部署内の問い合わせ件数を前月比で20%削減した」
- (例)「データ入力のダブルチェック体制を提案・導入し、入力ミスを95%削減した」
数字で表せない場合でも、「どのような課題に対し、どう工夫し、どのような結果(周囲からの評価など)になったか」を具体的に記述します。
- 身につけたスキルをリストアップする:
これまでの経験を通じて、どのようなスキルが身についたかを書き出します。- PCスキル: Word(差し込み印刷)、Excel(VLOOKUP、ピボットテーブル)、PowerPoint(プレゼン資料作成)など、具体的に。
- 専門スキル: 日商簿記2級、秘書検定2級、TOEIC 750点など。
- ビジネススキル: コミュニケーション能力、スケジュール管理能力、問題解決能力、調整力など。
- 仕事への取り組み方や工夫を言語化する:
日々の業務の中で、何を意識していたか、どのような工夫をしていたかを振り返ります。- (例)「常に先を読んで行動し、頼まれる前に必要な資料を準備することを心がけていた」
- (例)「複雑な依頼でも、まず相手の意図を正確にヒアリングしてから業務に取り掛かるようにしていた」
この棚卸し作業は、いわば職務経歴書に書くための「素材集め」です。時間をかけて丁寧に行うことで、アピールできる要素が豊富に見つかり、自信を持って書類作成に臨めるようになります。
応募先企業の求める人物像を把握する
キャリアの棚卸しで自分の「素材」が集まったら、次はその素材を、応募先企業という「顧客」のニーズに合わせて「調理」する段階です。つまり、応募先企業がどのような人材を求めているのかを深く理解し、それに合わせて自分の強みを効果的に見せていく必要があります。
求める人物像を把握するためには、以下の情報源を徹底的に活用します。
- 求人情報(募集要項):
最も直接的で重要な情報源です。特に以下の項目は熟読しましょう。- 「仕事内容」: どのような業務を任されるのか。ここに書かれている業務内容と、自分の経験との接点を探します。
- 「応募資格」「必須スキル」: これを満たしていないと、選考の土俵に上がれません。
- 「歓迎する経験・スキル」: 必須ではないものの、持っていると高く評価されるポイントです。ここに合致する経験があれば、積極的にアピールしましょう。
- 「求める人物像」: 「主体的に行動できる方」「チームワークを大切にする方」など、企業が求めるスタンスや人柄が書かれています。自分の性格や仕事への姿勢と合致する部分を、自己PRで具体的に示します。
- 企業の公式ウェブサイト:
求人情報だけでは分からない、企業の全体像を把握します。- 経営理念・ビジョン: 企業が何を大切にし、どこを目指しているのかを理解します。自分の価値観と合致する点を見つけ、志望動機に繋げます。
- 事業内容・サービス: どのような事業で社会に貢献しているのかを具体的に知ることで、入社後の貢献イメージが湧きやすくなります。
- 沿革: 企業の歴史を知ることで、その成長性や安定性を理解できます。
- 採用サイト・社員インタビュー:
実際に働いている社員の声は、社風や働きがいを知る上で非常に参考になります。どのような人が活躍しているのか、どのようなキャリアパスがあるのかを読み解き、自分がその一員として働く姿をイメージします。
これらの情報収集を通じて、「この企業は、〇〇というスキルを持ち、△△という姿勢で仕事に取り組める人材を求めている」という仮説を立てます。そして、キャリアの棚卸しで見つけ出した自分の強みの中から、その仮説に最も合致するものをピックアップし、職務経歴書のアピールポイントとして磨き上げていくのです。
この「キャリアの棚卸し」と「企業研究」という2つの準備を徹底することが、ありきたりの職務経歴書から脱却し、採用担当者の目に留まる、説得力のある書類を作成するための絶対条件と言えるでしょう。
【項目別】事務職の職務経歴書の基本的な書き方
事前の準備が完了したら、いよいよ職務経歴書の各項目を具体的に作成していきます。職務経歴書には決まったフォーマットはありませんが、一般的に記載すべきとされる項目が存在します。ここでは、事務職の職務経歴書において不可欠な5つの主要項目「職務要約」「職務経歴」「活かせる経験・スキル」「資格」「自己PR」について、それぞれの役割と採用担当者に響く書き方のポイントを詳しく解説します。
職務要約
職務要約は、職務経歴書の冒頭に記載する、いわば「予告編」や「あらすじ」のような部分です。多忙な採用担当者は、まずこの職務要約を読んで、続きを読む価値があるかどうかを判断します。ここで興味を引くことができなければ、その先の詳細な経歴を読んでもらえない可能性すらあります。文字数は100〜200字程度、3〜5行に収めるのが目安です。
【職務要約に盛り込むべき3つの要素】
- これまでのキャリアの概要: どのような業界で、どのような職種を、何年経験してきたかを簡潔に述べます。
- 最もアピールしたい強み(スキル・実績): 応募先の業務に直結するスキルや、特筆すべき実績を具体的に示します。
- 入社後の貢献意欲: これまでの経験を活かして、どのように会社に貢献したいかを前向きな言葉で締めくくります。
【書き方のポイント】
- 結論から書く: 「〇〇の経験を〇年積んできました」とキャリアの要点を最初に提示します。
- 具体性を持たせる: 「コミュニケーション能力が高いです」ではなく、「営業事務として社内外の関係者と円滑な連携を図り、納期遵守率99%を達成しました」のように、具体的な行動や結果を示します。
- 応募企業に合わせてカスタマイズする: 応募先が求めるスキルや人物像に合わせて、アピールする強みを変えましょう。
(経験者の例文)
約5年間、IT業界で営業事務として従事してまいりました。受発注管理、請求書発行、納期調整といった一連の事務業務を担当し、Excelの関数やピボットテーブルを活用したデータ集計・分析により、月次報告書の作成時間を30%削減した実績がございます。これまでの経験で培った正確な事務処理能力と調整力を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。
(未経験者の例文)
3年間、アパレル業界で販売スタッフとして、接客、在庫管理、売上報告書の作成などを担当してまいりました。お客様のニーズを的確に把握するヒアリング力と、PCでの売上データ入力・分析スキルには自信があります。前職で培ったコミュニケーション能力とPCスキルを活かし、未経験からではございますが、一日も早く貴社の戦力となれるよう尽力いたします。
職務経歴
職務経歴は、職務経歴書の中で最も重要な、メインとなる部分です。これまでの業務経験を具体的に記述し、自身の職務遂行能力を証明します。一般的には、時系列に沿って「逆編年体式(新しい経歴から順に書く)」で記載するのが、採用担当者にとって分かりやすくおすすめです。
【記載する基本項目】
- 会社名・在籍期間: 正式名称で記載します。
- 会社概要: 事業内容、従業員数、売上高など、企業の規模感が分かる情報を簡潔に記載すると、採用担当者の理解を助けます。
- 所属部署・役職: 異動や昇進があれば、それも時系列で記載します。
- 業務内容: 担当していた業務を箇条書きで分かりやすく記載します。 ここがアピールの中心です。「誰に」「何を」「どのように」行っていたかが伝わるように具体的に書きましょう。
- 実績・成果: 業務を通じて挙げた成果や、改善・工夫した点を記載します。可能な限り具体的な数字を用いて定量的に示すことで、説得力が格段に増します。
【書き方のポイント】
- 5W1Hを意識する: いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、という視点で業務内容を整理すると、具体性が増します。
- 応募職種との関連性を意識する: 応募する事務職の仕事内容と関連性の高い業務経験を、より詳しく、先に書くなどの工夫をしましょう。
- 動詞で終わる: 「〇〇を担当」「△△を作成」「□□を改善」のように、能動的な表現で締めると、主体的な印象を与えます。
(記載例)
株式会社△△ (20XX年4月~20XX年3月)
事業内容:業務用ソフトウェアの開発・販売
従業員数:300名
資本金:1億円【所属】 営業本部 営業第一部
【業務内容】
・営業担当者3名のサポート業務(見積書、契約書、提案資料の作成)
・受発注データ入力および管理(専用システム使用)
・請求書、納品書の発行および発送業務(月間約100件)
・電話、メールによる顧客からの問い合わせ対応、納期調整
・月次売上データの集計および報告資料の作成(Excel使用)【実績・取り組み】
・ExcelのVLOOKUP関数やピボットテーブルを活用し、手作業で行っていた月次報告書の作成プロセスを自動化。毎月の作業時間を8時間から4時間へと50%削減しました。
・過去の問い合わせ内容をFAQとして整理・共有し、チーム内の同様の問い合わせ対応時間を削減。担当営業がコア業務に集中できる環境作りに貢献しました。
活かせる経験・スキル
職務経歴でアピールした経験やスキルを、改めて一覧で見やすくまとめる項目です。採用担当者があなたのスキルセットを一目で把握できるように、カテゴリ分けして記載するのが効果的です。
【カテゴリ例と書き方】
- PCスキル:
- Word: ビジネス文書作成、表作成、差し込み印刷機能を用いた宛名ラベル作成
- Excel: VLOOKUP・IF関数、ピボットテーブルを用いたデータ集計・分析、グラフ作成、マクロによる定型業務の自動化
- PowerPoint: プレゼンテーション資料作成(アニメーション、図表の挿入)
- その他: Google Workspace(ドキュメント, スプレッドシート)、Slack, Microsoft Teams 等
- 語学スキル:
- 英語: TOEIC 800点(20XX年X月取得)。海外支社とのメールでのコレポン、英文契約書の雛形確認などが可能。
- その他ビジネススキル:
- ビジネスマナー: 電話応対、来客応対、ビジネスメール作成など、基本的なビジネスマナーを習得。
- コミュニケーション能力: 営業、開発、顧客など、多様な立場の人々と円滑な関係を構築し、業務を推進可能。
資格
保有している資格を記載します。応募職種との関連性が高い資格から順に、取得年月日を添えて正式名称で書きましょう。
【事務職で評価されやすい資格の例】
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
- 日商PC検定試験(文書作成、データ活用)
- 日商簿記検定(2級以上あると経理・会計分野で強みになる)
- 秘書技能検定
- TOEIC、実用英語技能検定など語学系の資格
- 貿易実務検定(貿易事務の場合)
- 医療事務関連資格(医療事務の場合)
【書き方のポイント】
- 取得年月と正式名称を正確に: 20XX年X月 日商簿記検定試験2級 取得
- 勉強中の資格もアピール: 応募職種に関連する資格であれば、「20XX年X月の取得を目指し、日商簿記検定2級を勉強中」のように記載することで、学習意欲の高さを示せます。
自己PR
自己PRは、職務経歴だけでは伝えきれない、あなたの強みや仕事への熱意をアピールする最後の仕上げの項目です。「これまでの経験を活かして、入社後にどのように貢献できるか」という未来志向の視点で記述することが重要です。
【自己PRの構成(PREP法がおすすめ)】
- Point(結論): 私の強みは「〇〇」です。
- Reason(理由): なぜなら、前職で「△△」という経験をしてきたからです。
- Example(具体例): 具体的には、「□□」という課題に対し、「☆☆」という工夫を行い、「◎◎」という成果を上げました。
- Point(結論・貢献): この「〇〇」という強みを活かし、貴社で「××」という形で貢献したいと考えております。
【書き方のポイント】
- 応募企業との接点を作る: 企業の理念や事業内容、求める人物像と、自分の強みを結びつけて語りましょう。
- エピソードは1つに絞る: 複数の強みを羅列するより、最もアピールしたい強みを1つに絞り、具体的なエピソードで深掘りした方が説得力が増します。
- 熱意と将来性を示す: 過去の実績だけでなく、未来に向けての貢献意欲や成長意欲を伝えることで、採用担当者の期待感を高めます。
これらの項目を一つひとつ丁寧に作り込むことで、あなたの魅力が最大限に伝わる職務経歴書が完成します。次の章では、さらに他の応募者と差をつけるための応用テクニックを見ていきましょう。
差がつく!事務職の職務経歴書を魅力的にする5つのポイント
基本的な書き方をマスターした上で、もう一歩踏み込み、採用担当者の記憶に残る職務経歴書を作成するための5つのポイントをご紹介します。これらのテクニックを駆使することで、あなたの職務経歴書は単なる情報の羅列から、説得力と魅力にあふれた自己推薦状へと昇華します。他の多くの応募者の中から、あなたを選んでもらうための決定打となるかもしれません。
① 実績は具体的な数字で示す
職務経歴書において、客観性と説得力を最も高める要素、それが「数字」です。抽象的な表現を具体的な数値に置き換えるだけで、アピール度は飛躍的に向上します。採用担当者は、あなたの貢献度を具体的かつ客観的に把握したいと考えています。
【Before(抽象的な表現)】
- 業務を効率化しました。
- コスト削減に貢献しました。
- 入力ミスを減らしました。
- 多くの問い合わせに対応しました。
【After(具体的な数字を用いた表現)】
- 請求書発行のフローを見直し、月間の作業時間を10時間削減しました(約20%の効率化)。
- 消耗品の発注先を見直し、年間で約5万円のコスト削減を実現しました。
- 入力フォーマットにチェック機能を導入し、データ入力ミスを前年比で90%削減しました。
- 1日平均30件の電話・メール問い合わせに、一次対応として丁寧かつ迅速に対応しました。
このように数字を用いることで、あなたの行動がもたらしたインパクトの大きさが明確に伝わります。もし、直接的な数字で示すのが難しい場合でも、「何を、どう改善し、どうなったか」というプロセスを具体的に記述することで、定量的な表現に近い説得力を持たせることができます。例えば、「複雑だったファイリングルールを部署内で統一し、誰もが5分以内に目的の書類を見つけられるように改善した」といった表現でも、十分なアピールになります。常に「数値化できないか?」という視点を持つことが、差がつく職務経歴書作成の第一歩です。
② PCスキルは習熟度まで具体的に書く
事務職の応募において「Excel、Wordが使えます」という記述は、もはやアピールにはなりません。採用担当者が知りたいのは、「どの程度使いこなせるのか」という具体的な習熟度です。あなたのPCスキルが、入社後すぐに業務で役立つレベルにあることを明確に示しましょう。
スキルを記述する際には、以下のようなレベル分けの表を用いると、視覚的にも分かりやすくなります。
スキル | 習熟度 | 具体的な操作レベル |
---|---|---|
Microsoft Word | ビジネスレベル | ビジネス文書(報告書、議事録)の作成、表や画像の挿入、差し込み印刷機能を用いた大量の宛名作成が可能。 |
Microsoft Excel | 上級レベル | VLOOKUP、IF、SUMIF等の関数を用いたデータ集計・分析、ピボットテーブルの作成、グラフ作成が可能。また、マクロ(VBA)を用いて定型業務を自動化し、作業効率を改善した経験あり。 |
Microsoft PowerPoint | ビジネスレベル | 図やグラフ、アニメーション効果を用いた、分かりやすいプレゼンテーション資料の作成が可能。 |
Google Workspace | ビジネスレベル | スプレッドシート、ドキュメント、スライドを用いた資料作成および共有、Google MeetでのWeb会議設定・運営が可能。 |
チャットツール | ビジネスレベル | Slack、Microsoft Teamsを用いた、社内外の迅速なコミュニケーション、情報共有が可能。 |
このように、ソフト名だけでなく、具体的な機能名や活用事例を交えて記述することで、あなたのスキルレベルが正確に伝わります。「マクロが組める」「ピボットテーブルで分析できる」といった記述は、他の応募者との明確な差別化ポイントになります。MOSなどの資格を取得している場合は、それに加えて上記のような具体的な説明を補足すると、さらに説得力が増します。
③ 応募先の業務に活かせる経験を強調する
キャリアの棚卸しで洗い出した多くの経験の中から、応募先の企業や職種に最も響くであろう経験を戦略的に選び、強調することが重要です。すべての経験を平等にアピールするのではなく、強弱をつけることで、採用担当者に「まさに当社が求めている人材だ」と感じさせることができます。
例えば、一口に「事務職」と言っても、その役割は多岐にわたります。
- 営業事務に応募する場合: 顧客対応、納期調整、見積書作成、受発注管理など、営業サポートに関連する経験を厚めに記述します。「営業担当と密に連携し、先回りして資料を準備することで、営業の提案成功率向上に貢献した」といったエピソードが有効です。
- 経理事務に応募する場合: 請求書・領収書の処理、経費精算、月次・年次決算の補助、会計ソフトの使用経験などを中心にアピールします。日商簿記などの資格はもちろん、数字の正確性や緻密性をアピールするエピソードが求められます。
- 人事事務に応募する場合: 入退社手続き、勤怠管理、給与計算補助、社会保険関連の手続きなど、人事・労務に関する経験が評価されます。個人情報を扱う上での守秘義務遵守の姿勢もアピールポイントになります。
職務経歴の記述順序を工夫し、応募先に最も関連性の高い業務内容を冒頭に持ってくるだけでも、採用担当者の注目度は大きく変わります。応募する企業ごとに職務経歴書を「編集」し、最適なアピールを行う姿勢が、内定への近道です。
④ 業務改善や効率化への貢献をアピールする
事務職は、ルーティンワークを正確にこなすことが基本ですが、それだけでは評価されにくい時代になっています。採用担当者は、現状に満足せず、より良い方法を模索し、主体的に業務を改善できる人材を求めています。たとえ小さな改善であっても、その経験はあなたの問題発見能力、解決能力、そして主体性の高さを証明する強力な武器になります。
職務経歴や自己PRの中に、以下のような業務改善のエピソードを盛り込みましょう。
- 課題発見: 「毎月発生する定型的なデータ入力作業に時間がかかり、本来の業務を圧迫していた」
- 提案・実行: 「Excelのマクロ機能を独学で習得し、入力作業を自動化するツールを作成・導入を提案した」
- 結果: 「結果として、月5時間かかっていた作業が30分で完了するようになり、他の重要業務に時間を充てられるようになった」
他にも、「煩雑だった共有フォルダの整理ルールを策定し、部署全体の書類検索時間を短縮した」「新人向けの業務マニュアルを自主的に作成し、教育担当の負担軽減と新人社員の早期戦力化に貢献した」など、具体的なエピソードは無数にあるはずです。「やらされ仕事」ではなく「自分の仕事」として捉え、工夫してきた姿勢をアピールすることで、他の応募者と大きく差をつけることができます。
⑤ 自己PRでは今後の貢献意欲を伝える
自己PRの締めくくりは、過去の実績を語るだけでなく、「入社後、自分の強みを活かして、どのように会社に貢献していきたいか」という未来へのビジョンを明確に伝えることが重要です。これにより、あなたの入社意欲の高さと、企業へのロイヤリティ(忠誠心)を示すことができます。
そのためには、応募先企業の事業内容や今後の事業展開、抱えているであろう課題などを事前にリサーチしておくことが不可欠です。
- 企業の成長フェーズを理解する: 急成長中のベンチャー企業であれば「変化に柔軟に対応し、新しい業務フローの構築に貢献したい」。安定した大手企業であれば「既存の業務を正確に遂行しつつ、培った改善提案力でさらなる効率化に貢献したい」など、企業の状況に合わせた貢献の仕方を提示します。
- 事業内容と結びつける: 「貴社の主力事業である〇〇のさらなる発展に、正確かつ迅速な事務サポートで貢献したい」「今後注力される海外展開において、私の語学力と貿易事務の経験を活かしたい」など、具体的な事業と自分のスキルを結びつけます。
「貴社の一員として、共に成長していきたい」という前向きなメッセージは、採用担当者の心に強く響きます。過去の実績(can)と未来への意欲(will)の両方をバランス良く伝えることで、あなたの自己PRは完成度の高いものになるでしょう。
職務経歴書でアピールできる!事務職で評価されるスキル
事務職の職務経歴書を作成する際、どのようなスキルをアピールすれば採用担当者の目に留まりやすいのでしょうか。ここでは、業界や企業規模を問わず、多くの事務職で共通して高く評価されるスキルを6つピックアップし、それぞれを職務経歴書でどのように効果的に表現するかを解説します。これらのスキルを自分の経験と照らし合わせ、アピールポイントを整理してみましょう。
PCスキル(Word, Excel, PowerPointなど)
現代の事務職において、PCスキルは業務遂行能力の根幹をなす最も基本的なスキルです。しかし、ただ「使える」だけでは不十分。「業務効率化に貢献できるレベルで使いこなせるか」が評価の分かれ目となります。
- Excel: 事務職で最も使用頻度が高く、差がつきやすいスキルです。
- アピールポイント: 単なるデータ入力だけでなく、VLOOKUPやIFといった関数を用いたデータの抽出・整理、ピボットテーブルを使った大量データの集計・分析、マクロやVBAによる定型業務の自動化などができると、高く評価されます。
- 表現例: 「月次売上報告書の作成において、VLOOKUP関数で商品マスタからデータを参照し、ピボットテーブルで支店別の売上を自動集計する仕組みを構築しました。」
- Word: 正確で見やすいビジネス文書を作成する能力が求められます。
- アピールポイント: 報告書や議事録、送付状といった定型文書の作成はもちろん、表や画像の挿入、インデントや段落設定を駆使した読みやすいレイアウト調整、差し込み印刷機能による効率化などがアピール材料になります。
- 表現例: 「差し込み印刷機能を活用し、約200社へのDM発送作業を効率化。手作業に比べ、作業時間を3時間短縮しました。」
- PowerPoint: 分かりやすい資料を作成し、円滑なコミュニケーションをサポートする能力です。
- アピールポイント: 社内会議用の資料作成や、営業が使う提案書の雛形作成などで力を発揮します。図形やSmartArt、グラフを効果的に用いて、情報を視覚的に分かりやすく伝える能力が評価されます。
- 表現例: 「新入社員研修用のプレゼン資料作成を担当。複雑な社内ルールを図解することで、理解度向上に貢献したと評価されました。」
コミュニケーション能力
事務職は、社内の様々な部署の社員、役員、さらには社外の顧客や取引先まで、多くの人と関わる「ハブ」のような役割を担います。そのため、円滑な人間関係を築き、業務をスムーズに進めるコミュニケーション能力は不可欠です。
- アピールポイント: 電話応対や来客応対での丁寧な言葉遣いはもちろんのこと、 상대방의 의도를 정확하게 파악하는 경청 능력, 복잡한 내용을 명확하고 간결하게 전달하는 설명 능력, 관련 부서와의 원활한 조정을 위한 조정 능력 등이 중요합니다.
- 表現例:
- 「営業担当者と製造部門の間で、納期の調整役を担いました。双方の状況を丁寧にヒアリングし、代替案を提示することで、お客様の希望納期を守りつつ、製造現場の負担を軽減することに成功しました。」
- 「電話での問い合わせに対し、相手が何に困っているのかを正確に聞き出し、担当部署へ的確に引き継ぐことで、『話が早い』とお客様からお褒めの言葉をいただきました。」
スケジュール管理能力
事務職は、複数のタスクを同時に抱え、それぞれの締め切りを守りながら業務を進める場面が頻繁にあります。自分自身のタスク管理はもちろん、時にはチームや部署全体のスケジュールを管理することも求められます。
- アピールポイント: 複数の業務の優先順位を的確に判断し、計画的に仕事を進める能力。また、Google CalendarやAsana、Trelloといったツールを活用して、タスクや進捗状況を「見える化」し、抜け漏れなく管理できる能力も高く評価されます。
- 表現例:
- 「毎朝、その日のタスクを緊急度と重要度のマトリクスで整理し、計画的に業務を遂行することで、常に締め切りを守り、残業時間の削減にも繋げました。」
- 「部署内の共有カレンダーを管理し、会議室の予約や担当者の外出予定を一元化。ダブルブッキングを防ぎ、部署全体のスケジュール調整を効率化しました。」
正確性・緻密性
請求書や契約書といった重要書類の作成、経費精算、データ入力など、事務職の仕事には高い正確性が求められます。たった一つのミスが、会社に大きな損害を与えてしまう可能性もあるため、細部にまで注意を払い、丁寧に仕事を進める緻密性は非常に重要な資質です。
- アピールポイント: ミスをしないための自分なりの工夫や仕組みをアピールすることが有効です。ダブルチェックやトリプルチェックの徹底、チェックリストの作成・活用、ヒューマンエラーを防ぐための仕組み作りなどが具体的なアピールポイントになります。
- 表現例:
- 「月間約200件の請求書発行業務において、セルフチェック用のリストを作成し、発行前には必ず他の担当者とのダブルチェックを行うフローを徹底しました。その結果、在籍期間中の請求書関連のミスはゼロでした。」
- 「顧客データの入力規則を標準化し、入力マニュアルを作成・共有することで、部署全体の入力ミスを前年比で80%削減しました。」
臨機応変な対応力
事務職の仕事は、定型的な業務だけではありません。「急な来客」「担当者の不在」「システムトラブル」「他部署からの突発的な依頼」など、予期せぬ出来事への対応を求められる場面も多々あります。
- アピールポイント: 予期せぬ事態が起きても、慌てずに状況を冷静に判断し、優先順位を考え、最善の対応策を考えて行動できる能力です。マニュアル通りではない状況で、いかに機転を利かせて動けるかが問われます。
- 表現例:
- 「担当営業が急な体調不良で不在の際、お客様から緊急の問い合わせがありました。これまでのやり取りを記録から確認し、私が代理で回答できる範囲で迅速に対応。即答できない内容は、状況を正確にヒアリングして担当者へ申し送り、業務の遅延を最小限に抑えました。」
- 「Web会議システムのトラブルで音声が繋がらない際、即座に代替の電話会議を提案・設定し、重要な商談を滞りなく進めることができました。」
語学力や簿記などの専門スキル
上記の汎用的なスキルに加え、特定の専門スキルを持っていると、応募できる職種の幅が広がり、大きな強みとなります。
- アピールポイント:
- 語学力(特に英語): 外資系企業や海外との取引がある企業では必須のスキルです。TOEICやTOEFLのスコアを明記するとともに、実務でどのように使っていたか(メール対応、電話会議、資料翻訳など)を具体的に示しましょう。貿易事務などでは特に高く評価されます。
- 簿記: 経理事務や会計事務を目指す上では、日商簿記2級以上が強力な武器になります。仕訳、月次・年次決算補助などの実務経験と合わせてアピールすることで、専門性の高さを証明できます。
- 表現例:
- 「TOEICスコア850点を活かし、海外サプライヤーとの納期調整や仕様確認のメールコレポンを日常的に行っていました。」
- 「日商簿記2級の知識を活かし、会計ソフト(弥生会計)への仕訳入力から月次試算表の作成までを担当していました。」
これらのスキルを職務経歴書に効果的に盛り込むことで、あなたの市場価値を最大限に高めることができるでしょう。
【例文10選】経験・未経験別に紹介!事務職の職務経歴書
ここでは、これまでの解説を踏まえ、具体的な職務経歴書の例文を10パターン紹介します。経験者向けには職種別に、未経験者向けには前職の経験をどう活かすかに焦点を当てています。各例文の「職務要約」「自己PR」を中心に、アピールすべきポイントを参考に、ご自身の経歴に合わせてアレンジしてみてください。
① 【経験者向け】一般事務
幅広い業務をこなす一般事務では、対応力の広さと業務改善への意識をアピールすることが重要です。
【職務要約】
5年間、メーカーの管理部にて一般事務として従事してまいりました。来客・電話応対から、請求書発行、備品管理、勤怠管理の補助まで、幅広いバックオフィス業務を担当。Excelマクロを活用した定型業務の自動化により、部署全体の業務効率化に貢献した実績がございます。培った対応力と改善提案力を活かし、貴社の円滑な組織運営に貢献したいと考えております。
【自己PR】
私の強みは「主体的な課題発見力と改善提案力」です。前職では、毎月手作業で行っていた勤怠データの集計と給与計算ソフトへの入力作業に、部署全体で10時間以上を要していました。この非効率な状況を改善するため、Excelマクロを独学で習得し、勤怠データを取り込むだけで必要な形式に自動で整形・出力するツールを作成しました。結果、作業時間を月1時間未満に短縮でき、他の重要業務に注力できる環境作りに貢献しました。
貴社においても、現状の業務フローをただこなすだけでなく、常に「もっと良くするにはどうすればよいか」という視点を持ち、主体的に業務改善に取り組むことで、組織全体の生産性向上に貢献できると確信しております。
② 【経験者向け】営業事務
営業担当のサポート役として、調整力や先回りした行動力をアピールします。
【職務要約】
IT企業にて3年間、営業事務として5名の営業担当をサポートしてまいりました。見積書・契約書の作成、受発注管理、納期調整、売上データ管理などを担当。常に営業担当の状況を把握し、先回りしたサポートを心がけることで、チームの目標達成率120%に貢献しました。この経験で培った調整力と迅速な対応力を、貴社の営業活動の最大化に活かしたいです。
【自己PR】
私の強みは「目標達成に向けたサポート力と円滑な調整力」です。前職では、担当営業が新規顧客への提案に集中できるよう、既存顧客からの問い合わせや受発注業務を私が一手に引き受けていました。特に、顧客の希望納期と製造部門のスケジュールが競合する場面では、双方の状況を丁寧にヒアリングし、代替案を提示するなど粘り強く調整を行いました。結果、一度も納期遅延を起こすことなく、顧客満足度の向上と営業担当がコア業務に集中できる環境の両立を実現しました。貴社においても、営業部門の「縁の下の力持ち」として、チーム全体の成果に貢献してまいります。
③ 【経験者向け】経理事務
正確性と専門知識、そしてコンプライアンス意識の高さが求められます。
【職務要約】
7年間、一貫して経理業務に携わってまいりました。日商簿記2級の知識を活かし、会計ソフト(勘定奉行)を用いた日常的な仕訳入力から、月次・年次決算の補助、売掛金・買掛金管理まで幅広く経験。法改正にも常にアンテナを張り、正確かつコンプライアンスを遵守した経理処理を徹底してまいりました。貴社の財務基盤の安定に貢献できるものと考えております。
【自己PR】
経理業務において最も重要なのは「正確性」と「緻密性」であると考えております。私は月間500件以上の仕訳入力において、入力後のセルフチェックに加え、勘定科目ごとにチェックリストを作成し、ミスを未然に防ぐ仕組みを構築しました。また、経費精算システムを導入した際には、社員向けの分かりやすいマニュアルを作成し、説明会を実施することで、導入後の問い合わせを最小限に抑え、スムーズな移行を実現しました。この経験で培った正確な業務遂行能力と、業務フロー全体を俯瞰して改善する力を、貴社の経理部門の強化に活かしてまいります。
④ 【経験者向け】人事・労務事務
守秘義務の遵守と、従業員に寄り添う姿勢をアピールします。
【職務要約】
従業員300名規模の事業会社にて、人事労務担当として4年間勤務しました。入退社手続き、勤怠管理、給与計算、社会保険手続きといった一連の労務業務を担当。個人情報を扱う立場として、常に細心の注意を払い、ミスのない業務を心がけてきました。従業員が安心して働ける環境づくりに貢献した経験を、貴社でも活かしたいと考えております。
【自己PR】
人事労務の仕事は、法律や規則に則った正確な事務処理能力と、従業員一人ひとりに寄り添うコミュニケーション能力の両方が不可欠だと考えております。前職では、勤怠管理システムの入れ替えプロジェクトを担当しました。従業員が新しいシステムに戸惑わないよう、操作マニュアルの作成だけでなく、個別の相談会を部署ごとに開催し、丁寧な説明を心がけました。また、法改正に関する情報は常に収集し、社内規定への反映や従業員への周知を迅速に行うことで、コンプライアンス遵守の徹底に努めました。貴社においても、正確な事務処理と丁寧なコミュニケーションで、従業員満足度の向上に貢献してまいります。
⑤ 【経験者向け】総務事務
「会社の何でも屋」として、幅広い業務への対応力とホスピタリティが強みです。
【職務要約】
6年間、不動産会社の総務部にて、備品・ファシリティ管理から株主総会の運営補助、社内イベントの企画・運営、福利厚生制度の運用まで、多岐にわたる総務業務を経験してまいりました。「社員が働きやすい環境を創る」ことをモットーに、常に改善意識を持って業務に取り組んでまいりました。貴社の事業成長をバックオフィスから力強く支えたいと考えております。
【自己PR】
私の強みは、幅広い業務に対応できる柔軟性と、課題解決のための実行力です。前職では、オフィス移転プロジェクトの主要メンバーとして、移転業者の選定からレイアウト設計のサポート、インフラ整備、移転スケジュールの管理までを担当しました。各部署の要望をヒアリングし、予算内で最大限の要望を叶えるための調整に奔走しました。結果、大きなトラブルなく移転を完了させ、社員からも「働きやすくなった」との声をもらい、大きなやりがいを感じました。この経験を活かし、貴社でも組織のあらゆる課題に積極的に取り組み、事業の成長を縁の下から支えていきたいです。
⑥ 【経験者向け】貿易事務
語学力と専門用語への理解、そして正確な書類作成能力がキーとなります。
【職務要約】
専門商社にて4年間、貿易事務として主に東南アジア向けの輸出業務を担当してまいりました。TOEIC860点の英語力を活かし、L/Cの開設・買取、船積書類(Invoice, Packing Listなど)の作成、フォワーダーとのブッキング・調整業務を一貫して経験。複雑な貿易実務を正確かつスピーディーに遂行する能力には自信があります。
【自己PR】
貿易事務には、語学力に加え、納期や国際ルールを遵守するための正確な書類作成能力と、関係各所との緻密な連携が求められると認識しております。私は、些細な書類の不備が大きな遅延やコストに繋がることを常に意識し、ダブルチェックを徹底することで、在籍期間中、書類不備によるトラブルは一度もありませんでした。また、現地の物流事情を考慮し、フォワーダーと密に連携することで、常に複数の輸送ルートを確保し、安定的な供給に貢献しました。貴社のグローバルビジネスの拡大に、私の専門性と経験で貢献できることを楽しみにしております。
⑦ 【経験者向け】医療事務
レセプト業務の知識と、患者様への丁寧な対応力をアピールします。
【職務要約】
5年間、内科クリニックにて医療事務として勤務いたしました。受付・会計業務、電話応対、電子カルテの入力、そして月間約800件のレセプト作成・点検業務を担当。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)の資格を活かし、正確なレセプト請求を徹底してまいりました。患者様が安心して受診できる環境づくりに貢献した経験を、貴院でも活かしたいと考えております。
【自己PR】
私の強みは、正確なレセプト業務の知識と、患者様の不安に寄り添うコミュニケーション能力です。毎月のレセプト請求業務では、算定漏れや病名の不整合がないか、医師とも確認しながら入念にチェックを行い、返戻率を常に低く維持することに貢献しました。また、受付では、体調の優れない患者様の気持ちに寄り添い、安心感を与えられるような丁寧な言葉遣いと笑顔を心がけました。正確な事務処理能力と患者様へのホスピタリティの両面から、貴院の円滑な運営と、地域医療への貢献に尽力したいです。
⑧ 【未経験者向け】営業職から事務職へ
PCスキルや顧客対応力、目標達成意欲など、事務職に転用できるポータブルスキルを強調します。
【職務要約】
3年間、法人営業として新規顧客開拓に従事してまいりました。日々の営業活動報告や提案資料の作成で培ったPCスキル(Word, Excel, PowerPoint)と、お客様のニーズを的確に把握するヒアリング力には自信があります。今後は、営業経験で培った「相手の立場を理解しサポートする力」を、事務職として社内貢献に活かしたいと考えております。
【自己PR】
前職の営業活動では、売上目標の達成が第一のミッションでした。そのために、日々の活動をExcelで管理・分析し、効率的な訪問計画を立てることを徹底していました。また、お客様への提案資料はPowerPointで分かりやすく作成することを心がけ、受注に繋げてまいりました。これらの経験から、目標達成のための数値管理能力と、基本的なPCスキルは習得しております。これからは、最前線で活躍する営業担当者を支える立場で、私の強みである「相手のニーズを先読みする力」を活かしたいです。未経験の業務については、一日も早く覚えられるよう積極的に学習してまいります。
⑨ 【未経験者向け】販売・サービス職から事務職へ
コミュニケーション能力、在庫管理能力、PCでの売上入力経験などをアピールします。
【職務要約】
4年間、アパレル店員として接客販売、在庫管理、売上報告業務を担当してまいりました。お客様との対話で培ったコミュニケーション能力と、POSシステムへの売上データ入力で身につけた正確なPC操作が私の強みです。これからは、お客様をサポートする経験を活かし、組織を支える事務職として貢献したいと考えております。
【自己PR】】
私の強みは、高いコミュニケーション能力と丁寧な対応力です。店舗では、お客様のニーズを丁寧にヒアリングし、最適な商品を提案することで、店舗の売上目標達成に貢献してきました。また、毎日の売上報告書をPCで作成しており、Wordでの文書作成やExcelでの簡単な集計作業は問題なく行えます。事務職は未経験ですが、MOSの資格取得に向けて現在勉強中であり、不足しているスキルは積極的に学んでいく所存です。前職で培った「人の役に立ちたい」という想いを、今度は社内の皆様へのサポートという形で発揮したいと考えております。
⑩ 【派遣・契約社員向け】正社員を目指す場合
複数の職場での経験を、対応力や適応力の高さとしてポジティブにアピールします。
【職務要約】
派遣社員として5年間、IT、メーカー、金融など3社で一般事務・営業事務を経験してまいりました。それぞれの企業で異なる業務フローや社内システムに迅速に対応し、常に高い評価をいただいてきました。特にExcelスキル(VLOOKUP, ピボットテーブル)には自信があり、どの職場でも業務効率化に貢献しました。これまでの多様な経験を活かし、今後は貴社の一員として腰を据え、長期的に貢献していきたいです。
【自己PR】
派遣社員として複数の企業で働いた経験は、私の最大の強みである「高い適応能力」と「柔軟性」を培ってくれました。新しい環境や人間関係、業務内容にも臆することなく、短期間でキャッチアップし、即戦力として貢献することにやりがいを感じてきました。例えば、前々職のメーカーでは、それまで使ったことのない独自の販売管理システムを2週間でマスターし、スムーズな受発注業務を実現しました。これまでの経験で得た多様な業務知識と柔軟な対応力を、今後は貴社で深く、長く発揮していきたいと考えております。正社員として、責任ある立場で貴社の発展に貢献できることを強く希望しております。
事務職未経験者がアピールすべきこと
事務職は経験者が優遇されやすい職種ですが、未経験者でも採用のチャンスは十分にあります。大切なのは、これまでのキャリアの中に、事務職で活かせる要素を見つけ出し、それを効果的にアピールすることです。経験不足を補って余りある「ポテンシャル」と「熱意」を、採用担当者に感じさせることができれば、道は開けます。ここでは、未経験者が職務経歴書で特にアピールすべき3つのポイントを解説します。
これまでの経験と事務職の共通点を見つける
一見すると事務職とは全く異なる職種であっても、掘り下げてみると必ず共通点や応用できるスキルが見つかります。これを「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」と呼びます。採用担当者は、あなたがこのポータブルスキルを自覚し、事務職の業務にどう活かそうとしているかを見ています。
【職種別ポータブルスキルの例】
- 営業職の場合:
- 顧客対応力・ヒアリング力: 顧客のニーズを汲み取る力は、社内の他部署の依頼を正確に理解する力に繋がります。
- 資料作成スキル: 提案書や報告書を作成した経験は、WordやPowerPointでの文書作成能力のアピールになります。
- 目標達成意欲・数値管理能力: 売上目標を管理した経験は、納期管理や業務の進捗管理能力として評価されます。
- 販売・サービス職の場合:
- コミュニケーション能力・接客スキル: 来客応対や電話応失で、高いホスピタリティを発揮できます。
- 在庫管理・発注業務: 備品管理や発注業務など、総務的な仕事に直結します。
- 売上データ入力・管理: POSシステムの操作経験は、PCでの正確なデータ入力能力の証明になります。
- 技術職(エンジニアなど)の場合:
- 論理的思考力: 複雑な業務フローを理解し、効率的な手順を組み立てる力として活かせます。
- ドキュメント作成能力: 仕様書や設計書を作成した経験は、マニュアル作成などで高い能力を発揮します。
職務経歴書には、「前職の〇〇という経験で培った△△という能力は、貴社の事務職における□□という業務で必ず活かせると考えております」というように、具体的な業務内容と結びつけて記述することが重要です。これにより、採用担当者はあなたが活躍する姿を具体的にイメージしやすくなります。
意欲や学習姿勢をアピールする
スキルや経験が不足している分、それを補うだけの「意欲」や「学習姿勢」を示すことが極めて重要です。「なぜ事務職に就きたいのか」という志望動機を明確にし、仕事に対する前向きな姿勢を伝えましょう。
【アピール方法】
- 具体的な志望動機を語る: 「楽そうだから」といった安易な動機ではなく、ポジティブで具体的な理由を述べます。「前職で営業担当者をサポートする事務の方の仕事ぶりに感銘を受け、自分も組織を支える役割を担いたいと強く思うようになりました」「数字を正確に扱うことや、物事を整理整頓することにやりがいを感じるため、経理事務の専門性を身につけたいです」など、自身の価値観や経験に基づいたストーリーを語りましょう。
- 能動的な学習意欲を示す: 「未経験の業務については、指示を待つだけでなく、自ら積極的に質問し、一日も早く戦力になれるよう努力いたします」「貴社で使用されている〇〇という会計ソフトについては、体験版などで事前に基本的な操作を学習しておく所存です」といった具体的な行動を示すことで、口先だけでない本気度が伝わります。
- 素直さと謙虚さを持つ: 「未経験の分野ですので、皆様にご指導いただくことも多いかと存じますが、一つひとつ着実に業務を覚えていきたいです」といった謙虚な姿勢も、チームで働く上で好印象を与えます。
経験がないことは事実として受け入れつつも、それを乗り越えようとする強い意志とポテンシャルをアピールすることが、採用担当者の心を動かす鍵となります。
資格取得で熱意を示す
未経験者が、事務職への熱意と適性を客観的に示す最も効果的な方法の一つが「資格の取得」です。勉強して資格を取得するという行動そのものが、主体的な学習意欲と、その職種に対する本気度の何よりの証明となります。
【未経験者におすすめの資格】
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS): Word, Excel, PowerPointといった必須ツールのスキルを客観的に証明できます。特にExcelのスペシャリスト(アソシエイト)やエキスパートは評価が高いです。
- 日商PC検定(データ活用・文書作成): MOSと同様にPCスキルを証明できる資格で、よりビジネス実務に即した内容が問われます。
- 日商簿記検定(特に3級・2級): 経理事務を目指すなら必須とも言える資格。3級でも基礎知識の証明になり、2級があれば大きなアピールになります。
- 秘書技能検定: ビジネスマナーや上司のサポートスキルなど、一般事務や秘書業務に役立つ知識が身につきます。
もし、応募時点で資格を取得できていなくても、「現在、〇〇の資格取得を目指して勉強中です(来月受験予定)」と記載するだけで、採用担当者に与える印象は大きく変わります。行動で示す熱意は、何よりも雄弁にあなたのポテンシャルを語ってくれるでしょう。
完成前に最終チェック!職務経歴書の注意点
内容を練り上げ、魅力的な職務経歴書が完成したと思っても、提出する前にもう一度立ち止まって最終チェックを行うことが非常に重要です。どんなに素晴らしい内容でも、些細なミスや読みにくさが原因で、評価を下げてしまうのは非常にもったいないことです。採用担当者に「仕事が丁寧で信頼できる人物だ」という印象を与えるためにも、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。
読みやすいレイアウトか
採用担当者は、毎日多くの応募書類に目を通しています。そのため、パッと見た瞬間に「読みにくい」と感じさせてしまうと、内容をじっくり読んでもらえない可能性があります。読み手への配慮が感じられる、洗練されたレイアウトを心がけましょう。
【チェックポイント】
- フォントとサイズ: フォントは「メイリオ」「游ゴシック」など、PC画面でも読みやすいゴシック体が一般的です。サイズは10.5pt〜11ptが基本で、見出しは少し大きく(12pt〜14pt程度)してメリハリをつけましょう。
- 余白の確保: 上下左右に適切な余白があると、窮屈な印象がなくなり、全体がすっきりと見えます。
- 箇条書きの活用: 業務内容や実績など、情報を列挙する箇所では積極的に箇条書きを使いましょう。文章がだらだらと続くのを防ぎ、要点を明確に伝えられます。
- 適度な改行と行間: 文章が詰まりすぎていると、圧迫感を与えます。段落ごとや話の区切りで適度に改行し、行間も狭すぎないように設定しましょう。
- 強調(太字・下線): 最もアピールしたいキーワードや実績に太字を使うのは効果的ですが、多用しすぎるとかえって読みにくくなります。1つのブロック(見出し内)で1〜2箇所程度に留め、本当に伝えたい部分に絞って使いましょう。
一度印刷してみて、客観的な視点で全体を眺めてみるのもおすすめです。「情報が整理されているか」「視線の流れがスムーズか」を確認し、最高の状態で提出できるように調整しましょう。
誤字脱字はないか
誤字脱字は、職務経歴書における最も基本的かつ致命的なミスの一つです。特に、正確性や緻密性が強く求められる事務職の応募において、誤字脱字がある書類は「注意力が散漫」「仕事が雑」というマイナスの印象を即座に与えてしまいます。
【チェック方法】
- PCの校正ツール: Wordなどの文書作成ソフトに搭載されている校正機能は必ず使いましょう。ただし、ツールだけでは見逃すミス(同音異義語など)もあるため、過信は禁物です。
- 声に出して読む: 文章を黙読するだけでは、脳が自動的に間違いを補完してしまい、ミスに気づきにくいことがあります。一文ずつ声に出して読むことで、不自然な言い回しや誤字脱長を発見しやすくなります。
- 時間を置いてから見直す: 作成直後は、思い込みなどからミスを見逃しがちです。一晩寝かせるなど、少し時間を空けてから新鮮な目で読み返すと、客観的にチェックできます。
- 第三者に読んでもらう: 可能であれば、家族や友人、転職エージェントのキャリアアドバイザーなど、第三者に読んでもらうのが最も効果的です。自分では気づかなかった誤字脱字や、分かりにくい表現を指摘してもらえます。
会社の正式名称や部署名、資格の名称などに間違いがないかも、重点的に確認しましょう。完璧な書類で、あなたの丁寧な仕事ぶりをアピールしてください。
枚数はA4用紙1〜2枚に収まっているか
職務経歴書の適切なボリュームは、一般的にA4用紙で1〜2枚とされています。経験が豊富な方ほど、あれもこれもと情報を詰め込みたくなりますが、長すぎる職務経歴書は敬遠される傾向にあります。
- 1枚の場合: 社会人経験が浅い方(第二新卒など)や、未経験職種に応募する場合に適しています。要点を簡潔にまとめ、ポテンシャルや意欲を伝えることに集中しましょう。
- 2枚の場合: 職務経歴が複数ある方や、豊富な実績を持つ経験者向けです。ただし、2枚にわたる場合でも、最も重要なアピールポイントは1枚目に集約させるのがセオリーです。採用担当者が1枚目だけで、あなたの魅力の大部分を理解できるように構成しましょう。
- 3枚以上は避ける: よほど専門性が高く、アピールすべき実績が膨大にある場合を除き、3枚以上になるのは避けるべきです。情報が整理できていない、要点を絞り込めていないという印象を与えかねません。もし3枚以上になってしまった場合は、「応募先の企業に響かないであろう経験」を削るなど、情報の取捨選択を行いましょう。
職務経歴書は、あなたのキャリアのすべてを書き連ねる場所ではありません。応募先企業に対して、あなたを採用するメリットを的確に伝えるための「プレゼンテーション資料」です。常に読み手の視点を忘れず、簡潔で分かりやすい書類を目指しましょう。
職務経歴書に関するよくある質問
最後に、職務経歴書を作成する上で多くの人が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。細かい点ではありますが、こうした疑問を解消しておくことで、より自信を持って書類作成に臨むことができます。
手書きとパソコン、どちらで作成するべき?
結論から言うと、企業からの指定がない限り、パソコンでの作成が圧倒的に推奨されます。現代のビジネスシーンにおいて、手書きの職務経歴書が求められるケースは極めて稀です。
【パソコン作成を推奨する理由】
- PCスキルのアピールになる: 事務職にとってPCスキルは必須です。整ったレイアウトの書類を作成すること自体が、基本的なPCスキルを持っていることの証明になります。
- 修正・複製が容易: 誤字脱字の修正や、応募企業に合わせた内容のカスタマイズが簡単にできます。手書きの場合、一箇所間違うだけで全て書き直しになる可能性があります。
- 読みやすさ: 誰が読んでも判読しやすい、均一で整った文字で作成できます。手書きの文字には個性がありますが、採用担当者によっては読みにくいと感じるリスクもあります。
- データでの提出に対応しやすい: 近年増えているWeb応募では、PDFなどのデータ形式で提出を求められます。パソコンで作成していれば、スムーズに対応可能です。
企業から「手書き」と明確な指示があった場合のみ、丁寧に楷書で書きましょう。それ以外の場合は、迷わずパソコンで作成することをおすすめします。
派遣社員としての経歴はどのように書けば良い?
派遣社員としての経歴は、正社員と書き方が少し異なります。派遣元(登録している派遣会社)と派遣先(実際に勤務した会社)の両方を明記する必要があります。
【基本的な書き方】
株式会社〇〇(派遣元会社名)に登録
【派遣先】 株式会社△△
【期間】 20XX年X月~20XX年X月
【事業内容】 〇〇の製造・販売
【所属】 営業部
【業務内容】
・見積書、請求書の作成
・電話、メールによる顧客対応
・営業担当者のスケジュール管理【派遣先】 株式会社□□
【期間】 20XX年X月~20XX年X月
…(以下同様)
【ポイント】
- 派遣元と派遣先を明確に区別する: 誰と雇用契約を結んでいたのか(派遣元)と、どこで実際に働いていたのか(派遣先)が分かるように記載します。
- 派遣先ごとに業務内容を記載する: 派遣先が変われば業務内容も変わるため、それぞれの会社でどのような業務を担当し、どのようなスキルを身につけたのかを具体的に書きましょう。
- 短期間の派遣が多い場合: 派遣先が多岐にわたり、羅列すると読みにくくなる場合は、「職務経歴」の欄では社名と期間を簡潔に記載し、「活かせる経験・スキル」の欄で「〇〇業務(計3社で経験)」のように、スキルや業務内容ごとにまとめてアピールする「キャリア式」の書き方も有効です。
派遣社員としての経験は、多様な環境への適応力や、短期間で業務をキャッチアップする能力のアピールに繋がります。ネガティブに捉えず、ポジティブな強みとして職務経歴書に落とし込みましょう。
職務経歴書のフォーマットはどこで手に入る?
職務経歴書には決まった形式がないため、自分で一から作成することも可能ですが、一般的には既存のテンプレート(雛形)を活用するのが効率的です。
【主な入手先】
- 文書作成ソフトのテンプレート: Microsoft WordやGoogleドキュメントなどには、あらかじめ職務経歴書のテンプレートが用意されている場合があります。「新規作成」からテンプレートを検索してみてください。
- 転職サイト: 大手の転職サイトでは、会員登録をすると無料で職務経歴書のテンプレートをダウンロードできるサービスを提供していることがほとんどです。Word形式やExcel形式など、様々な種類のフォーマットが用意されています。
- ハローワーク(公共職業安定所): ハローワークのウェブサイトや窓口でも、職務経歴書のフォーマットや書き方の見本を提供しています。公的な機関が提供するものなので、信頼性が高いと言えます。
【フォーマット選びの注意点】
- フォーマット自体に優劣はない: 大切なのはあくまで「中身」です。どのフォーマットを使ったから有利・不利ということはありません。
- 自分に合ったものを選ぶ: 自分の経歴やアピールしたい内容に合わせて、最も書きやすく、見やすく整理できるフォーマットを選びましょう。例えば、時系列でアピールしたいなら「編年体式」、スキルを強調したいなら「キャリア式」のテンプレートが適しています。
まずはいくつかのテンプレートをダウンロードしてみて、自分にとって使いやすいものを見つけることから始めてみましょう。それをベースに、この記事で解説したポイントを盛り込んで、あなただけの最高の職務経歴書を完成させてください。